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田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.Key-_-bou
1cp

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8/10

8cs 「授業中」

 教室で黒板の文字を写すふりをして、つい隣の席を見てしまう。

 英語のノートを開くけど文字は頭に入らない。

「I have a pen……」も、「She likes apples……」も、全部あの子に伝えたい言葉に見えてしまう。ページの端の小さな文字まで、まるでラブレターの一部のようにキラキラしている。


 隣の席の彼女がペンを動かす小さな音、ページをめくる音に目が吸い寄せられる。

 視線がふと合う。彼女は小さく微笑む。胸がドクドク跳ねる。

 またページをめくる。僕の心臓も一緒にめくられるみたいだ。


 勇気を出して小声で言う。

「……あのさ、さっきのプリント、拾ってくれて……ありがとう」

 彼女の瞳が少しだけ笑う。小さく息を吸って、

「うん、いいよ。大丈夫だった?」

 その声に胸がぎゅっとなる。


 慌てて頭をかく。

「う、うん……ちょっと……」

 言葉が途切れて目をそらす。

 でも耳に残る彼女の声に、心臓がドクドク跳ねる。


 髪を指で押さえるしぐさ、鉛筆の音、ノートのめくれる音――全部が妙に鮮明で、胸が熱くなる。

 文字は全部、あの子への手紙に変わっている。

 話したことで少しだけ世界が明るくなった気がして、授業はまだ半分なのに、心はもう彼女でいっぱいだった。


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