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第1話

初投稿です。

ざわざわざわざわ



人の声がうるさくて起きそうになる。


仮眠ぐらいゆっくり寝させてくれ。


昨夜は徹夜でリリース作業をしていた40過ぎの身体には堪えるのだ。


「なんだ!?この者は!?」


「突然現れたぞ!?」


「動かないが死んでいるのか?」


寝る前に動画を流した覚えもないのに声が聞こえる?


声の主の正体を確認すべく徹夜明けの頭に響く雑音を振り払うように目を開けた。


目を開けるとそこは見知らぬ煌びやかなホール。


着飾った老若男女。


…はて?


ここはどこだ、夢か?


リリース作業をしていた都内にある雑居ビルの一室が模様替えしたわけではないな…


「これは転移か!?」


「いや、転移の魔法陣を発動する時は届出が必要だろ?」


「誰か魔法省に問い合わせをしてくれ」


転移?


創作である一瞬で移動する現象か?


わからないことだらけだ、状況を確認するために誰かに話しかけるか?


いや、それよりも魔法陣?


その時、足元の光に気付いた。


その魔法陣が光となって消えていく。


そこに刻まれていた文字列の一部が目に入った。


[ void ]

[ int ]

[ return ]


徹夜明けの幻覚かと思ったが20年以上プログラムを書いている僕が見間違えるはずもない。


魔法陣はプログラム言語で動くのか?


というよりもここは暮らしていた世界とは違う世界なのか?


「ウィル殿!鑑定の魔法陣を使ってはいただけないか!?」


鑑定?


あったら便利だろうなぁ。


専用ツールやAIを使わずに一瞬で脆弱性やバグを見つけ出せることが出来るなら是非持って帰りたい。


「では、鑑定をします。」


僕より年下に見える男性が何やら言葉を発し、目の前に魔法陣が現れた。


ん?


さっきの魔法陣よりはっきり見える。


いや、見えるどころじゃない。


思わず二度見してしまったがどう見てもプログラムじゃないか!?


========================================

#include <stdmagic.h>

int main(void) {

appraisal_magic(1, 1)

return 0;

}

========================================


…うーん、C言語っぽいがstdmagic.hなんて聞いたことがないぞ。


しばらく扱っていないからド忘れしたか?


パッと見た感じでは、このプログラム3行目のappraisal_magic関数末尾のセミコロンが抜けているから実行できないんじゃないか?


プログラマ初心者のあるあるだな。


見慣れたstdio.hのインクルードや関数宣言がないのも気になるが…


「あれ?この間は発動出来たのですが…」


すごく焦っているな、焦っている時こそ冷静にならないといけないのに。


数行だからすぐわかりそうなものだが…仕方がないから指摘をするか。


「え?ここの記載が足りない!?この模様のことでしょうか?」


模様?


彼には文字列で見えていないのか?


それとも文字として認識できないのか?


周囲は『なぜ分かったのか』や『元は大規模魔法陣の一部だぞ』とか声が聞こえる。


「…あ!?本当ですね!修正してもう一度発動します!」


お、魔法陣が光って消えた。


一瞬だがセミコロンがついているのが見えた。


「鑑定結果出ました!」


何やら半透明なウィンドウが出ている、某RPGのようだな。


========================================

名前:柴田 玄

年齢:41

スキル:□ □ □ □ □ □ □ □/□ □ □ □(解析待ち)

備考:召喚されし解析者

========================================


名前と年齢か、その下あたりに体力や魔力みたいなパラメータがあるかと思ったが無い仕様か?


スキル欄はあるが内容はマスキングされているのか?


あのappraisal_magic関数に引数が2つ。


どちらの引数がどの様な効果があるかは不明だが値を変更したら鑑定結果も変わりそうだな。


いや、解析待ちと括弧書きで記載があるから解析したらマスキングが無くなるのか?


「備考が召喚されし解析者か…」


ん?


ざわめきが大きくなったな、何か問題でも起きたのだろうか。


ともかくstdmagic.hファイルの中身を見ればこの世界の仕組みが少なからずわかるはずだ。


召喚があるなら帰還する関数もあるだろう。

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