24cs 「一枚ずつ」
教室の扉は開いている。
人が入れる幅だけ、残されている。
中に入ると、廊下の音が一段落ちる。
消えはしないが、薄くなる。
壁にはワイヤーが張られ、額が並んでいる。
高さは目線に合わせて揃えられている。
最初の一枚の前で止まる。
白いマット。その中央に紙。
一歩近づき、線を見る。
半歩下がって、全体を見る。
足先が、揃う。
横に移動する。
額と額の間隔は、一定だ。
人が一人、横を通る。
譲るほどでもなく、立ち止まるほどでもない距離。
次の一枚。
マットの色が違い、紙の白さが沈む。
照明が一灯、作品に向いている。
影が額の下に落ちる。
一歩近づき、線を見る。
半歩下がって、全体を見る。
視線が、少し遅れる。
「……意外と、いいな」
外から聞こえたのか、さっき通った誰かの声なのか、それとも、口に出てしまったのか、わからない。
三枚目。
紙が厚く、端の処理が丁寧。
外で何かを叩く音。
一定じゃないリズム。
一歩近づき、線を見る。
半歩下がって、全体を見る。
呼吸が、一度止まる。
最後の一枚。
マットが広く、余白が多い。
一歩近づき、線を見る。
半歩下がって、全体を見る。
入口へ戻り、最初の一枚の前で、もう一度止まる。




