報酬は美味しい?
ついに10万文字突破しました!
とりあえず最初の目標をクリアです!
まだまだいきますよ!
グツグツ煮立つ鍋、設営されていく宴会場。
周囲には美味しそうな匂いが漂い始めます。
ただいま戦勝祝いの準備の真っ最中のエルフの村からお届けします。
待っている間に村長さんとご挨拶(自己紹介)をしておきましょうね。
「改めまして、冒険者をやっておりますネロと申します。後ろに控えているのは、私の仲間たちと友人の熊さんとフェアリーラビットのチャンリンシャンです。」
「こちらこそ、村を救っていただいたうえ、精霊樹様も救っていただきありがとうございます。本当にこのような報酬でよろしかったのですか?」
私は後ろに控える皆に視線を向けます。
もちろん!と言わんばかりに強く肯いています。
「えぇ、問題ありません。エルフ料理を食べてみたいと思っていたのです!」
「わかりました、どうぞ存分に召し上がっていって下さい!」
早くご飯が来ないかしら?
お腹と背中がくっ付きそうなネロです。
料理が出来るまではエルフの村の特産の飲み物で我慢我慢!
「はらへり~」
「げんか~い~」
「は~や~く~」
欠食児童代表のチャンリンシャンは限界みたい・・・
そんな様子を微笑ましそうに見つめるエルフの主婦たち。
「はいはい、もう少しで完成しますからお待ちくださいね。」
うんうん、平和です。
「今なら肉じゃなくても何でも食えそうな気がする・・・」
グッタリと地面に突っ伏す熊さんもそろそろ限界かしら?
エルフは菜食主義だからお肉は出ないでしょうしね。
それにしても、エルフ料理ですか・・・
どんな料理が出てくるのかワクワクしますね♪
出来上がった料理が次々とテーブルに並べられていきます。
予想通り、野菜中心のメニューですね。
炒め物、煮込み、スープなどが並んでいます。
くんくん、この魂を揺す振られる香りは・・・
味噌と醤油!?
まさか、前世の味にまた巡り合えるとは・・・
エルフが発酵食まで作ってるとは想定外です・・・
うん、あれは!?
白い物が器によそわれて運ばれてきます・・・
あれはま・さ・か!?
「村長さん、あれはお米では!?」
私の声は震えていました・・・
「おや、よくご存知で。お米は我々エルフの主食になります。パンはバターなどの乳製品を使うので、私たちには合わないのですよ・・・」
苦笑交じりに言う村長さん・・・
まさかエルフの村に私のソウルフードがあるだなんて!
エルフの村の重要度が一気に増しました。
村長さんの挨拶が長々とあり、いよいよ戦勝祝い(宴会?)がスタート!
「それでは村と皆のの無事を祝って乾杯!」
「「「乾杯!!」」」
私は未成年なので、エルフの村産のブドウジュースで乾杯です。
「はふ~」
「うまうま~」
「もぐもぐ~」
料理をがっつく欠食児童代表のチャンリンシャン。
その横では・・・
「量が足りねぇ!大至急追加で!お米もおかずも大盛りで!!」
熊さんも凄い食欲です・・・
さて、いよいよエルフ料理の実食です!
「では、いただきます。うん、これは・・・」
野菜中心なのもあり、お米と合わせて食べると味が物足りないような・・・
「味の深みが足りません・・・」
えっ・・・!?
振り返るとそこには、いつのまにか現れたキュイジニエの姿が・・・
「あの、そちらの方は・・・」
村長さんも驚いています・・・
「彼女は料理神のキュイジニエさんです。エルフ料理に興味が合ったみたいで、試食に来たのでしょう・・・」
「その通りだ、しかし私はこの味では満足出来ない、ネロ、作り直して・・・」
シーンっと静まり返る宴会場・・・
「「「「ははぁっ・・・女神様とは露知らずご無礼を!!」」」
ズザザーッという音と共に皆が跪きます・・・
えーっと・・・この状況をどうしろと?
「はぁ・・・仕方ありませんね。村長さん、ちょっと食材を分けてください。」
「か・・かしこまりました、すぐに用意しなさい!」
村長さんの号令で慌しく動き出す主婦の皆さま・・・
食材が来るまで調理器具を出して準備しましょう。
「クローラ、黒猫メイド隊各員は手伝いよろしく!」
「かしこまりました!」
「「「にゃっ!!」」」
それではエルフの村で臨時クッキングスクールを開催します。
「それでは皆さま、メモの用意はよろしいですか?」
「「「はいっ!先生!!」」」
皆さま乗りがよろしいですね・・・
「これから教える調理法は、精進出汁とブーケガルニと言います。エルフの皆さまにはとても効果的な調理法だと思うので、忘れずにメモしてくださいね。」
「ふむ、精進出汁とブーケガルニか・・・」
興味津々のキュイジニエさんがいました・・・
「まず、精進出汁ですが、肉や魚を一切使わず、大豆・干瓢・昆布・椎茸などの乾物の戻り汁、あるいは煮出し汁のことをいいます。この出汁を料理に加えると味に深みを出すことが出来るのです。エルフの村で一番手に入りやすいのは椎茸でしょうね。普通に森に自生してますし、昆布につきましては、海のものなので、王都で仕入れると良いでしょう。」
「ほほーっ・・・出汁ですか・・・」
「これで味に深みが出るのですか・・・」
「試してみなきゃ・・・」
「興味深い!」
「続いて、ブーケガルニですが、パセリ・タイム・ローリエ・エストラゴンなどの香草類を数種類束ねたものです。ちなみに単一の香草を束ねたものはブーケサンプルといいます。ブーケガルニは煮込み料理の風味付けにもちいられ、用途によって香草を変えて使います。」
「そんな方法が・・・」
「煮込み料理に応用ね!」
エルフの主婦の皆さまには好評のようである・・・
着々と進んで行く料理教室・・・
ドウシテコウナッタ?
宴会料理をエルフの主婦の皆さまと作り直し、仕切り直し。
これで文句は無いでしょ!キュイジニエさん!
しかし・・・
「甘味が欲しい!甘味の気分なのだ!」
このわがまま女神はどうしたらいいのかしら・・・
「はぁ・・・わかりました・・・時間がかかってもいいですか?」
「甘味のためならば!!」
そんな力説されても・・・
疲れた顔で村長さんに話しかける私がいました・・・
「村長さん、もち米ってあります?」
「えぇ、ありますが、しかし、何にお使いでしょう?」
村長さんに頼み、もち米を炊いてもらうことにしました。
「それは出来てからのお楽しみです♪」
ニッコリ笑う私がいました。
さて、私がこれから作るのはもちろんアレです!
もち米が炊き上がる間に他の準備に取り掛かりましょう。
「村長さん、不要木材と人が腰掛けられるくらいの岩が欲しいのですが?」
「すぐ用意させますが、何にお使いで?」
とっても疑問顔の村長さん。
それは見てのお楽しみ♪
運ばれてきた木材と岩を錬金術でちょちょいと加工します。
作ったのは、杵と臼と石臼。
もうお分かりでしょう。
これからやるのは餅つきです!
各小隊にお仕事を分担して平行作業で行きましょう!
「クローラ、は水あめをお願い。終ったら私のサポートを!第1小隊はきな粉を!第2小隊は餅つきを担当してもらうわ!第3・4小隊は出来上がった餅を丸めてちょうだい!」
「かしこまりました!」
「「「にゃっ!」」」
それでは作業開始しましょう!
まずは水あめから。
<水あめ>
砂糖:1カップ
水:100ml
鍋に砂糖と水を全部入れ、弱火でかき混ぜながら1~2分溶かします。
小さな泡がプクプクしてきたら焦がさないように少しとろみが出るまでかき混ぜます。熱いうちに別の器に入れ、自然に冷まして完成♪
とっても簡単ですね。
キュイジニエさんがじーーっと見てくるので、スプーンで1口だけ進呈。
「うん!?甘い!!」
いい反応です。
「クローラ、冷やしておいて、次の作業に入ります。」
「はい、かしこまりました。」
続いてきな粉です。
<きな粉>
大豆:適量
砂糖:お好み
大豆を鍋で炒って皮をむきます。大豆を加熱すると大豆特有の臭みが抜けて香ばしい香りになるのです。
荒熱を取ってから第1小隊に大豆を渡し、石臼へ。
石臼で大豆を挽いてもらい、挽いた粉を回収してボールへ。
砂糖と合わせて完成です♪
最後はあんこです。
<あんこ>
小豆:200g
ザラメ糖:190g~
水あめ:大さじ1
塩:少々
砂糖を錬金術でザラメ糖に変換、これで準備はOK!
それでは小豆作りに取り掛かりましょう。
鍋にたっぷりのお湯を沸かしておき、綺麗に水洗いした小豆を投入し、小豆を煮始めます。中火で10分くらいグツグツ煮ていきましょう。
※熱湯で煮始めた方が煮むらが少なくなります。
ザルに小豆をあげ、水洗い。鍋も水洗いします。
再びたっぷりの水(小豆の4~5倍)で小豆を強火で煮ていきます。
沸騰したら弱火に切り替え、灰汁を取りながら小豆が柔らかくなるまで煮ていきます。
※灰汁取りで減った分、時々差し水をして、小豆が煮汁から出ないように調整します。
小豆が芯まで柔らかくなったらザルにあげて湯切り。鍋も洗っておきます。
湯切した小豆を鍋に戻し、ザラメ糖を加えながら弱火で煮ていきます。
※ザラメ糖は一度に入れると小豆が固く煮あがることがあるので3回くらいに分けて入れます。
好みの固さまで水分が飛んだら、水あめと塩を入れて完成♪
私たちの作業を食い入るように見つめるキュイジニエさん・・・
その目は試食したいと言っています・・・
私はそれを見なかったことにして作業を続行!
絶望的な顔をするキュイジニエさんがいました・・・
試食したいなら手伝ってもいいのよ?
ちょうど第2小隊の餅つきが始まったみたいです。
小さな体でペッタンペッタンし始めました。
そんな姿を微笑ましそうに見つめるエルフの皆さま。
参加したそうに黒猫メイド隊を見つめる人もいます。
「村長さん、道具はここに置いていくので、使ってやってください。」
「よろしいのですか!?ありがたく使わせていただきます!!」
村長さんの声も若干興奮気味です。
気に入ってもらえたようですし、杵・臼・石臼は有効活用してもらいましょ。
第3・4小隊とエルフの主婦たちが一緒に餅を丸めます。
丸められたお餅にクローラと2人であんこときな粉をまぶしていきます。
「それでは、小皿を持って並んでくださいね!」
「「「「は~いっ!」」」
ちゃっかり先頭に並ぶキュイジニエさんがいました・・・
女神の力をそんなことに使っていいのかしら?
各1種類を小皿に乗せて配布開始!
配布はエルフの主婦たちにも手伝ってもらいました。
「皆さま、いきわたりました?それでは実食です!」
「「「いただきます!!!」」」
「まさかもち米にこのような調理法があるとは・・・」
エルフの村では餅つきしなかったのね。
恐る恐るお餅を口に含むエルフたち、その横で食欲旺盛なチャンリンシャンと熊さんの姿が・・・
「もぐもぐ~」
「のび~のび~」
「もっちもち~」
「腹に溜まっていいなこれ!」
あなたたち、毛がくっつくんじゃないの?
どうやら気に入ったみたい?
さて、それでは私も食べましょう。
「あぁ、懐かしい味・・・」
「これがマスターの故郷の味なのですか?何だか懐かしい気がします。」
クローラは、生身のころがあったのかしら?
「満足しましたか?」
「うん、満足!次の機会が楽しみ♪」
満足そうな笑顔で、問題発言を残して消えていくキュイジニエさん・・・
次って何かしら・・・
戦勝祝いも終り、エルフの皆さまと一緒にお片付け!
ちゃんと綺麗にしてから帰らないとね。
「それでは、ごちそうさまでした。お土産までいだきありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ色々と助かりました。どうか気をつけてお帰りください。」
村長さんにお米と醤油と味噌と味醂、母様のお土産用にお酒をいただき、王都へ帰る私たち。
「村を救ってくれてありがとう!」
「料理美味かったぞ!」
「また来いよ!」
「また、料理教室お願いね!」
何かフラグが立ったのかしら・・・
森の外までは彼女が送ってくれるそうです。
「それではいきましょう、私に着いて来て!」
元気に走り出すルティア・・・
「だから、熊さんに乗らないと追い越しちゃうって・・・」
「あっ・・・」
ちょっと顔を赤くしながら熊さんの背中によじ登るルティアがいました・・・
「コホン、それでは行きましょう!」
「「「しゅっぱ~つ~」」」
「おうっ!」
「「「にゃっ!!」」」
「それでは、失礼します!」
エルフの皆さまに別れを告げ、帰路に着く私たち。
母様たちにお土産話がいっぱいです♪
何から話しましょう?
皆の反応が楽しみです♪
精霊樹様の神域。
私は、あの方たちが帰ったことを精霊樹様に報告するためにやって来ていた。
「お客人たちは帰られたのか?」
「はい、精霊樹様。先程戻られました。本当に賑やかな方々でした。あの方より聞いた餅つきは、村の行事になりそうです。安全のため、森の外への案内に娘を同行させました。」
精霊樹様もやっとお元気になられたようです。
これで一安心です。
私がほっとした顔で精霊樹様を見つめると、精霊樹様はかなり深刻な顔をしていました・・・
「ポットマムよ、此度の件、事態はかなり深刻やも知れんぞ・・・」
「アレで終わりではないと!?」
村の存続の危機だったあの事件がまだ序の口だとおっしゃるのですか!?
驚愕の表情をする私に精霊樹様は語りかけます。
「そなた、村の襲撃者に黒い鱗の人物がいたと申しておったな?」
「えぇ、間違いなく黒い鱗を持っておりましたが、それが何か?」
精霊樹様は悲しみに満ちたお顔で私に語りかけて来ました。
「そなたが生まれる前、エルフの村に危機が訪れたことがあったのだ。その時も黒い鱗を持つ者が関係しておったのだ。奴らは自らを黒鱗の使徒と呼んでおった。たまたま村を訪れた黒の当主が助力してくれ、そのときは事なきを得たのだが・・・」
「何ですと!?それでは、今回のようなことがまた起こりうると!?」
今回は村の人間が1人奴らに食われ、姿や知識・記憶を奪われ、村の内部から魔物を手引きし、精霊樹様を直接狙ってきた。
そんな事態が再び起こると言うのか・・・
心配そうな顔をする私を安心させるよに語りかけてくる精霊樹様。
「その心配はいらぬとは思うぞ、聖域から神域へと進化した結果、悪意ある者はこの村に近づくことすら出来まいよ。だが、村の外では何かが起きている、誰か外で情報を集めることを勧めるぞ。エルフは昔から閉鎖的であるからな・・・」
「そうですね、誰かを定期的に外にやり情報を集めるようにします。」
今後のために、外の世界に常駐する人材育成が必要になるか?
しばらくは色々と対策を練らねばならないようです。
基本、週末更新です。
ご意見・ご感想・誤字報告等お待ちしております。




