表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.Key-_-bou
1cp

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/10

9cs 「永遠の数秒」

 会議室の空気が重い。プロジェクターの光で手元の資料が白く飛ぶ。今日の会議でこの企画が通らなければ、プロジェクトは白紙になる――そのプレッシャーが胸をぎゅっと締めつける。上司や同僚の視線が一斉にこちらに向く。心臓の音が耳まで響き、手が微かに震える。口を開こうとした瞬間、声が裏返りそうだ。資料の文字がぼやけ、同僚のペンのカチカチがやけに大きく聞こえる。時計の秒針が止まったように見える。ほんの数秒が永遠みたいだ。


 その瞬間、体育館の壇上に立つ小学五年生の自分が浮かぶ。名前を呼ばれ、手がブルブル震え、足は硬直する。クラスメイトの視線が突き刺さり、胸がぎゅっと締めつけられる。額にじんわり汗がにじみ、原稿を握る手だけが震える。呼吸が速く、視界が少し揺れる。時間が止まったように感じる――数秒が永遠に思える。


 胸に手を置き、深く息を吸う。泣きだしそうな声で、なんとか最初の一言が言えた。「ぼ、僕の夏休みは……」小さくても、やりきった。「次はもっと練習しよう」――心の奥でそっと誓った。


 今、胸に手を置き深呼吸する。あの小学生がいたからここまで来られた。震えても声を出す。空気が重くても、視線が痛くても、最後までやりきれる自信が胸の奥にじんわり広がる。

「……ありがとう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ