試しの儀
8月になりました。
夏祭りが3つ同時開催とか止めて欲しいです・・・(あぁ勿体無い)
あちこちから響く花火の音が凄かったです。
最近ブックマークが増えていくのが不思議です。
何処でうちの小説を見つけるのかしら?
クロエです。
現在、試しの儀式で生命の危機です・・・
誰かた~す~け~て~
水晶から流れてくる膨大な情報・・・
歴代当主の記憶だったり、この国の成り立ちだったり、色々な技術だったり・・・
そして、王国を襲う黒い影だったり・・・
だ・か・ら、5歳の女の子の記憶量オーバーですってば!!
何考えているの!?
あぁ、前世の記憶が見える・・・
これは走馬灯!?
そんなピンチの私を他所にのんきに茶飲み話をする2人がいました・・・
「あの子はどうでした母上?」
「あぁ、試しの儀をさせて来た。しかし、あんたのあの自信は何だったんだい。試しの儀は、5歳の娘が受ける儀式じゃないんだよ?」
小首をかしげるベロニカ。
「”女神様のお気に入り♪”だそうですよ」とおかしそうに話すラグリア。
「何だいそれは?」意味が解らないベロニカ。
「あの子の称号です。それなら死ぬことは無いでしょう?」
「はあ!?あの子がそんな称号持ちなのかい!?」驚愕するベロニカ。
「なら、新たなる当主の誕生を待つとしようかね。」
あうぅ、思考が追いつかない・・・
情報量が多すぎるのよ!
何処からか無責任な会話が聞こえた気がするわ・・・
人の苦労も知らないで・・・
誰か救いの手を!
へるぷみー!
情報の波に翻弄される私・・・
そんな私に天の声が響き渡る!!!
「兄様、私の加護を!!!」
《世界の声》『見習い女神の加護???』が発動しました!
あなたの魂と女性の肉体に変化が起きました!
スキル『デュアルマインド』を獲得しました!
私に降り注ぐ光・・・
そして・・・
私が2人!?
コクリと肯くもう1人の私。
彼女?の手が私の手に重ねられ・・・
これは!?
どうやら情報の並列処理をしてくれるみたい。
彼女が情報を小出しに、整列して流してくれるので私への負荷が一気に減少。
これならいけるかしら!?
どのくらいの時間が経過したのか不明だけど、私、やり遂げました・・・
彼女はニッコリと微笑み、その姿を消していきました。
残された私は、疲れ果ててそのまま眠りにつきました・・・
《世界の声》称号『黒の当主』を獲得しました!
特殊スキル『始原魔法』を獲得しました!
スキル『空間魔法』を獲得しました!
スキル『隠蔽』を獲得しました!
レベルが上がりました!
何だか色々と聞こえた気がしますが今はスキル確認なんて無理・・・
ばたんきゅー・・・
気がつくとベッドの中でした。
「知らない天井だわ・・・」一度は言ってみたいセリフをボソッとつぶやく私。
カチャリとドアを回す音がして、メイドさんが入って来ました。
「確かサロメさん?」
「ご気分はいかがですかお嬢様?」
「どのくらい寝てました?」確認してみると・・・
「3日ほど眠っておいででした。湯浴みの用意が出来ております。こちらへ。」
彼女の後に続きお風呂場へ直行する私がいました。
流石に3日も寝たきりじゃまずいですしね・・・
身支度をして食堂へ。
「おや、眠り姫が起きたのかい?」ニヤリと笑うお婆様。
「やっと起きれました・・・」若干疲れが残った声で応対します。
「まあ、とりあえず何かお食べ。サロメ、何か用意しておやり!」
「かしこまりました奥様。」
テーブルに並べられる料理を見ていると、ぐーっと鳴る私のお腹・・・
「お食べ、話はそれからだよ!」
お婆様に促され食事をすることにしました。
やっと一息、お腹が膨れたので肝心のお話をすることになりました。
「さて、お前さんは黒の当主になったわけだが、その意味を理解しているかい?」
「えぇ・・・理解させられたが正解かと思いますが・・・」
試しの儀で見せられた記憶や知識を思い出す私。
「なら結構、それじゃこれを受け取りな!あたしが預かってきた当主の証の指輪さ!」
黒地に赤い薔薇の紋章の指輪を受け取り、左手の人差し指にはめる私。
「あんたはこれで正式な当主だ。ただし、成人してからだがね。」
「そん時は、名実共に黒の当主になる。あんたは今の名前を捨てることになるから覚えておきな!」
この日、私は黒の当主となった。
黒の当主は代々名前の変わりにノワールと名乗る仕来たりがあると過去の記憶で知った・・・
クロエと言う名前は気に入っていたのだけど仕方ない・・・
「それと、忠告だよ!あんたは称号を隠しな!そんなご大層な称号を持ってるのがばれたら、厄介ごとに巻き込まれるよ!」
「え・・・見えるのですか!?」
驚愕する私・・・
「ふぅ・・・気がついてなかったのかい・・・」呆れ顔のお婆様・・・
「とりあえず、変なのに目を付けられる前に隠蔽スキルを取るこったね。」
助言をいただきました・・・
「まずは、当主の最初の仕事をやってもらうよ、ついて来な!」
スタスタと歩いて行くお婆様を追いかける私。
向かった先は昨日、試しの儀をした部屋でした。
「当主の指輪をして、その水晶に触れな!床の魔法陣の転移魔法が発動して、黒い庭園に行ける!その先はあっちでクローラに聞くんだね!」
言われるままに水晶に触れると、魔法陣が光を放ち強制転移・・・
目を開けると、そこは不思議な場所でした。
真っ黒な空間にただよう不思議な家?
丸い結界みたいなものに包まれた建物がつらなっています。
とりあえず玄関を開けると、ガラスの棺に入ったメイドさんがいました・・・
棺には窪みが有り、いかにも指輪を窪みに合わせろと言わんばかり・・・
まあ、お約束?
すると・・・
メイドさんが目をパチリと開きました。
そして私を見つめ、驚愕の表情を浮かべるメイドさん。
突然、棺の扉を吹き飛ばし、私に抱きつくメイドさん・・・
え~っと、この状況は一体!?
「マスター!オカエリナサイ!クローラハコノヒヲズットマッテイマシタ!」
「あの、えっと・・・クローラさん、ただいま・・・」
涙を流す彼女をそっと抱きしめてあげるくらいしか私には出来ませんでした・・・
やっと落ち着いたのか、私から離れるクローラさん。
「モウシワケゴザイマセン、トリミダシマシタ・・・」涙を拭い笑顔を浮かべるクローラ。
「ワタシノナハクローラ、マスターニツカエルメイドゴーレムデス。ナンナリトゴメイレイクダサイ。」
その後、彼女の案内で、黒い庭園の各種施設を回ることになりました。エリアは全部で5つとのこと。その概要は・・・
①居住区:生活の基本の場所。衣食住の拠点。
②ゴーレム工房:各種ゴーレム素材倉庫を併設したゴーレムの製造工場。
③魔法実験室:魔法に関する資料が有る研究室と魔法実験用の実験場。
④錬金工房:錬金術の素材倉庫を併設した研究室。
⑤宝物庫:歴代当主所蔵の魔道具や財産の保管所。
ざっと各施設を案内してもらい、再びゴーレム工房にUターン。
工房の中に入り、クローラに手伝ってもらい各種素材の在庫をチェック。
そして、新たな図面を作り、ゴーレム工房のプラントを起動させる私。
完全自動化とは凄い技術だわ・・・
ちゃくちゃくと組み上がるパーツを驚愕の表情で見つめる私がいました・・・
2時間後、9体の3頭身猫型メイドゴーレムが完成!
彼女たちに魔魂(魔力石と中枢核を組み合わせた物)を組み込んで完成させました。
今日、ここに”黒鈴メイド隊”が誕生しました!
自己学習型にしたので、これからの成長が楽しみです♪
さて、最初の命令は・・・
「黒鈴メイド隊全員に告げる、これよりメイド長クローラの指揮下に入り、黒い庭園の清掃及び守護の任務に当たれ!」
「「「にゃっ!!」」」
シュタッって音が聞こえそうな見事な敬礼を見せる黒鈴メイド隊。
うんうん、頼もしい。
「クローラ、この子たちと一緒に各施設の清掃と状況把握をお願いね。隠し施設の探索もよろしくです。」
「ハイ、カシコマリマシタ。」ニッコリ微笑むクローラがいました。
「今日はこれで一旦戻ります。クローラお願いね。」
挨拶を済ませ、黒い庭園の転移魔法陣を使いお婆様の家へ帰還。
「戻ったのかい?今日は疲れただろうから早めにお休み。サロメ、夕餉の用意を!」
「はい、かしこまりました。」
お婆様の言葉に従い、今日は早々に眠りにつくことにしました。
あ・・・スキル確認してません・・・
明日にしましょう・・・
おやすみなさいzzz
次回の更新は変則になる予定です。
そろそろ短い夏休みの時期なので、ちょっと多くなる予定!?
<NEW CHARACTER>
クローラ:代々黒の当主に仕えるメイドゴーレム。旧式のため、陶器人形のような外見。表情は乏しい。でも、涙だって流せちゃう、だって女の子だもん。
黒鈴メイド隊:クローラ直属の3頭身猫型メイドゴーレム。
<NEW SKILL>
空間魔法:空間の圧縮・拡大・固定が出来る。また、位相空間を形成し、転移も可能。
隠蔽:自分や物を他の物で覆い隠すことが出来る。ステータスの見せたくない部分を隠すことが可能。
始原魔法:各当主だけが使える1代限りの魔法。当主が自由に魔法を作れる。
特殊スキル”デュアルマインド”:本来なら起こりえない奇跡。女性の体に男性の魂が入ったクロエだけが使用可能。女性の魂を呼び起こし、記憶領域拡大・並列処理・思考加速・思考分担が出来る。