『黄金の陽だまりと 銀の月しずく』
むかしむかし、あるところに、二人の美しい娘がおりました。
一人は太陽の神に慈しまれた、陽だまりのように温かな娘。
もう一人は月の神に愛でられた、真珠のように涼やかな娘。
あるとき、その国に光り輝くような王子さまが誕生しました。
「ぜひ、私の愛娘を王子に」
二人の神さまはそう願い、娘たちを聖なるニズール山の頂へと舞い降ろしました。
太陽の神さまは、「王子さまに選んでもらおう」と提案しましたが、欲深い月の神さまは聞き入れません。こっそりと王さまと秘密の約束を交わし、無理やり自分の娘を婚約者にしてしまったのです。
太陽の神さまは深く悲しみましたが、最後には「王子さまが幸せになるのなら」と、二人を祝福することに決めました。
ところが、お妃候補となった月の娘は、たいそう高慢な性格でした。
神さまの加護を盾に、わがまま放題。国の人々を困らせ、贅沢の限りを尽くします。あんなに美しかった王子さまの瞳からは光が消え、いつしか月の娘を避けるようになってしまいました。
「このままでは、国が滅んでしまう」
見かねた太陽の神さまは、静かに太陽の娘を差し向けました。
太陽の娘が城へ降り立つと、あたりは柔らかな光に包まれました。
彼女は、怒りに震える月の娘を責めるのではなく、ただ優しく、その温かな光で抱きしめたのです。
「冷え切った心には、温かい光が必要なのですよ」
太陽の娘の慈しみを受け、月の娘の凍てついた心は、春の雪のように溶け去りました。
「…王子さまには、あなたのようなお方がふさわしいわ。私は自分の過ちを月で悔い改めます」
そう言い残すと、月の娘は銀色の光となって夜空へ帰っていきました。
それからというもの、王子さまと太陽の娘は手を取り合い、国中を明るい光で照らしました。二人は深く愛し合い、いつまでもいつまでも、幸せに暮らしたということです。
めでたし、めでたし。




