33cs 「それだけだ」
校庭の真ん中に立つ。
足の裏に土の感触。風が肌を擦る。
胸の奥で、熱がせり上がる。
今日だけは、理由はうまく言えないけど、ここに立たずにはいられなかった。
目を軽く閉じる。
小さくみじろぎする。
それだけだ。
「(うおぉぉぉ~!)」
何も叫ばない。
声はなく、空気は揺れない。
それでも全身の鼓動で、世界の中心に自分がいることを感じる。
拳を握る。
小さく、でも確かに、心の中だけで握りこんだガッツポーズ。
胸の奥で、振動が跳ね返る。
視界の端で、人が動く。
ざわめき、笑い声、遠くで誰かの足音。
すべてが波になり、世界の中心に自分がいることを感じる。
もう一度、拳を握り直す。
小さく、確かに。
叫ばずとも、世界に向けた自分の熱が、ここにあることを示す。
振り返らず、胸の奥の熱を抱えたまま、静かに立ち尽くす。
風と土の匂いだけが、残響となって体に残る。
――それだけだ。
青春イベントの、一瞬一瞬を切り取ってみました。
大きな声も、小さな息遣いも、揺れる心も、誰にも気づかれないかもしれません。
でも、確かに、そこにあります。
3章目(3cp)はここまでとなります。
最後までお読みいただき、本当に、ありがとうございます。
次も、そんな瞬間を拾っていきます。
引き続き、遊びに来てくれると嬉しいです。




