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35cs 「淡恋」
カーテンの隙間、あたたかな光が差す。
「おはよう」
「うん」
鉛筆が机の上を転がる。
風が紙を揺らす。
「始まるね」
「……そうだね」
机の周りに友達の声。
紙がめくれる音。
「ねぇ、これ見た?」
「うん、面白かった」
小さく笑う。
黒板に夕陽が赤く映る。
「これ、読んでみて」
指先が少し震える。
胸が跳ねる。
「……ありがとう」
視線が一瞬だけ合う。
窓から差す光が柔らかくなる。
「おはよう」
「うん」
小さな会話。
「昨日の宿題、できた?」
「うん、できた……ありがとう」
声が少し震える。
掃除を終えた静かな教室。
机を片付ける音だけが響く。
「一緒に帰る?」
「う、うん……」
足音が少し早まる。
笑いながら、靴音が廊下に消えていく。
光が低く差す。
風がそよそよ、紙を揺らす。
「……」
「うん」
声は途切れ途切れ。
ノートがカチャカチャ。
鉛筆も小さく転がる。
ふと笑い声を思い出す。
あの頃のあの机の匂いも、かすかに。
窓際の席は少し変わる。
隣の机のノートは新しく、鉛筆の音も別のリズム。
「……」
「うん」
小さな声が交わされるたび、笑い声がふっと蘇る。




