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I☆DOL TIME -アイドル力1000の底辺アイドル-  作者: 花澤文化
第3章 ユニット結成騒ぎ
27/29

第26ステージ 最大の危機

 結果として初ライブは大成功と言えるような内容だった。

 観客も多いわけじゃないがしっかりと『Rest Day』の名前を色々な人に刻みこめたような気がする。

 もちろん俺はすぐに『アイドラー』で検索した。


『みんなRest Dayのライブ行った?すごかったらしいな』

『臨場感がやばかった。照明さんとかいい仕事してたよ』

『まるで映画みたいだった。こっちの盛り上がりに合わせて照明とか変えてたけどあれって事前に予測していたんかね』

『うわ、チェックしてなかった。またライブやってくんねーかなあー』

『CDも聴いてる。いい曲が多いけどPVとかついててほしかったなあ、見たい』


 様々な声が上がっている。

 あのライブの後、穂豊、そして藤堂さんにもしっかりと合い挨拶をした。どうやら平和プロダクションの名前も結構売れたようで逆に感謝されてしまう始末。


 岸島は緊張しながら「あ、ありがとうございます」と言い、御鏡は「はっ・・ぜえ・・・ぜえ・・・」と息を整えることで必死だったが、それでも穂豊は笑ってくれた。御鏡に甘い気がする。


 その後のお渡し会も参加したお客さんのほとんどが来てくれた。中には見知った顔もいて、まあ、いつも通りに会話していたがなんだか知り合いが客として来るという経験は2人にとって新鮮だったのだそうだ。

 気恥ずかしい気持ちは分かる。なんだか授業参観日を思い出してしまった。


 お渡し会が終わるとその後には打ち上げがあった。スタッフさんや穂豊、藤堂さんにお客さんとして来ていた知り合いも混ぜるというもはやなんの打ち上げか分からないような内容ではあったがそれでもとても楽しかったのを覚えている。


 唯一気になったことといえば百が浮かない顔をしていたことだろうか。理由を尋ねても「なんでもない」の一点張り。まあ、こういうのは珍しくはない、とスルーすることに。


 次の日は学校も休みだったため、しっかりと休息をとった俺たちを待っていたのはテスト、そして学校祭というイベントだった。


「赤点は許さないからな」

「な、なんとか頑張ってみるよ」


 そう笑顔で言っていた岸島はしかし余裕そう。どうやらこのことを見越して事前に準備をしていたらしい。さすがとしか言いようがないが、元々こいつはとても頭がいい。

 心配する必要はない、のだが・・・。


「も、もう無理・・・パンクする・・・頭がパンクする・・・」


 御鏡の方は全く芳しくなかった。

 結局第2音楽室にみんなで集まり、勉強会を開くことに。思わぬ人物の登場などにより少々捗らなかった部分もあるが、どうやら全員赤点は回避できたみたいだった。


 そしてやってくる学校祭。

 テスト期間後にすぐに準備期間が始まるので毎年怒涛のように忙しくなる。特にクラスごとの出し物のリーダーは準備のためにテスト期間やその前から作業をしていたそうだ。


 クラス以外でも出し物を出せるとのことと、以前生徒会副会長に頼まれた有志発表のこともあり結局俺たちはアイドル部とかいう死ぬほど恥ずかしい名前でそれに参加。

 思考錯誤して、なんとか俺達でも出来るものを作り上げ、本番に臨んだ。


 ここでは最近顔が売れて来た岸島と御鏡がいたおかげでそんなでもないクオリティにしてはとても盛り上がったと思う。


 学校祭が終わり、秋が近付く中、その前にあるのは夏休み。

 特に何か予定があるわけでもなかったが、なんと『Rest Day』の2ndシングルを出したいという声もかかり、いよいよ本格的に何かを成し遂げようとするきっかけが出来てきた。


 しかしそれでも百の不安そうな顔は消えない。

 こうなってくるとさすがの俺でも気になるのだが・・・。


 そんな矢先のことだった。


「はい」

『あ、五百蔵くん?』


 夏休みにも関わらずいつものように第2音楽室に集まり(まだクーラーは壊れているため暑さは大変なことになっている)、2ndシングルやこれからの仕事について話し合っていると不意に電話がかかってきたのだ。


 藤堂さんからだった。

 2ndシングルは秋あたりになるとのことでもう少し時間的に余裕のある状況のはずなのにどうやら藤堂さんはどこか焦っているように感じられる。


『もしかしたら近々テレビ出演のオファーがいくかもしれないの』

「え、岸島たちにですか?」

『そうよ。ただ、これを受けるかどうかはじっくり考えた方がいいわ』

「?なぜです?」


 テレビ番組のオファーなどなかなかこない。

 それこそこの間の俺のみが出演した深夜番組から一件もなかったのだ。顔や名前を売るにはうってつけの機会だと思ったのだが。


『その番組ってアマチュアアイドル同士を競わせてどちらがよりアイドルだったかをプロのアイドルが判断するという番組なの』

「それは」


 有名な番組じゃないか。

 ゴールデンタイム放送、とまではいかないかもしれないが、深夜帯ではないしこのアイドル時代ではかなり有名な番組だった。


 とはいえアマチュアアイドルを見るために、というよりはそれを審査するプロのアイドルを見るために見ているという方が正しいかもしれないが。

 それでも大進歩じゃないか。


『その番組、年一回だけアマチュアアイドルからの下剋上をうけつけているの。アマチュアアイドルあプロのアイドルと競ってどちらがアイドルらしいか決める・・・今までそれで下剋上できたアイドルはいないんだけど・・・』

「そういう企画もありましたね」


 毎回多数のアマチュアアイドルが押し掛け、抽選になるぐらい人気の企画だ。

 確かにプロのアイドルに負けてしまうかもしれないが、それでも顔がテレビに出る分まだマシだとは思うが、勝てればさらにというメリットもある。


『でももしそれが抽選ではなく、向こうのプロのアイドルからの指名によって挑戦者であるアマチュアアイドルを決めるとしたら・・・それはもうほとんど宣戦布告。下手すると本気で潰しにかかってくるわよ。それこそ・・・』


 完膚無きまでにたたきのめして。


「それは・・・」

『普通は負けても顔が出る分メリットになる。けれど相手が本気で潰しにかかって、それこそありえないぐらい無様に負けたらそれはもうデメリット、さらに人気が低迷するわ』

「その指名に岸島たちが選ばれる・・・ということですか」

『恐らく、だけどね。まだ噂程度。でも注意したほうがいいわ。きっかけはどうやらRest Dayのライブらしいし・・・それにアマチュアには蝶野紡というカリスマがいる。それもきっと目ざわりなんでしょうね。残念だけど』

「・・・・・相手は」


 俺は思わず聞いてしまう。

 藤堂さんはため息をついて、


planetaプラネタよ』

「なっ・・・!」


 今人気のアイドルじゃないか。

 それこそ現在のトップあたりに君臨する・・・中でもそのリーダーはありえないほどアイドルだったことを覚えている。


 俺は電話を切り、この話をあいつらにするべきかどうか迷う。

 

「そういえば・・・」


 ふと取りだしたのはドル☆ガン。これでアイドル力を計測するのだが、最近あいつらのアイドル力を計測していなかった。

 2ndシングルも出ることだし・・・何かの区切りとして計測した方がいいのかもしれないな。





 とある楽屋。

 そこではテレビ出演を控えたとあるアイドルグループがいた。


「ねえねえ、梅先輩。私の提案通りますかねー」

 

 水櫛林檎。

 アイドル力、34500。


「また余計なことをする・・・私怨でオファーしちゃダメだよ、林檎」


 水元梅。

 アイドル力、197600。


「あら、別にいいじゃない。その企画最初は抽選じゃなくてプロ側から対決したいアイドルを選ぶっていうこちらが挑戦者の形式だったそうだし」


 水回百合みずかいゆり

 アイドル力、326000。


「ですよねー。水城先輩はどう思います?」

「・・・・・・・」


 水城向日葵みずしろひまわり

 アイドル力、208900。


「ちっ、相変わらず無口ですね、そういうキャラ設定なんですか?」

「林檎、相手は先輩だよ」

「はいはーい。ってあれあの子たちは?」

「さっき外ですれ違ったよ、お手洗いとかじゃないかな?」


 不意にその楽屋に入って来る声。

 明るい、前向きな声。

 振る舞いはアイドル、というより主人公らしく、そしてなにより天性のアイドルスキル。


「あ、リーダー」

「みんなごめん、少し寝坊しちゃった」


 水聖鳳仙花みずひじりほうせんか

 アイドル力、計測不能。


「私達、『planeta』は誰が相手でも全力で、絶対に負けない、でしょみんな」

 

いきなり色々飛ばしていますが、飛ばしたイベントはこの後の章で全て書いていきます。

時間が少し戻ったり、進んだりとややこしいかもしれませんが次回以降もよろしくお願いします。

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