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I☆DOL TIME -アイドル力1000の底辺アイドル-  作者: 花澤文化
第1章 アイドル力1000の少女とナルシストアイドルの少年
6/29

第5ステージ 新入生歓迎ライブ

 月曜日。週明けの日であるからか生徒たちはどことなくげんなりとした姿をしていた。それでもどの生徒もどこか目を輝かせている。外を見るとたくさんの従業員や先生、作業服を来た大人たちであふれかえっていた。いよいよ明日なのだ。いよいよ明日、新入生歓迎ライブが行われる。


 時間はたった2時間と少なめだが、それでも毎年密度の濃い時間を過ごせている。特に蝶野紡はすごい。アイドルは1曲ずつ曲を披露するのだが、それでも蝶野紡の1曲はなんだかライブ1つに参加したかのような充実感が得られるのだ。生徒もほとんどはそれを楽しみにしている。

 アイドルたちは有名な人でなければ自分の歌などもっていないため、有名な歌のカバーなどになる。だが、その点でも蝶野紡は違う。彼女は自分の歌を持っているからだ。アイドル力50万は伊達ではない。


 そんな中、昼休みに俺はまたもや第2音楽室に来ていた。目の前には月見里百もいる。百はピアノを弾く手を止め、俺の話をずっときいていた。


「ふぅん・・・珍しいわね。あんたならお願いを聞いてくれるまで帰らないとかいいそうなものなのに」

「さすがにそこまではしない。それになんとなく俺が一方的に無駄だと思ってな」


 やっていたことはこの前の結果報告だ。百はこうして新たな情報を得ていくのだが、俺は別に構わないと思っている。その分情報を回してもらっているしな。百はなるほどね、なんてそれっぽく頷きながら話をきいている。


「それで明日の新入生歓迎ライブに全てを賭けたわけね」

「倒そうとしている蝶野紡に頼るのもどうかと思うが、アイドルというものの素晴らしさをだけを感じるためには蝶野紡のライブを見るのが恐らく一番だろう」

「あんたにしては考えたわね」


 とはいえなんとなく納得がいっていない。どうにも蝶野紡に頼る事が嫌でしょうがないのだ。倒そうとしたときに借りがある状態にはしたくない。すでに蝶野紡に勝つことだけを考えている。それに対し、なぜか百は微笑んでこちらを見た。


「それであんたは岸島さん1人にライブに行かせる気?」

「む」


 そう言われて気付いた。

 岸島狐子は地味ではあるものの、友達はいる。その人達と行くのだと仮定していたため忘れていたが、特別チケットは1人につき1枚必要なのだ。このままでは岸島1人で行く事になってしまうし、もしかしたら友達を優先してチケットを使わないかもしれない。

 義理がたいあいつのことだもらったチケットを使わないなんてことはないと思うが・・・。

 だとしても1人で行かせるのはなんだか不安である。

 それを見てやっぱり・・・とでも言いたげに百はポケットに入っていた特別チケットを俺に渡す。


「それであんたも行きなさい。さすがにこの枚数じゃ彼女の友達全員には渡らないし、あんたが岸島さんを連れていくのが一番いいと思うわ」

「・・・・・お前はいいのか?」

「あたしは持っていてもしょうがないもの。どうせ興味なんかないし、元から見に行くつもりもなかったしね。だったら使われた方がいいってこと」

「すまない」

「謝る必要はないってば」


 そう言うと百は手をしっしと動かす。もう出ていけということだろう。もしかしたら気恥かしいのかもしれない。こういう配慮が得意な奴だが、それを俺に見せたのは初めてかもしれない。

 それを見て口元に笑みを作る。何も言わずに去ろうとするとそこでドアをノックする音が。

 百はまるで自分の部屋だとばかりにはい、どーぞと一声かけた。お前の部屋じゃないだろ。


 第2音楽室に入って来たのは小柄な少女だった。ギリギリ小学校高学年でも通じるような背丈にまだあどけなさが残る顔。髪の毛は肩ぐらいまでの長さなのだろうか、後ろで2つに縛っている。小さなツインテールだ。てとてととかわいらしくこちらまで歩いてくる。全体的に幼い印象だが、どこか大人の雰囲気もあるのが不思議な少女だった。

 俺はもちろんこの少女を知らなかったが、百はどうやら知っているようだ。あ、というような顔をした後、肩を少し落としてその人物を見る。


「会長・・・」


 そう百は呟いた。


「会長・・・?」


 再びその少女を見る。

 確かに制服は常光学園のものだが、それがなければまず高校生とは思えない。そして会長ということは恐らく俺らよりも1つ上の3年生のはずだ。驚き絶句する。このような人がいるのか・・・と。


「というかあんた自分の学校の生徒会長の姿すら覚えてないの?」

「なんというか、全校集会とか苦手なのだ」


 生徒会の人間と接する場合というのは俺の場合、全校集会などでの挨拶ぐらいだろう。そしてそれでも見た事がないということはその間寝てしまっているかそもそも全校集会をさぼっているかしか可能性はない。俺はそのどちらも経験したことがあるのだった。


「ま、ちなみに本当は副会長なんだけどね」

「わけのわからんちなみにを付けるな」


 その一言で百の言いたい事が一切分からなくなってしまった。ほんとに何も知らないのね、と言いながら説明を加える。


「会長は別にいるんだけど、なかなか仕事をしない人らしいのよ。いざとなったらすごいから推薦されて生徒会長やってるみたいだけどね。それで実質働いているのはその副会長。みんなは親しみをこめて会長と呼んでいるそうだわ」

「あの容姿で苦労人なのか」


 初対面の人物だが、どうにも容姿も相まって親しみやすいような印象を与える。普段そこまで人と仲良くはしない方なのだが、どうにもそれはこの人に通用しないようだった。なんだか分からないがこちらから話しかけてしまいたくなる魅力がある。

 百もまあ、あの容姿だし、男女問わず人気なのよと半眼で俺を見た。


「あ、月見里さんだったのね。よかった・・・」


 一方その会長といえば1人安堵のような表情を浮かべていた。

 何が何だか分からずに思わず俺と百は顔を見合わせる。


「えっとね、ここの教室あんまり授業とかで使われてないでしょ。でも放課後になるとピアノの音がするし、もしかしたらこの学園にも七不思議が出来てしまうんじゃ・・・って生徒からの声があったの」

「・・・・・」


 すぐさま目をそらした百。

 こいつやっぱりこの教室許可なく使用していたのか・・・!

 毎日のようにこの第2音楽室にいて、さも自分の部屋かのようにピアノを弾いているからあやしいとは思っていたものの、どこか許可を得ているものだと思っていた。だって本当に堂々としていたのだ。

 このままではここにいる俺にまで音楽室無断使用というレッテルをはられてしまうが、もう遅い。生徒会の人間に見つかってはどうしようもないだろう。

 なんとか自分だけは助からなければ。そう決意したのだが。


「うん、ほんと幽霊とかじゃなくてよかったよ」


 その会長自身は特に気にしていないようだった。というかそもそも最初からそれを咎めに来たわけではなさそうだし・・・どういうつもりなのだろうか。


「あ、えーと、この音楽室の無断使用の件はたぶん大丈夫。私からこの教室の管理をしてる先生に言っておいたから。月見里さんならピアノを壊すこともなさそうだしね」

「す、すみません・・・」


 頭を下げる百に対してそんなに大げさなことじゃないよと笑みを浮かべる会長。俺は百が頭を下げて誰かに感謝する姿なんて珍しくてしょうがないと思っていたのだが、それよりもこの目の前の会長、というか副会長の有能さ、優しさに驚いていた。ここまでするものなのか、と。


「えっと・・・君は?」


 そんな副会長の目線が俺に向く。


「2年生、五百蔵果月です」

「あぁ!メイクいおろいの!」


 どうやら副会長は俺のことを、俺のお店のことを知っていたようだ。

 満更ではない。ふふん、と軽く笑いながら、手を差し出し・・・


「よかったらサインでも書きましょうか?」


 と言った。

 百はまたいつものわけわからんナルシスト行為か・・・と呆れた目線を送っていたのだが、そもそも上級生にそれをやるなと耳打ちしてきた。うるさいぞ元はと言えばお前が無断使用してたから。


「え、いいの?うちの学校他の学校よりアイドルが多いでしょ?だからサインもらったりしたかったんだけど迷惑かなぁって思ってたんだよね。五百蔵くんが私の1つ目のサインコレクションだよ」


 やったーと無邪気に喜びながら俺のサインを受け取る。こうして見ると容姿相応の年齢にしか見えない。そう、いうなれば純粋な子供と話しているような気分になるのだ。


「なーに目逸らしてんのよ、照れてんの?」

「う、うるさい。俺のこういう行動って批判されることの上に成り立っているだろう?こうしてそのまま受け取られると調子が狂う・・・」

「自分で言うか・・・」


 さらに気をつかえて、どことなく漂う上級生という頼りになる感じ・・・反則である。


「本当に百に足りなかったものを全部兼ね備えている感じがするな」

「あんたの相談にはもうのらないって決めたわ、今」


 氷のような冷たい目線。

 余計な口を滑らせてしまったかと反省した。


「えっと、そういえば自己紹介がまだだったよね。私は鐙屋姫花あぶみやひめかです。よろしくね」

「その・・・生徒会副会長なんですよね」


 ずっと気になっていたことを聞いてみる。


「うん、よくいっぱい質問されるんだけど、私は副会長だよ」

「会長は・・・?」

「いざという時に力をためてるそうだよ。そのせいかあまり活動できてないんだけど、それでも本当にすごい人なんだ。私も何度も助けられてるし」

「・・・・・」


 それはまるっきり逆なんじゃ・・・。力をためているんじゃなくてさぼっているだけで、副会長が助けられているんじゃなくて会長が助けられているのでは・・・。その他言いたいことを全て飲み込んだ。どうやら副会長は会長のことをすごいと思っているようで、何も知らない自分が口を出していいかどうか悩んだ末のことだった。


「そのせいか、私が会長って思われたり、呼ばれたりするけど・・・」


 副会長は少しだけ悲しい顔をする。

 しかししょうがないだろう。生徒会の人間ならまだしもこちらとしては会長にではなく、副会長に助けられているのだ。例えばこの音楽室の使用許可とか。


「ふむ、わかりました。では俺は鐙屋副会長と呼びましょう」

「うん、ありがとう」


 まぶしい笑顔だった。その笑顔なら蝶野紡にも負けていない。

 そこでふと、副会長は何かのアイドルなのだろうか、と思った。なんだかアイドルとして活動している気がしないというか、もっと身近な存在のような気がする。

 そしてこの人のアイドル力はいったいどれぐらいなのか。俺の興味、好奇心が岸島狐子を初めて見たときのように騒ぎだす。

 しかしその好奇心が完全に抑えられなくなる前に「そうだっ」とかわいらしく副会長が言った。


「五百蔵くんに月見里さん、明日の新入生歓迎ライブ見たりする?」

「え、えぇまあ・・・」


 百はすでにチケットを俺に渡してしまったが、俺は結局今のところ見に行こうとは思っている。それもこれも岸島狐子がどうするのかで決まることなのだが。

 副会長は背負っていた体のわりに大きいリュックサックからプリントを2枚取り出した。光沢のある感じやカラーということからそれはプリントでは無くチラシのようなものだと分かる。


「ちょっとスケジュールの変更があったんだ。君たち2人に先に渡しておくね」


 他の人の分は今日の終わりのホームルームで配ってもらうようにしてるんだ、とまた微笑む。どうやらかなり緊急的に変更がされたらしく、さっき完成したばかりのチラシらしい。すごい仕事力だ、と俺と百は感嘆する。

 そのチラシを見てみるとやはり書いてある事は明日の新入生歓迎ライブの宣伝。日時や場所、簡単な紹介、出るアイドルなんかが書かれている中、大きくスケジュール変更注意!と書いていた。

 百と俺はそれに目を通す・・・。

 そして・・・。


「・・・・・・・・」


 絶句した。





「す、すごいところだね・・・」


 翌日、火曜日の午後。予定どおりの時間帯に新入生歓迎ライブが行われていた。とはいえ、まだ常光学園コンサートホールに入場可能になっただけでライブ自体は始まっていない。


 入口には警備員。このライブを見れるのは常光学園の生徒だけで、他の学校の生徒や一般人が紛れ込んでないかを念入りに調べている。

 まだ光なんかは点いていないが、それでもたくさんの人が集まっていた。しかし今、岸島と俺がいる場所はその最前列のさらに前。手を伸ばせばステージに届くんじゃないかという位置だ。しかしこの席で実際にそんなことをする人は少ない。ここにいるのはこの学園のアイドルたちだ。むしろこのステージに立てるアイドルを恨んだりうらやましがったりするもののそれを妨害しようとは思わないのだ。

 岸島はその席に座っている招待されたアイドルたちを見る。


「や、やっぱりなんか浮いているような・・・・」

「お前が浮いていたら俺はさらに浮いているだろうな」


 相変わらずのようにアイドルの中でも異端として扱われている俺。こういうところに入ったのは初めてらしく、岸島は終始きょろきょろしていて映画館の席が360度にあるみたい・・・という不思議な感想を残していた。岸島は約束を守ったというよりせっかくくれたものを使わないのは悪いから、という理由でここに来ている。

 俺はそれでもいい、と思っていた。

 なぜなら・・・。


「今日のは本当に見る価値のあるものかもしれない。俺がお前に頼む頼まないとかそういう問題じゃなく、単純に見ておいた方がいいかもしれないぞ」


 この新入生歓迎ライブには希望したアイドル全員が参加できるわけではない。だからといって単純なアイドル力、技術で決まるわけでもなく、過去に何回出場しているか、学校の授業は真面目に出ているか、点数はどうだったかなど色々な要素で決まる。

 蝶野紡やアイドル力1万を超えている俺などは学園から一度出てくれと頼まれているので、自然と出ることが決まるが他の人間はそうではない。自分にもチャンスがあるんだ、と新入生に思わせるためにはそれなりの工夫が必要なのである。


 そして毎年のようにここでライブを行い、ここがアイドルとしての初ライブを迎える者も少なくはない。しかしみんなの目当てはそれだけではなく、むしろ最後が目当てという人がここ数年いる。そう、蝶野紡のライブだ。最後に絶対行われるそれはこの学園の目玉イベントとこの2年間言われていた。

 そんな蝶野紡も来年には卒業か・・・。

 だからこそ俺は今、今年中に倒したいと思っていた。学園のアイドルとしての蝶野紡を。もしかしたらさらに有名なアイドルになるかもしれない。しかしそうではないかもしれないのだ。何をきっかけに人気がなくなるか分からないのである。


 まあ、あのアイドル力じゃその心配もいらないのかもしれないがな。

 ステージを見る。

 後ろの方では雇ったスタッフや先生たちが準備に忙しそうだ。


「何かやるの・・・?なんかもうピークみたいな忙しさになってるみたいだけど・・・」

「もしかしてチラシとか見てないのか?」

「う、うん・・・」


 少しずり落ちそうになるメガネをなおしながらいう岸島。


「というかメガネよりコンタクトの方がよくないか?」

「ええ・・・そんなに駄目かなあ・・・」


 少し涙目になりつつもメガネを触る岸島。どうやら似合っていないというように解釈されてしまったみたいだ。そういう意味で言ったわけではない。今からのライブを見るのにそのメガネは『邪魔ではないのか』そう言いたかったのだ。


「じゃあ教えてやるメガネ岸島。今回のトップバッターは蝶野紡だ」

「え・・・でもいっつも蝶野さんは最後じゃなかった・・・?」


 岸島も今年で2年生だ。去年ここには入らなかったものの、アイドル好きの友人に事細かに説明された覚えがあるのだろう。そこでは蝶野がトリをつとめ、最高の盛り上がりでライブが終わったと聞いていたのだが、今年はどうしたのかまさかの一番最初だったという事実に驚いているようだ。これが昨日行われたスケジュール変更。


「あのアイドルのことだ・・・どうせ順番を最初にしただけじゃ済まないのだろう。きっとそれにも何か理由があるに違いない。さらに盛り上げるためのな」

「うぅ・・・なんか緊張してきた・・・・・」


 お前が緊張してどうする、と思いつつ岸島を見ているとブザーが短く鳴る。それと同時にまわりの喧騒が完全にやんだ。光は消え、出入り口も閉じられる。みんなの視線は一斉にステージを見ていた。先ほど緊張していた岸島も今はステージをじっと見ている。それはそうだろう、そのステージはこの席からだとすぐ目の前なのだから。

 カッと光が当たるものだと思っていた。そこに蝶野紡がいるのだと。でも予想は外れていた。


 光ったのは・・・光っているのは蝶野紡自身だったのだ。


 !・・・・これはホログラムかなんかか・・・?


 ホログラムか何かで蝶野紡を映し出しているのか、ステージ上には蝶野紡ではなく、その映像が流れていた。それ自身が光っているのでまわりの照明は消えたままだ。

 映像はかなり拡大されており、遠くの人にも均等に見えるようになっているのだろう。


 なるほど・・・。これのせいか。蝶野紡のためのホログラム装置、非常デリケートなものだろうから最後に他のアイドルが全て終えてからだと設置に時間がかかるし、だからといって最初から真ん中に置いておくとパフォーマンスの邪魔になる。

 ステージは円形になっているが、その一部が伸びており、道のようになっている。ファッションショーのステージのようにその道を歩くパフォーマンスもあるのだが。

 それは円形部分で派手な演出をしてからがベスト。道とはいえ狭い。そこで十分なパフォーマンスはかなりやりにくいはずだ。

 だから最初の最初に設置して、最初に蝶野紡の出番を終えておく。そうすれば片付けという比較的時間のかからない作業をすることで観客を待たせないようにしたのだ。


 蝶野紡のライブのためにスケジュールを変更したことに驚くべきか、それでもなお観客のことを考えている事に驚きべきか。

 あまりのことに俺は笑う。

 これはもう新入生歓迎ライブじゃない、蝶野紡のライブだ。


 しかし難点がある。

 このライブを見に来た人達は生の蝶野紡の姿を見に来たのだ。きっと後々に登場するだろうが、蝶野紡に与えられた時間も他のアイドルと同じ一曲分。最初にホログラムはインパクトとしてものすごいが果たして観客の満足度を得られるのかどうか。

 ホログラム映像の蝶野紡がおじぎをするとその長い髪が揺れた。今日はどうやら黒髪のようだ。髪色は色々と変化するが、必ず勝負仕事のときは黒髪にしているのでは、とささやかれている。

 衣装は前は短めのスカートだが後ろの方は執事服のように長くなっている。肩を出し、さわやかなブルーの衣装を身につける蝶野紡はもうすでに別世界の住人のようだった。


 曲が流れ、蝶野紡は踊りだす。聞いた事のある曲だった。確か、冬をイメージした曲だったか。選んだ曲は激しいものではなく、ゆったりとしたもの。しかし地味ではなく、動作は1つ1つ丁寧にしっかり。遠い観客にも見えるように大きな手ぶりで。基礎をしっかりと押さえたダンスのようだった。

 そのホログラム映像の蝶野紡が手を出し、その上に息をふき替える動作をする。すると・・・。


「わあ・・・」


 それは岸島のセリフだったか、観客の誰かのものだったか、俺のものだったか分からない。思わず声をあげてしまった。なんと映像の手の部分から雪が落ちて来たのだ。

 本物ではない・・・綿か?それにしては綺麗に落ちていくな・・・。

 本物の雪のような幻想的な世界。

 ここでようやく蝶野紡の曲が始まったのだった。


ようやくとうとうアイドルものらしいシーンをかけたかと思います。文章なので、曲のシーンやダンスのシーンは難しいのですが、なんとか書いてみました。何かいい手法などがありましたら教えていただけると幸いです。


次回にステージは続きます。

もうそろそろ1章が終わり少しは動き出すと思うのでもしよろしければまた見ていただけると嬉しいです。


ではまた次回。

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