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I☆DOL TIME -アイドル力1000の底辺アイドル-  作者: 花澤文化
第4章 『Rest Time』~休憩時間~
28/29

第27ステージ 『Rest Day』の舞台裏

 時間は遡って7月。

 この日、俺と岸島、御鏡、百でCM撮影をしに常光学園近くのスタジオに来ていた。もちろんそのCMの内容は初ライブを控えている『Rest Day』のCDのCM。

 撮影して約3週間ほどしか流れない期間限定CMである。


「す、すごい本格的だね・・・」


 スタジオはとても大きく、色々なスタッフがあちこちで動いており、機材も様々な種類のものが並んでいる。カメラ・・・は分かるとして上にあるのはマイクか?

 ド真ん中にはセットが用意されてあり、オレンジや水色という見ているだけで癒されるような色を使っているクッションがあちらこちらに。


 どうやら部屋、という設定らしい。本棚や物をのせる棚、テーブル、ベッド・・・一般的に子供に与えられる一人部屋という感じがした。


「えーと、あまりCM時間は長くないのでどちらかの方がヘッドフォンで『Rest Day』の新曲を聴いていて、もう一方の方が何を聴いているのかという質問、そして再度曲を聴いていた人が曲名とグループ名を答える、という流れにしたいと思っています」


 とスタッフの方から教えられた。

 設定はどちらかの家に遊びに来た、という設定らしい。部屋着に似たものを渡されこれを着て本当の家のようにくつろいでほしいのだとか。


「え、寝てていいんですか?」


 話しを聞いているんだか、聞いていないんだかわからないようなセリフを言ったのは御鏡だ。喰いつき方からして適当にくつろいでていい、ということしか聞いていなかったらしい。

 しかしここでそのセリフが出るということはきっと本番でも自然な感じでくつろいでくれるに違いない。そこだけは期待している。


 そして問題は・・・。


「狐子ちゃん、大丈夫?」

「う、うん・・・なんとか・・・」


 岸島の方だった。

 今は百が側についている。そう、CM撮影なんかしたことないだろうし、普通アマチュアアイドルはCMを撮影しない。だから俺も詳しく話した事はなかった。

 そこに急にCMの話が舞い込んで来たので心の準備が出来ていなかったらしい。


 恐らく俺や御鏡や百がこの空気に呑まれていないのはCMほどじゃなくとも雑誌のための写真などで撮影というものをしたことがあるからだろう。

 御鏡は現役でアイドルであるし、俺と百も昔はアイドルとしての仕事をしていた。しかし岸島にそんな経験はない。


 くつろがなくてはいけないのに体はガッチガチ。

 気がつけば同じ方の手足が前に出る始末。これではまるでくつろいでいる感がない。


「まずい。岸島のそれは大して仲良くもない先輩の家に行かなくちゃいけなくなった時の緊張と同じだ」

「なんでそんな具体的なんすか」


 設定上は仲良しな同級生。

 少しの緊張も許されない状況だ。まだよかったのは岸島が御鏡自体に緊張しているわけではないというところか。


 御鏡に緊張しているのならそれはかなり難しい問題だが、CM撮影に緊張しているのならそれはまだ慣れればなんとかなる範囲である。

 そもそも御鏡に緊張するやつなんかいるのかって話なんだが・・・。


「・・・・・」

「なんでわたしをそんな見てるんですか。ダイナマイトバディに見惚れちゃいました?」


 うん無理だ。

 やはりどうやっても緊張はできない。


 そうこうしているうちに撮影の時間となってしまった。

 なんとかして岸島の緊張をとこうと様々なこと(中にはアホみたいなこともした)をしてみたが、どれも効果なし。不安に思いながら撮影に臨む。


「あいつ大丈夫か・・・なんかそわそわしてるし・・・くっこんなことなら代わりに俺が出れば」

「あなたが出てどうするのよ。あと一番そわそわしてるのもいおくんなんだけど」


 邪魔にならない位置で百と共にその様子をじっと見る。

 俺たちの心境とは別にCM撮影が始まった。

 まずはヘッドフォンで曲を聴いている御鏡に岸島がなんの曲を聴いているのか、というくだりなのだが・・・。


「あ、あの・・・な、何の曲を・・・」


 ガチガチだ。

 恐らくやり直しになるだろうがひとまず最後まで見てみようという方針なのか、誰も止めないまま時間は流れていく。そして。


「ミストラルクエストのサントラ、『夢の始まり』を聴いてます」

「お前は何を聴いているんだ!」


 

 さすがにストップがかかったのだった。

 しかしどうやらその御鏡のおふざけ(本人は本気)のおかげで岸島も大分リラックスできたのか御鏡に笑いながら話しかけている。

 きっと2度目は上手くいくだろう。そんな予感がする。


「・・・・・」


 先ほどのおふざけはまさか岸島の緊張をほぐすためにやったことなのだろうか。


「・・・・・ない、か」


 たぶん偶然だろう。

 それでも御鏡歌子、知れば知るほど不思議なアイドルだった。

 

 





 Rest Dayのライブ後、握手会が始まる直前にて。


「私、あ、握手会とか初めてで・・・ど、どういう感じなんだろう」

「きつねっちは初めてか・・・うむむ」

「きつねっち・・・?」


 岸島狐子と御鏡歌子が話していた。


「わたしも初めてなんですよ」

「歌子ちゃんも?」

「はい、外に出たくなかったので」

「わあー・・・」


 堂々としたものいいに何も言い返せない狐子。


「ネットアイドルですから、ネットにいればいいんですよ。それでもですね、握手会をする妄想みたいなこともしたことありまして・・・不安なことがあるんですよ」

「わ、私も不安、かな・・・緊張するし、どうしたらいいのかもわからないし・・・」

「ああいえ、そういう精神的なことではなく」

「なく?」

「手汗です」

「て、手汗・・・?」

「いやあ、わたし人より汗かくんで、手汗もすごいんですよね。今夏ですし。参った参った」


 それも大事なことかもしれないけれど、この状況でそれしか心配事がないと言い張る歌子に感心せざるを得なくなった狐子だった。

久しぶりの投稿になってしまいました。次はもう少しはやく投稿できればいいな、と思っております。


今回から新しい章ですが、内容としては箸やすめ的な短編形式のものになっています。学校祭など飛ばしたところを書いていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

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