姉の恋愛事情
結婚、それは自分だけでは出来ないのです!
両親の早く結婚しなさい!発言がとっても耳に痛い今日この頃・・・
はい、します!とは言えないのですよ・・・
私の名はルテア・カーマインまもなく30歳の大台が見えてくる微妙なお年頃。
カーマイン家次期当主である。
現在、母様より呼び出しを受け、母様の部屋に移動中・・・
憂鬱だ・・・
また、例の件で追求されるに違いない・・・
ため息が止まらない・・・
覚悟を決めて、母様の部屋の扉をノックする・・・
「入れ!」
私に救いの手は無いのか・・・
「昨年からの連続誘拐事件の犯人に逃げられたそうだな、何をやっている?」
そう、昨晩のアレは失敗だった・・・
昨年末からの連続誘拐犯(黒いローブに身を包んだ2人組)が再び現れ、同僚たちと追跡したまでは良かったのだが、直線の道に出たところで末っ子直伝のファイヤーバードアタックを発動!
一気に決めに掛かった所、ひょいっと避けられ、壁に激突、屋根に積もっていた雪に押しつぶされ、追跡失敗となった・・・
いけると思ったんだが・・・
「済んだ話を繰り返しても仕方ないな、それよりも、お前の夫となる男は何時になったら連れて来るのだ!」
ガンっと机を叩く母様。
「痛い!」
うん?誰かの声が聞こえたような?
「母様、何か聞こえませんでしたか?」
「いや?私には何も聞こえんぞ、話を逸らすなそんなことよりどうなんだ!」
ほらきた・・・
「あの・・・それがですね・・・」
ギラリと睨んでくる母様。
「相変わらず煮えきらんな、私のようにさっさと押し倒して来い!お前は本当に私の娘か?大体お前はだな・・・」
あぁ、また始まった・・・
母様の説教が始まると長いんだ・・・
「わかっております、それでは失礼します!」
「待て、まだ話は終わっていない!」
返事もそこそこに逃げるように母様の部屋を退出する私がいた・・・
「ちっ!逃げたか・・・まあいい・・・出てきていいぞ!」
ふぅ・・・やれやれ酷い目に合いました・・・
ネロです。
先程、興奮した母上に机の下で蹴られました・・・
何でこんな場所にいたかって?
それはね・・・
「ネロ、報告しろ!」
「母様、NNNを姉様の身辺調査に使わないで欲しいのですが・・・」
ギロリと睨んでくる母様・・・
「母親としてあの子の相手を知る権利がある!早く話せ!」
あぅあぅ・・・
姉様、許してください・・・
ため息をついてから報告開始。
「現在、姉様と一番接点がある男性は、同じ守備隊に所属するアドル・ノートさん25歳。ノート男爵家の三男で、ブラウンの髪に黒い瞳の男性です。性格は温厚で、女性に人気があるみたいです。」
「ふむ、三男か・・・優良物件だな。引き続き調査を!」
だ・か・らNNNを私用で使わないで欲しいんですってば・・・
昨晩の一件、姉様が誘拐事件の犯人と追いかけっこをしていた裏側で、黒鱗の使徒が下水道にて怪しげな儀式を行っているという情報を得た私たちは、アジトである下水道にてワニ顔の使徒と戦っておりました・・・
まさか敵が二正面作戦をしてくるとわ・・・
こちらも戦力増強しなきゃかしら?
そんな忙しいときに母様からの有無を言わせぬ身内の身辺調査依頼・・・
もう、猫の手も借りたいです・・・
うん?私の服の裾を誰かが引っ張ります・・・
「「「にゃっ!」」」
視線を下げると黒鈴メイド隊が整列していました。
私にはたくさんの猫の手がありますよね♪
そっと頭を撫でてあげました。
母様の部屋を後にした私は、自室に戻り、ブチさんに連続誘拐事件の情報収集と姉様の身辺調査続行を指示するのであった・・・
私たちがそんなことをやっている同時刻。
北の山脈にある怪しげな寺院。
そこでは邪悪な計画が進行していた・・・
「ギギギッ、ケイカクハジュンチョウノヨウダナ。オウトニキザンダマコクインモアトスコシデソロウ。ケドラレルデナイゾ!」
「オマエタチサンキョウダイニアノカタノフッカツガカカッテイルトイッテモカゴンデハナイ、シンチョウニコウドウセヨ!」
「ジャマモノガイルヨウダ、ケイカイダケハオコタルデナイゾ!」
「「「オマカセクダサイ、ワレラサンキョウダイ、コノイノチニカケマシテモコノケイカクヲセイコウサセテミセマス!!」」」
「「「「スベテハアノカタフッカツノタメニ!!!」」」
誘拐事件の警戒態勢を維持する騎士団&NNN。
しかし、1週間何事も無く経過・・・
事件が沈静化なんてありえないし・・・
相手の目的も良くわかってないし、相手の出方待ちなのが辛いところです・・・
共通しているのは、誘拐されたのが10歳未満の少女ということ・・・
まさか誘拐犯はロリコン!?
そんなわけないか・・・
自分の推理にツッコミを入れる私です・・・
不思議なのは、誘拐された少女たちは誰一人殺されていないということ。
普通、怪しい人に誘拐されたら生贄にされちゃうとか思うんだけど・・・
う~ん、謎だわ・・・
そうそう、NNNが監視しているルテア姉様の方も進展無し・・・
ルテア姉様の監視には、NNNの隊員の中で恋バナ好きなメンバーが率先して任務に当たっている・・・
いつまで身内の身辺調査を続けなきゃいけないのかしら・・・
うちって秘密組織なのよ・・・
部隊を最小限残して撤収しようかと思っていたら・・・
「きゃーーっ、誰か助けてー!!」
絹を引き裂く乙女の悲鳴!
事態が動いたみたい!
姉様の動向を注意しつつ、私たちも移動開始。
「全員、猫耳ローブ装着!」
「「「にゃっ!」」」
お揃いの認識障害魔法付き猫耳ローブを身に纏い、悲鳴が聞こえた場所へと急行しました。
私たちが到着すると、先客がいました。
姉様と騎士数名。
その中には噂のアドル・ノート氏の姿もあります。
これって姉様とくっつけるチャンスかしら?
様子を見つつ、釣り橋効果を狙いましょ!
「待てーーーっ!少女を解放しろーっ!」
「今日こそ捕まえてやるーーっ!」
「マテトイワレテマツバカガイルカ!」
「マイドマイドシツコイヤツラメ、コレデモクラエ!」
被っていたフードを捲り上げ、口から白い何かを騎士たちに放出する2人組。
「当たるか!」
ヒラリと回避する姉様&アドル氏。
避けそこなった2人の騎士が白い何かの餌食に・・・
「ぐぅぅ、取れん!」
「ベトベトして動けない・・・気持ち悪い・・・」
グッチャグッチャという擬音が聞こえて来そうね・・・
鳥もちみたいなものかしら?
脱落した2人はそのままにし、姉様たちを追跡しましょ。
「薄情者ぉぉぉっ!」って叫び声が聞こえたような・・・
キニシチャダメ・・・
うん、姉様たちを追跡々!
「応援を待つんだルテア!我々だけでは無理だ!」
「離せアドル、少女の危機だぞ!今助けなくて何時助けるというんだ!」
強引にアドル氏の手を振りきり、1人で2人組に突っ込むルテア姉様・・・
「シツコイ!ココデシンデオケ!」
先程同様、白い何かを連発してくる2人組。
「加速!ふん!当たらなければどうということもはない!!」
魔法による肉体強化により通常の3倍の速度を出し、華麗なステップで攻撃を交わすルテア姉様。
「バカメ!ソノコウゲキハオトリダ!ホンメイヲクラエ!」
「しまった!?」
黒いローブの下からの尻尾の攻撃をまともに受けて吹き飛ぶルテア姉様・・・
「ぐぅ・・・貴様たち、人間ではなかったのか・・・」
苦痛に顔を歪めるルテア姉様。
「オマエタチノヨウナカトウセイブツトイッショニサレテハコマル!」
「テコズラセオッテ、ココガキサマノハカバダ!」
シャキーンッ!
その手には、私の鎧を紙くずのように切り裂きそうな爪が現れる・・・
振り下ろされる奴の手・・・
そして私は死を覚悟した・・・
ガキンッ!
「ハァァァッ!!」
目を開けると、異形の者の攻撃を剣で受けるアドルの姿が・・・
「アドル・・・どうして!?」
「君を死なせない!!!」
あれ、彼ってこんなに素敵だった!?
胸がドキドキする・・・
そろそろ出番みたいね。
それでは愛のキューピッド作戦を開始しましょ。
お邪魔な黒鱗の使徒たちにはご退場願いましょ!
「やるわよみんな!」
「「「にゃっ!!!」」」
「「「了解!」」」
ルテア姉様たちの元に舞い降りる黒い影!
「「ナニモノダ!」」
聞かれたからには名乗らなきゃね!
それがお約束♪
「我は夜を統べる者、黒猫姫!夜を騒がす不届き者共、覚悟するがいい!!」
「クロネコヒメダト!?ネコノオウノケンゾクカ!?」
「シャラクサイ、カエリウチニシテクレル!」
ローブの下から出て来た顔はヤモリでした・・・
うん、アップは止めて・・・
とりあえず、謎が一つ解けたわね。
行き止まりから姿を消したのは、壁をつたって移動したからってことね・・・
まあ、タネさえわかればどうってことないわね。
「琥珀、2人を安全な場所へ!他の者はあいつ等の相手を!」
「「「了解!」」」
「「「にゃっ!!」」」
ジリジリと距離を詰める私たち。
「コチラニハヒトジチガイルコトヲワスレタワケデハアルマイナ?」
「コイツノイノチハイラナイノカ?」
「お願い、殺さないで・・・」
そんな脅しが私たちに通じると思っているのかしら?
「あなたたち相手に交渉なんてしないわ!シャドウバインド!」
影でしっかり拘束!
「人質確保!」
「「「了解!」」」
影の鎖で拘束された黒鱗の使徒より少女を救出!
お覚悟はよろしくて!
「私の領域で随分と好き勝手やってくれたようね!覚悟はいいわね!」
拘束を引き千切ろうともがく2人組。
「グゥゥ、コンナモノナド・・・」
「ワレラガコンナトコロデヤラレルワケニハ・・・」
往生際が悪いわね・・・
「さあ、犯した罪を数えながら消えるがいい!Flame of the condemnation!!」
邪悪を祓う浄化の炎が周囲を黄金に染める。
「グゥアアァァァッ、コノチカラ・・ハジョウカノ・・・」
「カラダガキエテイク・・・」
光の粒子となり着えていく使徒たち・・・
さて、こちらは一件落着ね♪
姉様たちの方は?
振り返ってみると・・・
「ルテア、無事でよかった!僕は君のことが好きみたいだ!もう、離さない!」
「本当!?アドルが私を!?嬉しい!!」
周囲を気にせず抱き合う2人・・・
応援にやって来た騎士たちが生暖かい視線で見つめていることに気がついて欲しいわね・・・
保護していた少女を騎士たちに預け、私たちは撤収。
これで誘拐事件も無事解決かしら?
バカップル(仮)を放置し、そそくさと現場を後にしたのであった・・・
後日、騎士たちの応援が遅かった理由が判明。
同時刻に黒装束の男による少女刺傷事件が発生、その犯人を追跡していたらしい・・・
この一件をもっと注意していれば、後に続く悲劇を防げたかもしれないことを私は知らない・・・
次の日。
「それでは母様、行って来ます!」
元気一杯、満面の笑顔で初デートに出発するルテア姉様・・・
「そうか・・・行って来い・・・」
「・・・」
ピンクと赤のリボンにフリルのスカートに身を包んだ姉様がそこにいました・・・
「母様、姉様の趣味を知っていましたか?」
「私も知らなかった・・・」
「お二方ともご存じなかったのですか?ルテア様付きのメイドに聞いたことによると、ご自分の部屋ではいつもあのようなお召し物を着用していらっしゃるとか。」
シアが姉様の話をしているのですが、耳からスーーッと抜けていきます・・・
姉様の知らない一面にショックを受けた私たちでした・・・
基本、週末更新です。
ご意見・ご感想・誤字報告等おまちしております。
<NEW CHARACTER>
アドル・ノート:ノート男爵家三男の25歳。ルテア姉様と恋人になる。今まで女性との経験が無く、デートも初めて。初々しい関係である。




