10話
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「では結果発表です。1位は20個のシェリ、サイカペアです。おめでとうございます!」
あれから1日。
サバイバル演習が無事終わり、教室で俺達は表彰されていた。
生徒達の「絶対シェリさんの小判鮫だぜアイツ」とかいう小声話が心地良い。
そうだよ! その通りなんだよ! と全力で肯定して回りたい気分だ。
しかし、そういう生徒達をシェリさんが鋭い目つきで一蹴するので皆一斉に押し黙る。
シェリさんはきっと俺を庇ってくれてるのだろうが、動機が分からないな。
寮でも口を聞いてくれなかったし、教室でも俺を避けている。
ずーっと顔も赤いし、全然偉そうにしないし、体調悪いのかな?
「にしても、なんで俺達最後の一日ずっと寝てたんだろうな。あともう少しだったのにな~」
「ほんとそれな! 突然気を失っちまったよな!」
今のところ一般生徒にはバレてないようだが、生徒会長にはバレているらしい。
早く直談判にでもいかないととんでもないことになりそうだ・・・
「それでは、これからは普通の授業となります。皆さん席についてくださ~い」
今日からまた普通の日々が始まる。
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「へー、じゃあサイカさんは本当になにもしてないんですね」
休み時間、俺はティアと駄弁っていた。
普通に喋れるクラスメイトはいなかったので、かなり助かっている。
「ああ。全部アイツが一人でやっちまったよ。水晶20個とかすごいよな。マジで」
「本当に凄いですね。私は全てにおいてダメだから鍛えないと・・・」
ティアは自信なさそうに目を伏せる。
「そんなことないぜ? さっき講義で見てたけど、ティアの魔物知識と一般知識はクラス上位じゃないか。魔物について俺は全然詳しくないから今度教えてくれよ」
ティアは、実技はからっきしだがペーパーの方は物凄く出来る。
俺も最低限の知識はつけておかないと親父に殺されてしまうから、分からない時はティアに教えてもらおう。
「はい! ぜひ教えさせていただきます!」
なんで教える側が嬉しそうなんだよ。
まあ俺は教わる側だしその辺は気にしなくていいのかな・・・
「サイカ。そんなところにいたんだ」
そこにモモがやってくる。
やはり、コイツは俺と話す時だけ全然キャラが違う気がするな。
「おお、モモも休み時間は教室で過ごす派なんだな」
「うん。私はインドアだから。休み時間はゆっくりしたい」
まあ俺も深い理由はないがそんなところだな。
インドアっていうのはいいよな。インドア万歳!
「サイカさん。誰ですかこの人」
ジト目で俺を睨むティア。
いや、失礼だな。クラスメイトだぞ。
「いや、俺達と同じクラスじゃないか」
「それくらい知ってます! 何故そんなにも親しげで尚且つ呼び捨てで読んでいるのかということです!」
いや、それくらい俺の勝手だろう・・・
なぜそんなどうでもいいことでわざわざ糾弾されなければいけないのだろうか。
「サイカ、こんなに可愛いライバルがいるなんて聞いてない。訴訟」
いや、なんのライバルだよ。
銃だったらお前の方が圧倒的に上だから安心しろ。
「ふーん・・・ モモさんもそういうことなんですか・・・」
「ティアさんには悪いけどこの戦いだけは絶対に譲れない」
お前ら仲悪すぎだろ。
「さっきクラスメイトにいじられて涙目になってたくせにサイカさんと話してる時だけキャラ作ってるんですか~?」
「ぐっ・・・ ティアさんだってさっきの講習で教師に指されて答えた後、ドヤ顔でサイカの方をチラ見してたじゃない。あんなものがアピールのつもりなの?」
「うっ・・・ そ、それはたまたまそっちに虫がいて・・・ しかもドヤ顔じゃありませんでした!」
女同士の喧嘩怖ぇ~・・・ ギスギスし過ぎだろ。
「お前らいい加減に仲良くしろよ・・・」
「「誰のせいだと思ってるんですかー!(の!)」」
少なくとも俺のせいではないはずだ。多分・・・
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「大事な話がありますわ」
寮の自分に割り振られた部屋でゴロ寝していたら、シェリさんが急にそんなことを言い出した。
「大事な話?」
「ええ。大事ですわ。とっても大事ですわ」
一体なんだろうな・・・
俺なにかしたっけ。いや、最近は話すらしてないからなにも出来ないか。
「この前、戦闘面で役に立たないなんて言ってごめんなさい。謝ります」
シェリさんは、そう言って頭を下げた。
まさかコイツが頭を下げるなんて・・・
「いや、別に気にしてないからいいよ。戦闘面で役に立たないのは本当だ」
「嘘! 貴方は目視不可能な距離から20人以上の敵を狙って狙撃した」
・・・あれ?
なんでバレてるの・・・?
「いや、待て落ち着け。目視不可能な距離から狙って20人以上もの敵を狙撃? そんなの教師にだって出来ない。あれから俺と合流すらしてないんだから見間違いかなんかじゃないのか?」
「この弾。貴方の物でしょう? 前寮に落ちていました。わたくしと貴方の二人しか生活していなくて、わたくしのではないなら貴方の物で間違いありませんわ。それで、その弾と現場に残っていた弾が同じものだった。オーダーメイドみたいだしもう狙撃した人物は貴方以外おりませんの」
・・・そういえば、前銃の整備をしていたとき弾も一緒に整理してたっけ。
くそ、あんな小さな弾をわざわざ発見されるとは思わなかった。
「だから・・・ 貴方をわたくしに相応しい正式なペアとして認めますわ。今までのことは全て謝ります」
顔を赤くしながら俺に接近するシェリさん。
「そ、そうか。とりあえずそのことは秘密にしておいて欲しいんだけど・・・」
「分かりましたわ。貴方が実力を隠していることも全て、助けて頂いたお礼として二人の秘密とさせてもらいますわ」
女子ってのは皆「二人の秘密」って単語好き過ぎだろ・・・
そんな単語を使われたらこっちとしては変な誤解をしそうだからやめて欲しいんだが・・・
「最後にもう一つだけ貴方に言いたいことがありますわ」
「ん、これで終わりじゃなかったのか?」
「ええ。そ、そのですね。実は・・・」
シェリさんは、俺にキスをした。
なんかこう・・・ 結構重めのアレだった。
・・・えええええええええええええええええ!?
顔を耳まで真っ赤にした俺を尻目に、「おやすみなさい!」と言い残しドアを強めに閉めるシェリさん。
俺はただ呆然としていた。