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28cs 「踏まないように」
「あぶない!!」
「そこ、電源!」
「踏まんといて!」
「待って、待って待って……」
「電源、空きある?」
「ない」
暗幕の向こう、音が変わる。
笑いじゃない。
「もうかなりの人、入ってる!」
「しっ……静かに」
低い声。
「ここから入るで、合ってる?」
「合ってる、そこ一直線」
「あれ持ってきて!」
「どれ!」
「黒の延長コード!」
「それ違う!」
「……私の音、拾えてる?」
イヤモニを指で叩く。
「拾えてる、レベル大丈夫!」
「電源、踏んだ?」
「踏んでない」
一拍。
「……生きてる」
照明が走る。
「あっ!」
「照明、触ってない!」
「勝手についた!」
「一回落として!」
「今!」
「二分!」
「早くしろっ!!」
小さい声が、刃みたいに刺さる。
「あぶない!!!!」
別方向から、同時に。
「落ち着いて!」
「いつも通りいこう」
「静かに!!」
「立ち位置、右!」
「もっと右!」
「あれっ!?」
「もう行く!」
カウント。
「五」
肩が触れる。
「四」
誰かの息が、近すぎる。
「三」
「二」
息が止まる。
「……」




