味覚狩りツアー♪(後編)
暖かい物が美味しい季節。
でも、食べすぎには注意しましょう。
運動量増やさなきゃ・・・
ネロです。
心臓がドキドキしています。
正直帰りたいです・・・
「よし、いきます!」
覚悟を決めてギルドマスターの部屋をノックノック!
「お入りなさい。」
扉を開けたその先にいたのは、余裕の笑みを浮かべるギルドマスターとニコニコ微笑みながら手を振ってくるルティアでした・・・
あなたがいたら恍けられないじゃないの!!!!
既に逃げ道は無いって事ですね・・・
ため息を一つついて入室する私がいました・・・
「さて、まずは我が同胞を救ってくれたお礼を言わせてもらうわ。ありがとう、私もギルドマスターの立場さえなければ駆けつけたのだけど・・・」
私に頭を下げてくるギルドマスター。
本題はこれからよね・・・
「報酬の件は、ギルドランクを現在のFからEに上げようと思っています。報奨金については検討中です。そ・れ・で、どうやってあのポイズンスパイダーたちを倒したのかしら?報告をお願いしたいだけど?」
ほらきた・・・
「企業秘密です!!それと、報酬も報奨金もいりません!ギルドの依頼を受けたわけじゃありませんから!」
手の内さらすわけないでしょ!!
大体のことはルティアから筒抜けでしょうけどね・・・
「そんな、私たちの村を救っていただいたのに報酬も報奨金もいらないだなんて・・・」
この面倒な事態は自分が原因だってわかっているのかしらこの子は?
内心、ため息連発です・・・
「ルティア、ギルドのルールを曲げるわけにはいかないでしょ?どうしても報奨金をくれると言うのなら、アキュウド商会とエルフの村で交易してちょうだい!」
なら、状況を最大限に利用しましょう!
一瞬、ギラリとギルドマスターの目が光ったのは見なかったことにします・・・
「アキュウド商会ね?あなたにどんなメリットがあるのかしら?場合によっては、私が口利きしてもいいのよ。」
「私、あそこの商品開発部主任なので、エルフの村の食材が手に入ると助かります。」
私のステータスを見て知っているのに白々しいですね・・・
「そう、わかりました。ギルドとしては、今回の件は謎の現象で済ませますが、私にだけはそれなりの報告はしてもらえるわよね?」
にこやかに圧力をかけてくるギルドマスター・・・
流石に長く生きているだけ合って老獪だわ・・・
「他言無用になりますよ?漏れた場合、あなたに死んでもらいますがよろしいですか?その覚悟がおありならお話しましょう!」
私も釘を刺しておきます。
やられっぱなしなんてごめんですから!
敵認定しましょうか?
パチパチパチッ!!
私とギルドマスターの間で謎の放電現象が発生!
ピリピリした空気に、やっと現状を理解したルティア・・・
「えっ!?・・・あの・・・」
泣きそうな顔でおろおろしています・・・
先に折れたのはギルドマスターでした。
「ふぅ・・・別にあなたと敵対したいわけでは無いので、報告の件も含めて謎の現象で通すことにします。アキュウド商会の件については、私の方で話をまとめてもいいかしら?」
「はい、よろしくお願いします。それと、森への立ち入り禁止は解除になってますか?」
本日の本題を聞いておかないとね。
「えぇ、本日付で森の立ち入り禁止命令は解除になっています。何かあるのですか?」
「友人たちと秋の味覚狩りツアーに行く予定なのです。それでは準備がありますので、これで失礼します。」
聞きたいことは終ったは、さっさとこの場を去りましょう!
静かにしていたルティアが復活!
「あの・・・お供してもよろしいでしょうか?」
うん、味覚狩りに?
「いいけど、あなたには珍しくも無いでしょ?」
「私も森には詳しいので、ご案内出来ます!」
私やります!オーラを発動するルティア・・・
連れて行くしかないわね・・・
「じゃあ、行きましょう。それでは失礼します。」
一礼し、ギルドマスターの部屋を後にした。
森に行く前に八百屋でジャガイモとサツマイモを購入。
おっと、ルティアがいるので、例の試食用に大根も買っておきましょうかね。
私の視線に気がついたルティアの不思議そうな顔が印象的です。
「あの、森に行くのに必要なんでしょうか?」
「ちょっと、料理をしようと思ってね♪」
いたずらっぽく笑う私がいました。
さて、待ち合わせ場所に行くと・・・
「ネロちゃん遅いです!待ちくたびれました!」
「お嬢様、寄り道ですか?」
「姉様、早く行きましょう!」
「・・・」
何故か呼んでもいない人たちがいます・・・
しかも3人も・・・
「クロエ、シアは無許可で森に入るつもり!?」
冒険者でもない民間人が危険な森に入るのは禁じられています。
2人を問いただす私。
すると、自慢げにギルドカードを見せびらかして来ました・・・
「ふふーん、冒険者ですよー♪もう、お留守番なんてしません!」
「お嬢様、問題ありません!私もいつもご一緒できます!」
いつの間に・・・
そんなことより・・・
「クロエ、あのエルとアールの装備は何なの!?この森を不毛の大地に変えるつもり!?」
「ネロちゃんが森は危険だって言ってたから、一番凄い装備にしてもらったのだけど?」
殲滅兵器はやりすぎでしょ・・・
遠距離型のエルが装備しているのは、コメットブラスター。
その名前からピンとくると思うけど、浮遊する4枚の盾と背部装備からなるこの武器は、盾の裏側と背部発射装置から放たれた子機が召還陣を形成し、流星を降らすというとっても物騒な兵器である。
そんなものを森で使えば、たちまち不毛の大地の出来上がり・・・
近距離型のアールも以下同文・・・
近接殲滅兵器、ガイアクラッシャー。アールの背丈の倍の大きさの巨大なハンマーと両手に装備された巨大なガントレットからなる武器。
名前からわかるように、大地そのものに作用し、一定範囲に地震を引き起こすこれまた危険な武器。
私は、エルとアールに指示を出し、無難な?装備に換装させました。
自動防御機能の盾イージスと自動迎撃の追尾型ユニットファルコン、中距離用にはマルチロック付の鞭のナインテイル、近接用にはヒートクロウで決まりです!
「嬢ちゃん、過保護だな・・・」
いつの間にかやって来た熊さんが呆れた顔で私を見てきます・・・
熊さん、そうかしら?
だって、間違って殲滅兵器を使われたら味覚狩りツアーどころじゃありませんよ?
「とりあえず、味覚狩り日和だな!」
元気いっぱいの熊さん。
あとはチャンリンシャンだけね。
じゃあ、いつもの笛を・・・
プップクプー!
毎回のことながら、この音はどうにかならないのかしら?
「よばれて~」
「とびでて~」
「はらへり~」
いつものテンションでやって来るチャンリンシャン。
「参加者はこれで全員ね。それでは熊さん、味覚狩りツアーに出発しましょう♪」
「おう!案内は任せてくれ!移動手段が無い奴は俺に乗れ!」
「「お邪魔します。」」
クロエとシアとパメラさんとルティアは揃って熊さんの背中へ。
ちゃっかり熊さんの背中に便乗するチャンリンシャン・・・
あなたたち、飛べたでしょ・・・
私は新装備のお披露目です♪
「ネロちゃんそれは何!?」
興味津々のクロエ。
「これは、新装備のウルフローダーです!」
早い話が、狼型ゴーレムです。
前回のホバーブーツだと景色を楽しめなかったので、乗り物を作ったわけです。
気分はウルフライダー♪
クロエ、そんな欲しそうな顔してもダメよ、まだ試験運用段階ですから!
安全対策しっかりとです!
それでは、秋の味覚狩りツアースタート!
「まずは山葡萄だ、ちょっと酸っぱいが慣れれば美味いぞ!」
「うまうま~」
「さんみ~すっぱ~い」
「みんなむらさき~」
うん、山葡萄を食べた皆の舌が紫色です。
「ネロちゃん、ほらほら!」
紫色に染まった舌を見せてくるクロエ。
初めての森ではしゃいでます。
「よし、次に移動するぞ!次は銀杏だ!」
まさに秋の味覚ですね。
段々と異臭がしてきます・・・
この臭いが無ければいいのだけど・・・
「くちゃい~」
「まずそぅ~」
「ぱすいち~」
チャンリンシャンには不評みたいね・・・
「はいはい、素手では触らないでね!周りの果肉はいらないから、中身の種だけ回収してくださいね。」
「了解だ姉様!」
「かしこまりました!」
2人ともいい返事ね・・・
私の指示にうれしそうな顔で応える2人。
そんなに指示を出されたかったのかしら?
皆、思い々の方法で銀杏を収穫していく。
枝を使ったり、脚で踏んで、果肉をグリグリっと取ったり・・・
靴の臭いは大丈夫なのかしら?
うんうん、これだけあれば茶碗蒸しや、炙って母様のお酒のつまみになりそうですね。
「次はメインデッシュの栗だな!このまま東に行けば、でっかい栗の木があるから取り放題だ!」
「「「おぉーっ!」」」
「いがぐり~」
「くりくり~」
「はやくはやく~」
歓声を上げる私たち。
しかし、空気を読めないエルフが1人・・・
「あの、栗なら南の巨木が一番取れます!」
「あん、エルフの嬢ちゃん、俺の案内に文句あんのか!」
2人の間に見えないはずのスパークがバチバチバチッ!
一気に一触即発の空気に・・・
やれやれ、折角のイベントで喧嘩は止めて欲しいわ・・・
「はいはい、喧嘩はそこまで!熊さんの企画した味覚狩りツアーに口を出したんだから、今回はルティアが悪いから謝りなさい!」
森のことだし、口出ししたいのはわかるけど、他人の企画に口出しはNGよね・・・
「すみませんでした・・・」
しょんぼりするルティア。
フォロー入れておきますか。
「ルティア、悪いと思うなら、後日、あなたの企画のツアーを用意しなさい!熊さんもそれでいい?」
「嬢ちゃんがそう言うなら・・・」
「はっ、はい!」
うんうん、大丈夫そうね。
気を取り直してリスタート!
東の栗の木に移動し、早速栗拾い開始♪
「いがぐり~」
「つんつん~」
「ちくちく~」
「3人とも食べ物で遊ばないで回収しなさい!」
食べ物はおもちゃじゃありません!
「熊さん、そろそろお腹が空いて来ましたし、小川に移動しましょう!」
「おう!そこで料理か?」
もちろんです!
移動しながら胡桃も回収♪
胡桃は色々使えて便利です。
小川に到着!
「熊さん、魚をお願い!ルティア、他のメンバーを連れて薪ときのこを取ってきて!私はかまどを作ったりして待ってます!」
「「「わかりました!」」」
「おう、任せろ!」
「はらへり~」
「ごはん~」
「おてつだい~」
全員で分担して作業開始!
石でかまどを作って、次は持ってきたジャガイモとサツマイモと大根を洗っておきましょう。
「大漁だぞ!」
魚を持って戻って来た熊さん。
魚を受け取り、塩焼きの準備です♪
「おまたせしました!」
「「「ただいまー」」」
「たいりょう~」
「いっぱい~」
「がんばった~」
薪&きのこ狩り部隊も戻って来ましたね。
「おみやげなの~」
チャンリンシャンが私に渡してきたのは、赤いきのこ・・・
赤いカサに白い斑点って、これってもしかして・・・
鑑定すると・・・
ベニテングダケ:強い毒性を持つ毒きのこ。嘔吐、下痢、消化器の中毒症状、筋肉の痙攣、一時的精神の錯乱を引き起こす。
「・・・」
これをどうしろと?
「チャンリンシャンはこれを食べるのよね?他の皆は、美味しいものを用意しますね!」
「ごめんなの~」
「ゆるしてなの~」
「できごころなの~」
必死に謝るチャンリンシャン。
ご飯抜きはこたえたみたいね・・・
薪を受け取り、焚き火を二つとかまどに火をつける私。
先日、アキュウド商会で仕入れてもらった物の真価を見せます!
それは、アルミホイル!!!
錬金術がんばりました・・・
「お嬢様、お手伝いします!」
シアと一緒に下準備♪
皆が取ってきたきのことバターを一緒にアルミホイルで包んで焚き火の中へ。
ルティアの分は、バター抜きでもう一つの焚き火へ投入。
その間に、ジャガイモをかまどで蒸かします。
手が空いたら、アルミホイルでサツマイモを包んで火の中へ。
最後に、魚の塩焼きを焚き火の周りに立てていきます。
「ネロちゃん美味しそうです♪」
「姉様、待ちきれない!」
「いい匂い・・・」
「「「おなかすいた~」」」
「まだか?」
欠食児童はチャンリンシャンだけじゃないみたいです・・・
さて、そろそろ出来たかしら?
焚き火からアルミホイルを取り出し、中身を開封。
辺りに立ち込めるバターの匂い。
うん、食欲を掻き立てますね。
シアと2人、料理を皆に配っていきます。
「皆にいきわたった?それではいただきます!」
「「「「いただきます!!」」」」
一斉に食べ始めました。
「ルティアはこれを試して、ポン酢って言うのよ。」
「私が食べて大丈夫ですか?」
材料から考えてあります!
その前に、大根の皮を剥き、新しく作った調理器具『おろし金』の出番です♪
きのこの上に大根おろしを投入、そこにポン酢をたらして出来上がり♪
「さあ、召し上がれ♪」
「美味しそうです!」
一口、パクリと食べたルティアは恍惚の表情・・・
「はうぅ・・・これ美味しいです!あっ、おかわりいただけますか?あと、これって作り方教えてもらえますか?」
「はいはい、今度村に教えに行くわね。」
かなり気に入ったみたいです。
「はいはい、おかわりはすぐ用意します。チャンリンシャン、サツマイモとジャガイモもあるから、欲しかったら言ってね。」
ルティアのおかわりの用意をしつつ、皆におイモを薦めます。
「ネロちゃん、おイモ両方ちょうだい!」
「姉様、私も両方!」
「サツマイモ~」
「りょうほう~」
「ジャガイモ~」
クロエ、そんなに食べて大丈夫?
おイモを真ん中で割り、バターを投入。
「ネロちゃん、美味しい!!!」
「バターがいいですねお嬢様!」
「森でこんな贅沢をしてもいいのか、姉様?」
大絶賛でした。
美味しいは正義です♪
本日の味覚狩りツアーは大盛況でした。
次回は、私が案内する!とやる気満々のルティア。
また、皆と一緒に美味しいものでも食べましょう♪
基本、週末更新です。
ご意見・ご感想・誤字報告等お待ちしております。




