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神様の椅子  作者: *amin*
二章
11/64

11 情報屋ライナ

「ルーシェル、起きろ。行くぞ」

「……もぉ~?」


今の時刻は朝の5時30。確かにルーシェルからしたら早いかもしれないけど、こっちも急いでる。

速い行動に越したことは無い。

そろそろ城の城下町の鎮静化のあと、俺達にさし向ける兵の準備を始めていてもおかしくない。



11 情報屋ライナ



ルーシェルはまだ眠いみたいで朝ごはんをあんまり食べようとしない。それを無理矢理食わせて、牛乳を飲ませ、担ぎあげて俺は親父とお袋と一緒に家を出た。

村人総出で見送りしてくれるらしい、すごい人数になってるけど気にしない。

村の出入り口ではギャバが馬を用意してくれていて、更に馬には既に食糧等が積まれていた。勝手にやってくれたみたいだ。

馬にルーシェルを乗せて俺も馬に乗った。ルーシェルは軽いみたいだし、馬も平気の様だ。

俺は出て行く前に村の皆振り返った。


「ありがとう!本当にありがとう!今度はミッシェルとクラウシェルも連れて来るよ」

「ありがとう」


ルーシェルがそう言っただけで皆が涙を流す。王子様ってのは偉大だ。

馬の腹を蹴って走り出す。

馬は真っ直ぐ南の方角に進みだした。

親父とお袋が走って俺を追いかけて来る。振り返ったら泣きそうだったから振り返れなかった。

でも俺は絶対に戻ってくるから、そう自分に言い聞かせて馬を走らせた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ダフネ、お尻痛い」

「まだ我慢」


馬を走らせて3時間、揺れる馬が嫌になったのがルーシェルがぐずりだした。

でもあまり休んでいる時間はない。

シン爺ちゃんがシースクエアの船を持ってる人に書状を書いてくれたけど、シースクエアは港町な事もあり、結構な大きさを誇る街だ。

その中でお目当ての人をすぐに見つけれるとは限らないし、船の用意だってすぐに出来る訳じゃないだろう。

シースクエアで2日かかると考えて、シースクエアまでは1週間で向かう所、最低5日間で向かわなきゃいけない。

休む時間は必要以上に取れはしない。

ルーシェルがいくらぐずっても休みは取れない。このまま目的の村までは止まれない。

馬の休憩を考えてもう少ししたら10分程度休憩をとるかもしれないけど。


ルーシェルは断られた事に気を悪くしたけど、時間がない事を説明すれば大人しくなった。

近くにルプス川が見えてきた。この川はサラディスと次の村マウディスの中間地点だ。今日中にマウディスを超えて夜までにルーネスまでたどり着きたい。

とりあえずまずはルプス川で馬とルーシェルを少し休ませるか。


「ルーシェル、何してるんだ?」

「んーとね、宝石見てる」


ルプス川に辿り着き、馬を休ませて水を飲ませている俺の横でルーシェルは国宝石をジッと見ていた。

国宝石の文字をルーシェルは読めるって言ってた。

じゃあもうルーシェルは国宝石の文章が分かってるんだろうか。


「ルーシェル、それなに書いてるの?」

「……ダフネは誰にも言わないよね。ダフネにならいいよ」


あ、そっか。国宝石は国家機密事項か。その内容も当然機密事項だ。

でも俺なら教えてくれるって言うルーシェルは完全に俺の事を信用してるんだろう。

ルーシェルは解読に少し時間がかかるのか、つっかえながら読み上げた。


「んーとね、森の中、魔法使い、暁の大地、青の宝石とあわせたら完全になるって書いてる」

「森の中?魔法使い……」


この世界で魔法使いで有名な種族、それを言ったらエデンの部族集団しかいない。

あそこはファライアンの領土内に存在する独立国家だ。

そして青の宝石とあわせたら完全になる。つまり青の国宝石が必要って事だ。

青の国宝石をどの国が持ってるかは分からないけど、でもこの緑色の国宝石に書かれてる情報を頼りにすると行く先は決まった。


「ルーシェル、そろそろ行こう」

「ん?うん」


まずはシースクエアからビアナに出て、そこから先はファライアンに向かおう。

あそこはクラウシェルもビアナを介してでしか交流は無いけど、友好条約を結ぶに値する国だって言ってたし。

流石に取って食われる事は無いだろう。

今は少しでもバルディナの非道を世界各国に伝えなければいけない。俺とルーシェルだけじゃバルディナに勝てない。他の国の力が必要だ。

残りの3カ国、パルチナと東天とファライアン、その3つから考えたら力を貸してくれそうな国はファライアンしかない。

東天は鎖国中だからまず入れてもらえないだろうし、パルチナは同じ軍事国家でアルトラントを狙っていた。

バルディナを追い出す事に協力はしてくれるかもしれないけど、アルトラント自体を救う気はないだろう。


可能性があるとしたらファライアンしかない。早く行かなきゃいけない。

俺ははやる気持ちを抑えて馬を飛ばし続けた。


マウディスの村で少し休憩して、また馬を飛ばしてルーネスまで何とかたどり着いた。

今の時刻は夜の10時、今日はここに宿をとって休憩か。

バルディナの兵も夜中まで馬を飛ばす事は多分ないだろう、馬の疲労も考えて。

朝の6時から夜の10時まで走りっぱなしだった馬に礼を言って馬小屋をレンタルし、同じく疲れ果てているルーシェルを抱えて宿屋を目指した。

途中、ルーシェルがばれるといけないので、城下町を出る時に女性にもらったフード付きの服をルーシェルに着せてフードを被せた。

ルーシェルは国宝石を小さなカバンに入れてチャックを閉めた。


「ダフネ、お尻痛い」

「俺も痛い。ベッド柔らかいといいな」

「うん、いいな」


ルーシェルと少し会話をしながら宿屋の中に入る。

ここにも情報はまだ広まってないみたいで、村は穏やかな状態だ。

俺とルーシェルが来た事を広める訳にもいかないので、村人には城が落ちたことは言えない。それが少し歯がゆかった。

直にこの村にも支配の手は届くだろう。その時、この人達はどうなるんだろうか、考えたくもない。

宿をとって飯を食いに行く為に再び街を出歩く。


1つの食堂を見つけ、俺とルーシェルが中に入ったら、中は騒がしかった。盛り上がってるんじゃない、喧嘩をしてるんだ。

若い色グロの女性と中年の小太りの男が大声で喧嘩をしてる。

関わりたくないなぁと感じた俺は少し離れた席に座り、店員にオーダーを頼んだ。

ルーシェルはここでも聞いた事の無い食べ物に目を白黒させてたけど、店員のおすすめを教えてもらい、それを頼んだ。

その間にも喧嘩は収まらない。2人の怒声がこちらまではっきり聞こえて来る。

その時、若い女性が声を荒げた。


「嘘なんか言ってない!アルトラントは落ちたんだ!あたしのドリンが言ってるんだから嘘な訳ないだろう!?」

「ドリンってお前の肩に乗ってる鳥の事かぁ!?ははは!冗談きちぃな!ふざけた事言ってっとタダじゃおかねぇぞ!」


アルトラントが落ちた!?なんでその事を知ってるんだ。

まだ他の奴らには情報も伝わってないのに……まさかこいつはバルディナの使いか?

でもそれにしては様子がおかしい。

女性は慌てて他の村人に国外に逃げる事を促している。バルディナの使者ならそんなことは言わないだろう。

ルーシェルをその場に置いて、俺は喧嘩の中心に向かった。


「その話、詳しく聞かせてくれないか?」

「なんだおめぇは!?」

「お!あたしの話を聞く気になったのかい?いいよ何でも話すよ!」


席に誘導すれば疑うことなく女性はついてきた。

そしてルーシェルの隣に腰かける。


「可愛い坊やだね。あんたの弟かい?」

「まぁそんなとこ。で、話を聞かせてくれ」

「そのまんまさ、アルトラントがバルディナに攻め落とされた。友好条約切れてすぐに攻撃なんてバルディナも中々えげつない事するよね」

「事実だったとしても何であんたが知ってるんだ?」

「あぁ、あたし情報屋なんだ。この相棒のドリンを使って情報集めて、それを売って生計立ててんのさ。まぁあたし単体だと探偵業がメインだけどね」


情報屋か……でもこの短時間でこの情報を手に入れるなんて、かなり腕は優れてるみたいだけど。

女性の肩に乗っている体長が30センチ位の鳥はルーシェルを眺めている。

随分鮮やかな色をしてるけど、こんな鳥を俺は見た事がない。

ルーシェルがジッと鳥を眺めると、鳥はまさか言葉を話したのだ。


「オ前、誰ダ?」

「わわわっ!喋った!!」


驚いたルーシェルが俺の隣に避難してくる。

でも俺も驚くしかない。話す鳥なんて初めて見たから。これはなんかの魔法なのか!?

女性は慌てたルーシェルを見て爆笑している。


「あはは!ごめんごめん。こいつはねぇオウムって言うのさ。喋れる鳥なのさ、特別な調教もしてるしね。見た事ないかい?」

「ないよ!お喋りする鳥初めてだよ!」

「うーん……まぁしゃあないね。メジャーじゃないしね。うちの国では結構オウム持ってる奴多いけど」


こいつどこの国の人間なんだ?


「あんたどこの人間なんだ?」

「おいおいお兄さん、あたしの肌の色と髪の色を見ても分からないのかい?あたしはライナ。アルトラントの南側、独立国家オーシャンの出身だよ」


確かに言われてみれば、この小麦色の肌と紫色の髪はオーシャン人の特徴だ。暑い日が1年のほとんどを占めるオーシャンでは肌が黒い人間が多いって聞くから。

でもオーシャンは鎖国とまではいかないが排他的な国で貿易1つしようとしないし国から出もしないらしい。そんなオーシャン人が目の前にいてもオーシャン人とはわからないだろう。

じゃあこいつはバルディナの人間じゃないのか。

少しだけ安心した俺にライナは手を差し出してくる。


「ん?」

「ん?じゃないさ。情報渡したんだから報酬ちょうだいよ。こっちも生活かかってるんだ」

「わりぃな、残念だけどその情報はもうとっくに知ってたよ」

「嘘つくなよ。この村の奴らは皆知らないんだから」

「俺達はこの村の人間じゃないからな。早く食って宿に行こう」

「うん」


ルーシェルもパクパク飯を食いだして、俺も無言で飯をかきこんだ。

ライナは俺達2人を無表情で眺めていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

「ねぇあんた達さぁ」

「ついてくんなって!」


なぜかライナは俺達の後をついて来る。

飯を食い終わったんだ。風呂に入って寝なきゃいけないのに。もう金が欲しいなら払ってやるかな。親父がくれた金をもったいないけど……

宿まで付いてこられたら困るから、と言えばライナも宿をとってるらしい。どうやら1人で世界を回ってるみたいだ。良くやるよこの女は。

宿屋まで付いてこられて部屋には居れば逃げられると思った俺にライナはニヤリと笑って笑みを浮かべた。


「ねぇあんたさぁ、もしかしてルーシェル王子とお世話係じゃないのかい?」


言い当てられて息を飲んだ。

俺のこの反応が不味かった。ライナはケタケタ笑って「やっぱりそうだ」と返した。


「心配しなくても取って食いやしないさ。でも少し話を聞かせてほしいんだよ」

「その情報をバルディナに売る気か?」

「そんな気、毛頭ないって。あたしだって仕事に誇りはある。あんな奴らに売る情報なんかないさ」


その言葉を信用できるかは分からないけど、口止めの為にライナを殺さなければいけないかもしれない。

とりあえず俺はライナを部屋に入れる事にした。

ライナはふてぶてしくベッドに無断で腰かけて、大の字に寝転んだ。

ルーシェルがもう1つのベッドに腰掛け、俺は備え付けてあった椅子に腰かけた。


「で、何でお前は知ってるんだ」

「だってあたし情報屋だもの。知ってるさ、ドリンにアルトラントの事件を調査させてたからね。ドリンからの情報で知ったのさ」

「あー!お前かー!」


ルーシェルがドリンを捕まえようと手を伸ばしたけど、ドリンはルーシェルの手から逃れ、遊ぶように飛び回った。


「あはは!ドリンは賢いから簡単には捕まえらんないよ。でさ、バルディナは城下町の人間に報告したよ。ルーシェル王子と世話係を逃がしたって。匿ってる奴がいたらすぐに出さないと処刑するってね」

「マジかよ……」

「あたしからしてみれば、国王と后、第1皇女と第1王子を捕まえたんだ。第2王子にそんな躍起になる必要はないと思うんだけどね、なんでかなって思ったらバルディナは言ったよ。ルーシェル王子が国宝石を盗んで逃げたって」

「盗んだだって!?」


嘘を言うな!お前達が侵略してきたんじゃないか!

それを盗んだなんてよく言えるもんだ!!


「バルディナは過去に友好条約の継続を申し入れに向かわせた使者を濡れ衣で殺されたって事を公開した。そしてアルトラントが国宝石の力で何かを企んでるって」

「そんなの嘘の情報に決まってるだろ!バルディナが国宝石を盗もうとしたから処刑されたんだ!あいつらは嘘をでっちあげてる!」

「やっぱそう思ったんだよねぇ~」


ライナがごろんと横になる。

そう思ったって事は、こいつは今までの話を余り信じてなかったのか?


「情報屋やってっとさぁ、周りの今までの経歴に敏感になる訳よ。アルトラントが情報操作するとは思えないから可笑しいなとは思ってたんだよ。そうか、バルディナが世界侵略を始めたか……で、あんたはどうするんだい王子様達。逃亡生活を続けるのかい?」

「祖国奪還を目指すんだ。決まってるだろ」

「2人でかい?」

「そんな訳ねぇだろ。でも今は国外に出なきゃいけない。ビアナに向かうつもりだ」


俺の言葉にライナは渋い顔をした。

そんなに可笑しい事を言っただろうか。俺の言ってる事は定石じゃないのか?


「ビアナは止めた方がいい。バルディナの海軍がアルトラントとビアナの領海付近を監視してる」

「なっ……嘘だろ!?」

「逃がしたあんた達を捕えるには国外に出る手段をまず潰すのが定石だろう。そしてジワジワ追い詰めていけばいいんだ」

「じゃあどうすれば……」

「あんた達、オーシャンにおいで。そこからビアナに向かえばいいだろう。シースクエアから船は出てる。まだオーシャンには監視船は来てないはずだ。シースクエアにもまだバルディナの兵は届いてないだろう」

「なんでオーシャンは監視船がないんだよ」

「あたしらは海で生まれて海で死ぬ。領海付近を荒らしまわる奴はバルディナでも何でも容赦しないよ。オーシャンは戦闘民族だ。バルディナも下手な手は打たない」


こいつの言ってる事が本当ならビアナは確かに危険だ。

でもこいつが何かを企んでるとしたら……信じてもいいのか?


「その話信じてもいいんだな」

「あぁ、嘘は言ってない。でも報酬に……国宝石を見てみたいのさ」

「そんなの出来る訳ないだろ!」

「国宝石に伝わる伝承がうちの国にある。国宝石を実際に見たら分かるかなぁって思ってさ」


ライナはケラケラ笑ってるけど信用していいのか分からない。

ルーシェルも俺の後ろに隠れてしまった。

でもライナも引く気はなさそうだ。むしろ俺達の存在がばれてる時点で俺達には不利だ。下手に逆恨みされて俺達がここに来た事を漏らされたくない。


「ルーシェル、見せてやれ」

「いいのダフネ!?」

「どうせ読解はできない。ライナが持ってても意味ないさ」

「ダフネがそう言うなら……」


ルーシェルがカバンから出した国宝石をライナに渡す。

ライナは真剣な顔で国宝石をマジマジ見ていた。


「何か分かったのか?」

「うん、伝承どおりだ。国宝石に緑の宝石が存在したって事は伝承と同じ」

「伝承?」

「国宝石は5色の色がある。全てを癒す緑、母なる恵みを授ける青、猛き心を内側に隠す赤、全ての色を覆い尽くす黒、そして相手を陥れる紫。アルトラントが緑なのも言い伝え通りだ」

「まだあるのか?」

「全てを癒す力をもった女傑リジアはアルトラントを、その優しさでマザーの異名を持っていたルーンはファライアン、猛き心をもったリーダー、ダレンが東天、その破壊力と慈悲なき攻撃で全てをねじ伏せたグランがバルディナ、そして情報操作に長け、相手を陥れたルイスがパルチナ。この5人は数百年前の戦争の勇者さ」


その話は聞いた事がある。クラウシェルが言ってたやつだな。

ん、ちょっと待てよ。その話をつなげていくと他の国が何色の国宝石をもってるか分かるんじゃないのか!?

気付いた俺にライナはにやりと笑った。


「感づいたね。つまりこの伝承どおりだとバルディナは黒、パルチナが紫、東天が赤、そしてファライアンに青の国宝石があるのさ。そして国宝石に英雄の意志が宿り、国宝石自体も不思議な魔力を持つって聞く。だから国宝石が持ち主を選ぶし、国宝石を真に扱えるのは英雄の意志を継いだ者だけなのさ」


全部クラウシェルに聞いた通りだ。

そしてルーシェルが言ってた青の宝石とあわせたら完全になる。

エデンに行く予定だったけど、青の国宝石をもつファライアンに行かなきゃな。丁度よかった。

でも国宝石に魔力が宿るって……どう言う事だ?首をかしげてる俺にライナは国宝石を返してきた。


「詳しい話はオーシャンで話そう。爺ちゃんの方が伝承には詳しい」

「あ、あぁ。ってお前も同行するのか」

「当たり前だろ。あたしがいなきゃ顔パスできないぞ」

「でもどうして俺達に……」

「……あたしはバルディナを危険視してる。あいつは世界全部を破壊するつもりだ。言ってみれば、あたしはあんた達に賭けてるのさ。あんた達が今の世界を変えてくれるってね。でも最後に教えてくれないかい?奴らがルーシェル王子をしつこく狙うのは国宝石を持って逃げてるからだけじゃないだろう?」


やっぱり気づいてたのか。

でもライナは恐らく俺達を本当に助けてくれる。ライナになら言っても大丈夫なのかもしれない。

それに伝承の事も教えてもらわなければ。


「ルーシェルは国宝石に書かれた文字を読解できる。だから狙われてるんだ」

「なんだって!?あのゲーティアが隠されてる場所を記してるのがか!?だからバルディナが狙うのかい……しかしなんだって読めるんだ?」

「ルーシェルが母親に教えてもらったらしい。でも今の伝承を聞いたら……」

「あぁ、その母親は英雄リジアの血を受け継いでるのかもしれないね」

「でも他の国にもいるはずじゃないのか?それぞれ英雄の子孫が」

「あたしらの伝承ではダレンとリジアは恋仲だって聞いた。国宝石もダレンが反対するルイスとグランを押し通して決めたんだ。ルーンは関わろうとしなかったらしいし、もしかしたら2人しか知らないのかもしれないね」


だからルーシェルが……

不安そうな顔で国宝石を握りしめるルーシェル。

でもそんなルーシェルを見かねてなのか知らないがドリンがルーシェルの頭にとまった。


「暗イ顔スンナ!ゲス!」

「げす?」

「あはは!ドリンなりの励ましだよ。とにかくもう寝た方がいいね。シースクエアまでの道のりは長いよ」

「そうするよ。ありがとうライナ」

「あたしこそ、これからよろしく王子様、お世話係さん」

「俺はダフネだ」

「そうかいダフネ」


とりあえず一刻も早くシースクエアに辿り着かなきゃな。

明日も早いぞ。


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