9話
総合評価が2桁を突破しました!
他の作品と比べればゴミのような物なのでしょうが、作者にとっては宝物です(笑)
これからもよろしくお願いします。
約1000mも離れた所からの射撃。
常人なら不可能だが、世界でトップクラスの実力を持つ銃の使い手なら可能だ。
ちなみに、俺の親父も1000mからの射撃を成功させることが出来る。
ただ、数が数だし手っ取り早く仕留めないと退散されるかもしれないな・・・
ターゲットは約20枚、早撃ちで尚且つ正確に当てなければいけない。
あ、そうだ。弾が相手を10分程度気絶させる痺れ弾じゃ普通に起き上がっちまうじゃねえか。
相手を丸一日眠らせる睡眠弾を30弾分用意し、再び銃を構えなおす。
風もほぼ吹いていないので影響はそんなにないだろう。
さて、剣の姫様を助ける銃の王子を演じてやるとするか
「そんな遠いところから狙撃して・・・ 当たるの?」
「うおおおおっ!?」
背後から誰か来た!?
驚いた俺はうつ伏せに蹲る。
ってカツアゲ事件の女の子じゃねえか!
「いや・・・ そ、そうだよな! 俺もちょっと無茶なんじゃないかって思ってたところなんだよ!」
「でも、50m程度の射撃なら君は難なく成功させる。この間は助けてもらってありがとう。ずっとお礼を言うタイミングがなくて」
気付いていたのか・・・
惚けようにも向こうは確信があるみたいだし、素直にお礼を受け取るしかないか。
「えっと・・・ 気付いてたんだな」
「うん。君は銃の訓練の時だけは間違いなく手を抜いてた。一度照準を合わせた的からわざわざ照準を少しずらして撃ってた。絶対銃に関してだけは只者じゃないなってことは分かってた」
そんなことまで分かるお前の方こそ只者じゃないだろ・・・
「でも、もし1000mもの距離から20人もの人数を射撃できるなら、間違いなく歴代冒険者の中でも最高峰の実力。どうしてわざわざ実力を隠そうとするの?」
心底興味深々という顔で聞いてくる少女。
というかコイツ本当に小さいな。背も胸も。
俺が知り合いの女子には巨乳しかいないから変に意識しないで良くて助かる。
まあ黒髪おかっぱに貧乳ってのも悪くない・・・のか?
「まあ色々事情があるんだよ・・・ そういえばお前もあれだけの銃の知識があっておきながらクラス順位は低いだろ? お前も実力を隠してるんじゃないか?」
「うん。私も隠してるよ。色々な事情があって。でも、1000mからの射撃は流石に無理」
コイツも実力を隠しているのか。
というか、コイツはクラスでいじられキャラみたいになってたが、いざ話してみるとめちゃくちゃ大人って感じだな・・・
人格まで隠していたりするんだろうか。
「そういえばお前、なんでパートナーと離れてるんだ?」
「それは君も同じだよ。というかそろそろ君のパートナーさん危ないよ?」
「あっ、やべ」
そろそろシェリさんがぶっ倒れそうだ。
「あー、えっと」
「モモ。私はモモ・ピルス」
「そ、そっか。モモさん、これから起こることは秘密にしてくれないか?」
「うん、いいよ。二人だけの秘密ね」
「そういう桃色話ではなく結構血生臭い話だと思うんだが・・・」
俺がクラスメイトに発砲するというのを二人だけの秘密と表現するのは無理があるんじゃないだろうか。
「じゃあ・・・ 秘密にしてくれると約束したし、いくぜ!」
俺の無音銃はまず、手始めに3人の的を命中し、眠らせる。
現場ではなにが起こったと慌てふためいているだろう。
「すごい・・・ この距離から本当に当てるんだ・・・」
続いて、5人程度の輪になっていた集団を全員眠らせる。
残りは後10数人ってとこだろうか。
ここまで約3秒程度か。少しかかりすぎだな。
逃げようとした1人を撃ち、その隣にいた2人を狙撃。
立ち尽くしていた3人を撃ち、残りも全員狙撃する。
よし、これでミッションコンプリートかな。
向こうで立っているのはシェリさんだけとなった。
「かっこいい・・・」
モモさんが言った一言は小さすぎて聞き取れなかった。
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「どういうことですの・・・」
わたくしと戦っていた全員はその場から動かなくなりました。
近づいても何もしてきませんし、どうやら気を失っているみたいですわ。
おそらくは・・・ 狙撃? いや、でもクラス順位1位の人ですら15m程度の射撃が限界だったはず。
こっちから確認出来ない遠さからの射撃など、出来るはずがありませんわ。
では一体何が・・・
「うーん・・・ ぐーか・・・ すぴー」
・・・いびき?
まさか寝ているというの?
寝ているクラスメイトを凝視すると、首の裏に極小の弾が埋め込まれていました。
やはり狙撃・・・
「この弾・・・ 冒険者学校で来てからどこかで見たような・・・」
催眠弾自体は珍しくはありません。
でも、この弾はおそらく市販されている物ではありません。
大体こんな小さな弾だと、普通の銃では発射できませんし・・・
では一体わたくしはどこでこの弾を・・・?
見たのは確か・・・ 寮?
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「本当に凄いんだね。サイカは」
モモさんは手放しで俺を賞賛する。
・・・あれ? 俺名前教えたっけ?
「モモさんも俺が手を抜いてるって分かっちゃうんだから相当な実力者なんだろ? 俺、手を抜いてるってバレたのなんか始めてだぜ」
おそらく、俺はコイツも相当な実力者なんだと予想する。
人が手を抜いてるというのをフォーム等だけで看破するなど、そっちの方が難しいんじゃないだろうか。
「呼び捨てでいい」
なぜ今の話の流れでそこを気にするんだ・・・
「そっか。分かった。だからモモは凄いと思うぜ」
すると、モモは顔を桃色に染め、小声で「ヤバイ、マジヤバイ」と呟く。
そうなるなら最初から呼ばせんなよ。
「うん、でも1000mからの射撃を成功させるなんて手を抜かなくても無理だよ」
「そっか・・・ そうなのか~・・・」
改めて俺は実力を隠さないといけないな、と意気込む。
平穏平凡、一生普通に生きる為だ。頑張ろう。
「たださ・・・ サイカって知らなかったの?」
「ん、何がだ?」
「この演習って・・・ 生徒会長がずーっと監視してるらしいよ?」
1話で約2000文字を目指しているのですが、少ないですかね・・・