猫の手3 秘密の双子
季節は秋のはずですが、ちっとも涼しくなりませんね・・・
早く快適な気温にならないかしら?
クロエです。
現在、自分の体を見つめています。
と言っても、ホムンクルスなのですが・・・
事の起こりはもちろん試しの儀。
あの無茶苦茶な試練と見習い女神の加護の結果、新たなスキル”デュアルマインド”が発現。
それにより、私の中にもう1人の私が生まれました。
お婆様と母様を説得し、受け入れてもらえたので、後は女神様に確認してから体を与えることになりました。
女神様にお伺いを立ててみると・・・
「もちろん問題ありません。1人の人間としてこれからの人生を送ってください。」問題ないとのお墨付きをいただきました。
早速、私の遺伝子を使いホムンクルスの製造に入りました。
調整すること一週間、いよいよお目覚めです♪
「クロエ、準備はいい?」
「はい、問題ありません!始めてください!」
彼女の魂をホムンクルスの肉体へ移動。
すると、ホムンクルスの肉体に変化が!
私そっくりだったホムンクルスが、私より女性らしい顔立ちの柔らかな感じに・・・
これは、スリーサイズも違いそうね・・・
彼女を鑑定し、スリーサイズを確認する私がいました・・・
あぁ、やっぱり色々と違う・・・
「クローラ、至急、新しい服と下着を用意してちょうだい!」
「カシコマリマシタ」
同じ服の使いまわしでいいやって思っていた私の考えは甘かったみたいです・・・
魂が新しい体に適応したってことにしておきます・・・
スタイルが負けたことが悔しいわけじゃないんだからね・・・
しばらくして目覚めるクロエ。
羊水を排出し、カプセルを開放。
「生まれ変わった気分はどう?」
「まだ、地に足がついていない気分です・・・」
タオルで彼女を包み込み、椅子に座らせます。
「体の方は少しずつ慣らしていってちょうだい。今のうちに記憶共有をしておきましょ。」
「わかりました。お願いします。」
クローラが戻ってくる間に、記憶の共有を開始。
これから必要になる家族の情報や交友関係の記憶、今まであった出来事を彼女の記憶領域へと送りました。
「これから私がクロエでよいのですか?」
「えぇ、私のことは、そうね、”ネロ”って呼んでちょうだい。」
クロエが???って顔をしています・・・
「あの、ノワールでいいのでは?」
「黒の当主のことは、基本的に内緒の話らしいから、別の名前が必要だったのよ・・・」
段々秘密が増えていく私って一体・・・
「キガエヲオモチシマシタ」クローラが着替えを持って帰ってきたので、クロエの着替えを頼みます。
「ふふふっ、初めての体験のはずなのに初めてじゃないみたいです。」
何だか楽しそうなクロエ。
とっても微笑ましいです♪
「クロエ、準備はいい?」
「えぇ、いつでも行けますわ。」
クローラに後のことを任せ、カーマイン家に転移する私たち。
さて、一芝居うちましょうか♪
「シア、お茶の用意を!」
「はい、かしこまりました。」
お茶の用意を持って部屋に入ってくるシア。
そして、私たちを見て驚愕の顔をするシア。
「お・・お嬢様が2人!?あの・・これは・・・!?」
「「どうしたのシア?」」
すでにパニック状態のシアにニッコリ微笑む私たち。
うん、かなり意地悪かも?
「シア、今日からこの子がクロエよ。これからフォローお願いね♪それと、これからは私の服は黒でお願いね。」
「シア、これからよろしくお願いします♪」
「は・・はい・・かしこまりました・・・」
私たちの顔を行ったり来たりなシアの視線。
どっちが本物?とか思っているのかしら・・・
「シア、聞いてちょうだい。これからカーマイン家の裏の話をするわ。」
「う、裏の話でございますか・・・」
ちょっと、まだ事態が飲み込めていないみたいね・・・
私がシアに話したのは、この家にまつわる(偽)物語。
曰く、カーマイン家では、黒髪の双子は不吉の象徴である。
もしも黒髪の双子が生まれたら、隔離、または処分する慣わしがある。
病弱だった長女のクロエが元気になったので、入れ替わりで私が家を出るという話をシアに説明した。
「そ、そんな・・・お嬢様・・・、シアは嫌でございます!!」
私を抱きしめ、泣きじゃくるシア・・・
あちゃ、やり過ぎたかしら・・・
「もう、ネロったら、シアへの説明が足りませんよ!」
「シア、聞いてちょうだい。そう言う建前だって話なのよ・・・」
「えっ・・・あの・・どうゆうことでございましょう・・・」
シアも仲間に入れる算段になっているので、あの事意外、本当のことを話すことにしましょ。
シアに新しく説明する私。
①基本、カーマイン家にいるのはクロエになる。
②シアにはクロエのフォローをしてもらう。
③カーマイン家の裏の話は嘘である。
④嘘だけどそれを真実だとして行動して欲しい。
「ですが、お嬢様が家を出られるのは決定なのでは!?」
「出ると言っても仕事に出かけるだけよ。色々やることが出来たから、殆ど家を空けることになるわ。だから、その間、クロエのフォローをして欲しいのよ。」
私がいなくなると心配するシア。
「それならシアをお連れください!」
まだ納得しない様子のシンシア。まあ、仕方ないかしら。
「シア、取りあえずクロエの服と下着を用意してちょうだい!私とはサイズが違うのよ・・・」
「かしこまりました・・・」
俯いたまま部屋を退出するシンシア。
「ネロ、シアは納得してないと思います。」
「でしょうね・・・」
さて、どうしたものかしら?
当初の計画では、クロエに普通の生活をしてもらい、その間に黒の当主のお仕事とアキュウド商会のお仕事をしようと考えていたのだけど・・・
何か考えなきゃダメかしら・・・
「ねぇ、いっそのことあちらのことも教えたらどうかしら?」
「それをするとクロエの生活が大変じゃない?」
こういうときは年長者に意見を聞きましょ。
「グレイスン、ちょっとお時間ありますか?」
「何でございましょうお嬢様?」
部屋にグレイスンを呼んで意見を聞くことにしました。
「お嬢様がお2人に・・・」
やっぱりそこは驚くのね・・・
グレイスンにもう1人の私のこと、そしてシアのことを相談してみました。
「ふむ、そうでございますね。お嬢様のフォローなら私も出来ますので、シンシアには今まで通りお側にいさせることは出来ませんかな?」
ニッコリと私を諭すお爺ちゃん。
当初の予定とは違うけどその意見を採用しましょ。
しばらくして、シアがクロエの着替えの用意をして戻って来ました。。
「シア、別に私はこの家を出て行かないのよ。それと、私が仕事に出かけるときはいつも通りでお願いね。留守の間は、グレイスンがクロエをフォローしてくれることになったわ。」
「ほ、本当でございますか!?」
そんな、何も泣かなくても・・・
私に抱きつき泣きじゃくるシア。
そんな私たちをうんうんと肯きながら見守るクロエとグレイスン。
それでは、帰宅してきたルテア姉様とスイレン姉様にもう一芝居うたなきゃね。
「「お帰りなさい姉様」」
「ただいま」
「ただいま・・・」
呆然とした顔の長女、いつも通りマイペースの次女の姿がありました。
「なななななな、クロエが2人!?」
やっぱりパニックのルテア姉様。
「「姉様、前からいましたよ?」」
畳み掛ける私たち。
ノリと勢いで刷り込みしちゃいましょ。
そんな私たちをじっと見つめるスイレン姉様。
そっと姉様に近寄りこっそり囁く私。
「姉様、新作お菓子で手を打ちませんか?」
「了解・・・」
商談成立♪
パニックを起したままのルテア姉様に一言。
「姉様、最初から双子だった・・・」
「え!?そんなはずは・・・」
姉様ナイスフォロー♪
その後、帰宅した母様からも双子だったと言われたルテア姉様はその話を信じ、これにて双子問題は解決。
大事なのはノリと勢いみたいです。
さて、約束の新作お菓子作らなきゃ。
「ところでお嬢様、こちらのピンクのドレスにはいつお着替えになられますか?」
「だから黒しか着ないと言ったはずですよシア・・・」
この世の終りみたいな顔をするシアをスルーして、台所に向かう私でした。
いよいよ幼年編が次で終わりです。
次回より新章突入!?




