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15話

主人公はしばらく置き物になります(笑)

クラス対抗戦当日。


あと数分後には俺達の試合が始まっている。


初戦は1-3クラスで、どうやらそこまで強くないとのこと。


これから試合だというのに、俺はシアンさんのことが気になって仕方がなかった。


まあ、どんなに強い奴が相手でも、どんなに弱い奴が相手でも、俺は実力を出さないからいいんだが・・・


なんだろう、やはりなにかが引っかかる。


というか、あの人はあれだけの実力を持っていそうなのに卒業出来なかったのか?



「皆さん、準備はよろしくって?」



シェリさんが俺達を束ねる。


うん、やはりこういう役割はシェリさんが一番適任だ。


周りは皆、緊張した顔で頷く。



「やれるかどうか分かりませんけど、頑張りましょう!」


「そうね。クラスの皆に単位をプレゼントしてあげようじゃない」


「・・・別に私はなんでもいいわ」



そういえば、シーナさんはまるで表情を変えないな。


笑ってるところとか見たことがない。


ポーカーとかやったらめっちゃ強そうだ。



「間もなく1-1クラスと1-3クラスの試合が始まります。代表者は演習場に移動してください」



アナウンスが流れる。


さて、俺はなるべく醜態を晒してきましょうかね!


俺達はクラス対抗戦のフィールドとなる、演習場へ移動した。


演習場は、校庭の中に設置されており、その演習場ですらドーム1個分くらいあるのだから、校庭のデカさを思い知らされる。



「うわ・・・ 観客多すぎだろ・・・」



演習場へ着くと、周りは観客だらけだった。


校長に始まる教師一同から、生徒全員が観客ってことか。


こりゃ実力を少しでも出したらアウトだな・・・



「本当、すごい人ですねー・・・ 私ここでこれから戦うんだ・・・」



ティアと俺は戦う前から既に戦意なしだ。


まあティアは本当に戦闘能力皆無だから当たり前だろう。


でもな、災害級の魔物はこのドームを1秒で全壊させるからな?



「やる気を出しなさい。ここで優勝すれば、わたくし達全員1年卒業組にグッと近づけますわよ」



シェリさんが必死に鼓舞してくれるのはありがたいが、俺はその所為で気が滅入ってるんだよなあ・・・



「・・・そうね。皆、私の足手まといにはならないで頂戴」



シーナさんは、1年で卒業する的な言葉を匂わせると、途端に迫力のある面になる。


この人も、早く冒険者になりたい理由があるのかな?


・・・つーか、ここに来る奴なんか、冒険者志望の奴しかいないのか。



「勿論ですわ。逆に、わたくしの足手まといにならないように気をつけてくださいな」


「・・・上等だわ。その安い挑発に乗ってあげる」



というかこの二人プライド高すぎるだろ。


まあお互い名門育ちだし仕方が無いのかな。


このライバル心が上手く相乗効果を発揮すればいいんだが・・・



「二人共、喧嘩は良くない。二人はウチのチームの前衛なんだから一番連携とってもらわないと困る」


「モモさんの言う通りです! ほら! サイカさんもなにか言ってやってください!」



えっ、そこで俺に振るの?


ティアの無茶振りに応えようとするが、なにも出てこない。



「・・・クラス順位最下位の貴方に言われることは何もないわ。気安く話かけないで頂戴」



というか、シーナさんは俺に当たりがとても強い。


まあ、普通はクラス最下位の奴と組むことになれば気も滅入るか・・・


自分は足を引っ張られる立場なのだから。



「その言い方はないでしょう!? というかサイカさんが本気を出せば貴方なんか・・・」


「あー、やめろシェリさん。悪いな、シーナさん。戦闘中はなるべく邪魔にならないように隅でじっとしてるから」


「・・・そう。邪魔にならないようにしてくれれば何の問題もないわ」



そうこうしてるうちに、試合開始の時間は既に1分を切っていた。


・・・ここまでチームワークが悪くて大丈夫かなあ?



「それでは、1-1クラスと1-3クラスの試合、開始です!」



アナウンスが響き、1-3クラスの前衛2人が突撃してくる。



「さあ、わたくしとの格の違いを教えて差し上げますわ!」


「私の槍で瞬殺して、単位に変えさせてもらう」



いや、殺したら負けだから。


と心の中でツッコむ。



「くっ、面倒ですわね!」



シェリさんは、相手の後衛の援護射撃で足を止められている。


相手もこっちと同じく、前衛2、後衛3の陣形のようだ。


相手はコンビネーションが抜群で、前衛の2人がクロスして切り替わったり、後衛3人の一斉射撃などで、シェリさんとシーナさんは苦戦していた。


あの二人が苦戦するなんて、相当厄介なようだ。



「サイカ、私達も援護射撃しよう」



モモは銃を構え、照準を合わせる。



「あれ、でもモモは実力を隠してるんじゃなかったのか?」


「隠してた方が、こういう大舞台で力を発揮した時話題になるでしょ。最初から才能があるって分かられた人は、単位つけられるのが厳しめになるのよ」



・・・そういうことかよっ!?


モモは相手3人の一斉射撃を1人の射撃で制する。


やっぱ、コイツも銃の腕は物凄いんだな。



「相手の砲撃が止んだ! 今ですわ!」



相手の前衛の一人が、シェリさんの剣で峰打ちされ、もう一人の前衛は、シーナさんの風のような速さの突きで、再起不能になった。


前衛が全員いなくなれば、あとは制圧するのは簡単だ。


シーナさんとシェリさんは、相手の3人の後衛を、戦闘不能にさせ、そこで試合終了のアナウンスが流れた。



「1-1クラスの勝利です! 1-1クラスは2回戦突破!」



観客席では、1-1クラスの雄叫びと、1-3クラスの悲鳴が響いた。


なんとか、俺は何もしないまま初戦を突破することが出来た。









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