ギルド実習(前編)
すっかり風邪を引きました。
体調悪化中です。
北の山脈にある寺院。
寺院から溢れる瘴気の影響で、周辺一体は植物すら生息できない死地へと変質していた。
そんな誰も寄りつかないこの場所に蠢く3つの影があった。
「ギギギッ、ホウコクヲキコウ!」
「デハワレカラ、エルフノモリノジョウカハジュンチョウニススンデイル。ムラニセンニュウサセタシトモウマクヤッテイルヨウダ。シカシ、ヒトツダケキニナルコトガ・・・」
「ナニガアッタ?」
身を乗り出して先を促す2つの影。
「ヨウドウノタメモリニハナッタベノムスパイダーがタオサレタ。ボウケンシャニヤラレタヨウダ・・・」
「ヤッカイダナ、ボウケンシャタイサクモカンガエネバナラヌカ?」
「モンダイナイ、テハウッタ!ベツノモンスターヲモリニハナッテアル。アレナラバボウケンシャドモモヨウドウトハキガツクマイ!」
「ソウカ、ナラバオヌシニマカセヨウ。ドワーフドモハドウナッテイル?」
「チミャクニワレラノセイナルキヲジョジョニナガシテオルガキガツクヨウスモナイ。コチラモドワーフノムラニシトヲセンニュウサセタ。ナニカアレバレンラクガクルテハズニナッテイル。」
報告を聞き満足そうに肯く影たち。
「イマイマシイエルフトドワーフドモハカナラズジョウカセネバナラヌ!シッパイスルデナイゾ!」
「「リョウカイシタ!!」」
「「「スベテハアノカタフッカツノタメニ!!!」」」
そして3つの影は闇へと消えていった・・・
ネロです。
学園に入学して半年が経過しました。
すっかり学園生活に慣れた今日この頃。
しかし、慣れない事もあります・・・
「どうかしたのかお姉さま?」
当然のようにお昼休みに教室にやって来て、ランチタイムに私たちのグループに参加するパメラ・・・
だ・か・らお姉さまは止めて・・・
4人でお弁当を食べるのが習慣になってきたのはいいことなのだろうか?
「しかし、いつもながらお姉さまのお弁当は華やかで美味しそうだな。」
「ネロのお弁当はいつも綺麗ですよね。」
「ネロちゃんお手製のお弁当ですから♪」
ドヤ顔で自慢するクロエ・・・
「「えっ!?」」
パメラはともかく、フィーナは私が料理出来るって知ってるはずよね・・・
「お菓子が作れるんだから料理も作れるって思わないのかしら?」
「そうでした・・・」
「お姉さま、是非味見を!」
「私もお願いします!」
おねだりしてくるパメラとフィーナにおかずを提供することに・・・
「はあぁ・・・、お姉さま、嫁に来てくれないか!?」
「ネロ、美味し過ぎます!!」
こうして餌付け相手が増えていくのかしら・・・
「お姉さまの料理は素晴らしいな!そういえば、1年生はそろそろ実習の時期だな。実習の話は聞いているかな?」
「実習?まだそんな話は聞いていないけど?何をするの?」
「とっても気になりますね。」
「どんなことをするのでしょう?」
興味津々な私たち。
「うんうん、私が答えよう!それはズバリ、ギルド実習だ!」
「「「ギルド実習?」」」
とっても嫌な予感がするのは私だけかしら?
キーンコーンカーーンコーーン!
「おっと、昼休みが終る。それじゃお姉さま今日はごちそうさま、また明日!」
話の途中で走って教室に戻って行くパメラ・・・
うん、謎だけが残ったわ・・・
HRの時間になり、担任のルード・ベキア先生がやって来ました。
「全員聞け!今から4人のグループを作ってもらう。出来た者は代表者が私に報告に来い!それでは、始め!」
先生の号令で席を移動する私たち。
さて、メンバーは・・・
私・クロエ・フィーナは決定、あと1人は・・・
「コホン、私がメンバーになってもよろしくってよ!」
クラスでボッチなツインドリルのジュリア・コバルトが現れた!!
ツインドリルは仲間になりたさそうにこちらを見ている!!
仲間にするY/N!?
「ちょっと!先程から聞いていたら誰がボッチですの!?私に釣り合いが取れる人がいないだけですわ!!」
どうやら口に出していたみたい・・・
それにしてもボッチの自覚の無いツインドリルはどうしたものかしら?
半年近く経過しているのに、未だにクラスに馴染めないのはボッチだと思うのだけどどう思います皆さん?
「ネロさん、先程から誰に話しかけているのです・・・」
「ネロちゃんは時々誰かに話しかけますよね・・・」
あまりのボッチぶりに誰かに聞いてみたくなったのよ・・・
しぶしぶツインドリルをメンバーに加え、先生に報告。
「ふむ、ジュリアがネックだったのだがお前たちのところなら大丈夫だな!」
先生からも協調性の無い残念な生徒と認識されるジュリアって・・・
追求するのは止めましょう・・・
「さて、グループ分けは終ったな!来週よりお前たちにはギルド実習をやってもらう!」
「先生!ギルド実習ってなんですか?」
生徒たちの顔を見回し、説明に入る先生。
「お前たちは入学してから今日までの間、対人戦闘については学んだはずだ。だが、お前たちが戦う相手は人や亜人だけとは限らん、そこでギルドの冒険者の引率のもと、森で実地訓練を行う。森には様々な野生の獣やモンスターがひしめいているから実戦形式の訓練にもってこいだ!」
冒険者として活動してる私にはあまり関係ないのだけど、学校行事だし強制参加よね・・・
ギルドに行ったらいじられそうな予感が・・・
ちょっと憂鬱です・・・
「装備についてだが、学校で使っている刃引きの練習用の剣では無く、実戦で使えるものを用意しろ!防具もしっかりした物を選んで用意しろ!ただし、自分の身の丈に合った装備を用意しなければ宝の持ち腐れになるのだから装備選びはしっかりな!自分じゃ着ることも出来ない鎧なんて論外だ!!」
私の装備は普段のアレでいいとして、クロエの鎧と武器を作らなきゃ。
フィーナとジュリアは自前で何とかするでしょ・・・
帰宅してからクロエに武器・防具の要望を聞いてみます。
「クロエ、どんな武器・防具にするの?」
「そうですね・・・ネロのような刀は扱えませんし・・・」
う~んとうなるクロエ、そんなに悩むことかしら?
悩んだ末、無難にショートソードとスモールシールドになりました。
「バスタードソードの方がリーチもあるしよかったんじゃ?」
「ショートソードが学園でも使っていますし、一番慣れていますから。」
鎧はブレストプレートにアーマースカート、ガントレットとグリーブで完璧♪
双子だからって手は抜きません!
黒い庭の工房にてクロエの装備を作成。
装備以外にも作りたい物があるので工房の方が都合がいいのです。
素材だけは良い物を!
ミスリル装備にしましょうね♪
え?初心者に過保護過ぎる!?
「ネロ、この装備はちょっと派手なのでは・・・」
「似合ってるわよクロエ♪そうでしょシア!」
「よくお似合いでございます!お譲様!」
鎧の下の服は全て生地にミスリルを織り込んだ物。防御力は完璧ね♪
それでは私も着替えましょ。
いつもの黒尽くめ装備に身を包む私。
新装備は黒の指貫グローブと索敵機能を付与した黒縁眼鏡!
「お嬢様の眼鏡!素敵過ぎます!!!」
シア、鼻息が荒いです・・・
あと顔近いです・・・
興奮するシアを宥め、馬車でギルドへ。
ギルド前まで行くと先生が待っていました。
「クロエとネロか、早いな。ギルドの裏の広場に移動だ!」
「「わかりました!」」
ギルドの裏の広場に移動すると、生徒たちを案内するギルド職員のアニーさんの姿が・・・
「はい、こちらに整列してください!2列でお願いします!」
今日も凛々しいです♪
「あら、お嬢おはよー!あなたもギルド実習を受けるのかしら?」
「アニーさん、その呼び名は・・・」
「ネロったら”お嬢”なんて呼ばれていたのですね♪始めまして、ネロの双子の姉のクロエと申します。いつも妹がお世話になっております。」
私とクロエの顔をキョロキョロ見比べるアニーさん。
双子ってそんなに珍しいかしら?
「ネロちゃん、双子だったのね!いえいえ、こちらこそ色々とお世話になっております。」
そんなやり取りをしている間に生徒が揃ったみたいです。
アニーさんも他の職員の方に呼ばれて戻って行きました。
ギルド側の準備も終ったみたい。
そろそろ始まるかしら?
「皆さんこんにちは、ギルドのアニーと申します。ただいまよりギルド実習を開始します。各グループごとにギルドの冒険者が1名引率につきます。冒険者の方々は担当のグループの元へ移動してください!」
そして私たちのところにやって来たのは・・・
「”お嬢”、何でギルド実習なんて受けてるんだ?こっち側じゃないのか?」
小首をかしげながら私に話しかけてきたのは、Bランク冒険者の熊おじさんことガルドさんでした。
「あたしが”お嬢”の担当になりたかったのに!くじ引きに遅刻さえしなければ・・・」
うん、ルミネさんじゃなくてよかった・・・
基本、週末更新です。
ご意見・ご感想・誤字報告等お待ちしております。
来週・再来週はお休みが無いので分割更新の予定です。




