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末っ子は黒を好む?  作者: ねこぱんちw
転生・幼年編
9/83

2人のクロエ

本日は更新予定では有りませんでしたが、有休が取れたので前倒しでお送りいたします。


暗い暗い闇の中。

私の正面には私!?

「「こんばんはクロエ(わたし)。」」

同じ顔、同じ声で挨拶するって何だかまぬけです・・・

あの試しの儀で獲得したスキルの影響でしょうか?

不思議な現象が起こっています。


確か、試しの儀で死に掛けたときに見習い女神の美雪が加護を発動させて・・・

う~ん、よくわかりません・・・

きっと転生のときの事故?が原因かしら?

まあ、命が助かったわけですし、気にしちゃダメね。

「とりあえず便宜上、あなたをクロエと呼びます。私のことはノワールと呼んでください。」

「わかりました。」

2人してクロエって名乗ってもややこしいだけなので・・・

「まず、最初に謝っておきますね。あなた(クロエ)の体を奪ってごめんなさい。」

「いえ、私だったら黒の当主(ノワール)になれず、母様を失望させたことでしょうから、気にしないでください・・・」

互いを理解したところで現状の確認です。


「私の想像だと、私たちの現状は、1つの体に2つの魂が入った状態だと思うのです。」

「なるほど・・・」

「女神様に相談すれば、私たちの魂を分離させることは可能だと思います。ただ、その場合は、新しい肉体が必要でしょうけど・・・」

「それでは、当面はこのままでしょうか?」

クロエが不安そうなので、1つの提案をする私。

「もしもクロエが望むなら、ホムンクルスの肉体を用意することは出来ますよ。」

「ノワール、本当ですか!?」

キラキラと目を輝かせるクロエ。

「ただ、ホムンクルスの場合、製作時間がかかります。黒鈴メイド隊みたいな小さなゴーレムなら数時間なのだけど・・・」

「え!?あの子の体も使えるのです!?可愛くて気になっていたのです!」

更にキラキラした目で見つめてくるクロエ。

やっぱり女の子が可愛いものが好きなのは何処の世界も一緒なのかしら?

「詳しいことは女神様に聞いてからにしましょう。しばらくは、私の中で外の世界のお勉強をすると言う事で。」

「はい、そのときまでよろしくおねがいします。」

とりあえず、今後の方針が決まりました。

女神様との相談したあとは、母様にも相談しなきゃですね。


そんなこんなで朝になりました・・・

結局、一晩中、クロエとおしゃべりしていたので寝た気がしません・・・

起こしにきたサロメさんに着替えを手伝ってもらい、食堂に移動。

お婆様には何て説明しようかしら?


「一晩寝た割には酷い顔だね。何かあったのかい?」

えぇ、色々ありました・・・

「お婆様、実は・・・」

カクカクシカジカと説明する私。

「はぁ・・・長生きはしてみるもんだねぇ。1つの体に2つの魂なんて話は、あたしも今まで聞いた事がないよ・・・」

呆れた顔をされました・・・

「母様は受け入れてくれるでしょうか?」

心配顔の私を他所に自信ありげなお婆様。

「安心おし、もしも受け入れてもらえないようならうちで暮らせばいいさね。」

ポンっと胸を叩きながらニヤリと笑うお婆様。

素敵です♪

最悪の場合の避難場所も出来たので、馬車で送ってもらい家へと戻りました。


帰宅した私を出迎えた執事のグレイスン(おじいちゃん)は、開口一番「良くぞご無事で・・・お嬢様・・・」と言いながら泣いていました。

う~ん、心配かけたみたいです・・・

ごめんなさい、グレイスン(おじいちゃん)・・・


グレイスン(おじいちゃん)、母様はいらっしゃる?」

「はい、本日はお部屋にいらっしゃいます。」

問題を先送りにしても仕方が無いので、早速、母様の部屋を目指します。

母様の部屋の前に到着。深呼吸してからノックします。

「ただいま戻りました、母様。」

「入れ!」

さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・


お婆様にしたように、試しの儀の最中に起きた奇跡のこと、そして無事に黒の当主(ノワール)になったことを説明しました。

それをじっと目を瞑り、聞いている母様。

しばしの沈黙・・・

そして・・・

「そうか。話は解った。お前たちは本来、双子だったのかもしれんな・・・」

拍子抜けするほどあっさり受け入れてもらえました・・・

よかったよかった。

「ところでクロエ、もう1人のお前はどうしたいと言っている?」

「私が体を用意するまでは、私の中で世界の勉強をすることになっています。」

「体が出来たら私に報告しろ、出産時の情報操作をする。」

「実はその件でお話があります。」

母様のお耳を拝借して、ゴニョゴニョゴニョゴニョゴニョリータ・・・

私は、双子だったことを真実にしちゃいましょうと母様と密談です。

「フフッ、その方が面白そうだな。わかったその案でいこう!」

「父様にも話を通しておいてくださいね。」

ニヤリと笑う母様は、やっぱりお婆様と親子だなって思いました。

こうして、もう1人の(クロエ)を家族に迎え入れる準備は出来ました♪


報告も終り、母様の部屋を退出し、自室に移動。

今度こそ、スキルの確認をしなきゃですね。


「ステータスオープン!」

現状を確認しましょう。


名前:クロエ・ノワール

種族:半神半人(ハーフゴッド)

性別:女

職業:黒の当主(ノワール)・アキュウド商会商品開発部門主任

スキルポイント:0→30

タイトル:女神様のお気に入り♪・黒の当主(ノワール)・異界の姉妹の絆

レベル:6

HP:180/180

MP:209(190)/209(190)

筋力:13→16

知力:15→18

精神:16→19

耐久:15→18

敏捷:16→19

器用:15→18

幸運:10→13


まだ5歳なのに、とんでもない数値になっています・・・

そして、半神半人(ハーフゴッド)って何!?

鑑定してみましょう・・・


半神半人(ハーフゴッド):人から神へと進化を始めた状態。いずれ神へと至る。

私は何時の間に人間を辞めたのかしら・・・


続いてスキル確認。


料理2 裁縫2 値切り3 話術2 スキルレベル上昇 サイズ補正無視


鑑定 異世界検索 錬金術2 創造魔法3 付与魔法1 光魔法2 闇魔法2


魔力消費量軽減2 魔力増加1 格闘3 居合い3 刀術3 剣術2 盾術2


気闘法3 見切り 歌2 猫語 性技4 デュアルマインド(NEW!)

 

始原魔法(オリジン)1(NEW!) 空間魔法1(NEW!) 隠蔽(NEW!)


黒の当主(ノワール)になったことで、スキルを幾つか自動取得しました。

お婆様に言われたように、見られたらまずい種族とタイトルと指輪を隠蔽で隠します。

念のため、スキルの性技も隠した方がいいかしら・・・


今後の予定としては、新しいスキルの確認、戦闘経験を積むこと、この国を守るための何かをしなきゃいけないってところかしら。

後は、クロエの体とクローラの新しい体の作成も忘れちゃいけないわ。

課題は色々ありそうね・・・


自室でうんうん唸っていると、ノックの音が・・・

「失礼いたします、お嬢様。」

シンシアがお茶の用意をしてやって来たので、一息入れましょう。

ティータイムで気分転換が出来たので、大まかな方針を決めた私。

あとは黒い庭園(ブラックガーデン)に行ったときに実行しましょう。


本日は、若干睡眠不足なので、夕食を終えてすぐに就寝。

しかし、事態はそれを許してくれませんでした・・・

コンコンコン!

私の部屋の窓を叩く音がします・・・

目を擦りながら窓を開けると、ブチさんがいました。

「お願いしますにゃ!助けて欲しいのにゃ!」

切羽詰まった声を出すブチさん。

ブチさんの話によると、猫の聖域と言う場所があり、いつからか聖域に瘴気が満ち始め、猫たちが倒れたとの事・・・

これってもしかして、黒の当主(ノワール)の過去の記憶で見た奴じゃ・・・

「クローラ!」

「イエス、マスター!」

私はクローラを呼び出し、着替えを手伝ってもらい、着替えを済ませてからベッドを偽装。

窓からシーツを丸めて作ったロープをたらし、外へ。

ブチさんの案内で聖域に向かいました。


「絶対にはぐれないようにするのにゃ!それでは行くのにゃ!」

ダッシュするブチさんの後ろをしっかり追尾する私たちがいました。

家々の角を縫うように走るブチさん。

そして、段々と景色に変化が・・・

王都の街角を走っていたはずなのに、いつの間にか見たことも無いファンシーな町並みに・・・

童話に出て来そうな町並みだわ・・・

「ここから猫の聖域ですにゃ!」

猫サイズの街には、グッタリとしてうずくまる猫たちの姿が・・・

「父ちゃん、苦しいにゃ・・・」

「体がだるいのにゃ・・・」

ちび猫たちがグッタリしています。

「あの子たちって・・・」

「うちの子供たちにゃ・・・」

ブチさんの子供たちまで犠牲になっていたみたい・・・

「クローラ、その子たちを連れてきて!」

「ショウチシマシタ、マスター!」

2匹の子猫をクローラに抱きかかえてもらい、瘴気の原因を探す私たち。

どうやら聖域の奥に進むほど瘴気が強くなっていくみたい・・・

これってやっぱり・・・

「ブチさん、この先には何があるのかしら?」

「癒しの泉がありますにゃ。怪我をした猫たちの傷を癒してくれるありがたい泉ですにゃ!」

どうやら瘴気の発生源は癒しの泉みたいね。

「ブチさん、そこに案内してちょうだい!」

「わかりましたにゃ!」


そんな私たちを観察する何かがいました。

「グゲゲッ、ナニモノカガセイイキニシンニュウシテキタナ・・・」

「シカシテオクレ、コノセイイキハスデニケガレニミチタ・・・」

「コノオウコクノセイイキガショウキニソマルトキ、アノカタガフッカツスルノダ!ジャマハサセヌ!」


「到着ですにゃ!ここが癒しの泉ですにゃ!」

美しい水を湛えていただろう泉は見る影もなく、代わりにゴポゴポと瘴気を生み出しています・・・


癒しの泉を鑑定してみると・・・

 

<癒しの泉>

状態:異常

汚染レベル:大

瘴気を生み出す危険な状態。

状態を回復させるには浄化が必要!


「父ちゃん苦しいにゃ・・・」

「助けて・・・にゃ・・・」

ちび猫たちもピンチです!!


しかし、私は浄化スキル持っていないのよね・・・

う~ん・・・どうしよう・・・

どうしたらこの子たちを助けられる!?

「(ノワール、始原魔法(オリジン)で作るのはどうかしら?)」

「(クロエ、ナイスアイデア!)」


それでは黒の当主(ノワール)らしく、当主限定の始原魔法 (わたしだけのオリジン)を作ってみましょう!

イメージするのよ!

闇を払う浄化の力を!

瘴気を浄化するには光じゃダメ、ならば!

右手に魔力を集中!

それは、黄金の炎を生み出す!

「Fire Of The Purge!!」

黄金の炎をブチさんの子供たちに浴びせてみる・・・

「にゃ・・・にゃにするにゃ!?」

「猫虐待にゃ!?」

「燃えちゃうにゃ!?」

パニック状態のブチさんと子猫たち・・・

「あれ?熱くないのにゃ!?」

「何だか元気になってきたにゃ!」

「どうなってるのにゃ!?」

ある意味人体実験?みたいだったけど成功ね♪

無事?子猫たちの瘴気が浄化できたみたいね。

「今の魔法は、瘴気を焼き払う浄化魔法よ。体に異常はあるかしら?」

「大丈夫にゃ!」

「もーまんたいにゃー!」

「うちの子で実験しないでほしいのにゃ!」

プンスカ怒るブチさん・・・

非常事態だから許して・・・

「サスガデス、マスター!」

クローラ、今のタイミングで褒めないで・・・


そんな私たちのやり取りを見つめる何かがいました。

「バカナ、ジョウカマホウダト・・・」

「ナントシテデモ、ココデハイジョセネバ・・・」


さて、次は本命の癒しの泉ね。

泉に向かって魔法を放つ私。

しかし、癒しの泉は変化無し・・・

瘴気が強過ぎるみたいね・・・

なら、もっと、もっと強くイメージしなくちゃ・・・

浄化・・・炎・・・

私の口は、自然とその言葉を紡ぎだしていく・・・

「始まりと終わりを告げる者、創生と破壊を司る始原の炎よ!新たな世界を創造せしめよ!!Flame Of The Purification!!!」

突如、猫の聖域の空に巨大な魔法陣が浮かび上がり、空を黄金色に染め上げる。

そして、魔方陣より黄金の炎が溢れ出し、猫の聖域全てを飲み込んでいく・・・

逃げ惑う猫たち、しかし、浄化の炎は猫たちの全身を包み込んでいく・・・

「にゃぁ、猫虐待にゃ!」

死を覚悟する猫たち・・・

「にゃ!?熱くないのにゃ!?」

「何が起こっているのにゃ?」

瘴気でグッタリしていた猫たちも、浄化の炎の力で元の猫へと戻っていく。


「アノカタノタメニ、ハイジョセネバ!」

突如、癒しの泉の中から黒い鱗を持つ人間の大人サイズのトカゲが出現した!

「アノカタノケイカクノジャマニナルキサマタチニハ、ココデシンデモラウ!」

巨大な尻尾で横薙ぎに攻撃してきたわ!

「サセマセン!」

その尻尾を受け止めるクローラ。

しかし、完全には尻尾の衝撃を止められず、片腕が吹き飛んでしまった・・・

「チィッ、ニンギョウフゼイガジャマヲスルナ!」

私は、クローラが作ってくれたチャンスを無駄にしません!

「これでも食らいなさい!Fire Of The Purge!!」

黄金の炎がトカゲの全身を包みます。

「ギャアァアァッッッ!!!!カラダガモエル!!!」

のた打ち回るトカゲ。

「タトエ・・・ココデワレヲタオシテモ、アノカタ・・ハカナラズ・・・フッカツスル・・・」

「サイゴ・・ニカツノハ・・ワレワレダ・・・」

悪役らしい捨て台詞を残し、消滅するトカゲ・・・


やはり、黒の当主(ノワール)の試しの儀で見た奴の黒い影がちらほらと・・・

今回は、猫の聖域を狙っていたみたいですね・・・

未然に防げてよかった・・・


「クローラ、助かりました。いい機会だから、体を新しくしましょうね!」

「オネガイシマス、マスター。」

最高の体を用意してあげなきゃ!


一息ついていると、《世界の声》猫の聖域は猫の神域にランクアップしました!

神域って・・・

もう、何から突っ込んだらいいのやら・・・


「助かりましたにゃ!子供たちも、聖域のみんなも元気になったのにゃ!しかも神域になるなんてすごいですにゃ!」

「ありがとにゃ!」

「でも、あの炎にはびっくりしたのにゃ!」

ブチさんたちは大興奮でした・・・

今回の件の報酬についてはの話は後日にすることになり、ブチさんに家まで送っていただきました。

帰宅した私を待っていたのは、玄関で仁王立ちしている母様でした・・・

私、無事に明日を迎えられるかしら・・・

あと少しで夏休み♪

どのくらい更新出来るでしょう?


<NEW CHARACTER>

クロエ(女性の魂):スキルデュアルマインドにより覚醒したもう1人の自分。

本来生まれるはずだった魂の持ち主。


<NEW SPELL>

Fire Of Purge:清めの火。右手からバーナーのように火を出す。浄化魔法。


Flame Of The Purification:範囲特化型浄化魔法。一定エリア全てを浄化する。


<NEW SKILL>デュアルマインド:同じ魂を持つもの同士で、記憶共有・念話・思考分割・並列処理が可能。


<NEW TITTLE>

異界姉妹の絆:姉妹の絆により、全ての時間・次元・空間でのお互いの状況を知ることが出来る。



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