22cs 「入学」
「うるさい……」
校門をくぐった瞬間、胸の奥でドクン、と跳ねた。
耳のそばで鳴る鼓動に、思わずつぶやく。
手のひらは汗ばんで、指先が震える。
ネクタイをつまむけど、力が入りすぎて布が逃げる。
肩がこわばり、足元もふわふわして落ち着かない。
校舎、知らない人々、全部大きすぎて胸がざわざわする。
桜の花びらがひらりと肩に落ち、光が揺れる。
ざわめきの中で目を合わせられず、視線は自然に足元の花びらへ。
でも、同じ制服の背中を見て、「ここに自分もいる」と胸がぎゅっとなる。
震える指先でネクタイを直す。
少し落ち着くと、胸のドクドクがワクワクに混ざる。
前の背中に合わせて一歩。
足音と心拍がぶつかり合いながらも、なんとか地面を踏む。
会場の光に包まれ、遠くで笑い声がする。
怖さもワクワクもぐちゃぐちゃのまま、もう一歩踏み出すと、桜の花びらが口元をそっと撫でた。
歩く、止まる。
立ち止まる、動く。
日常の些細な瞬間を、ただ切り取りました。
誰も気づかないけれど、確かにすぐそばにあります。
2章目(2cp)はここまでとなります。
最後までお読みいただき、本当に、ありがとうございます。
次も、そんな瞬間を拾っていきます。
引き続き、遊びに来てくれると嬉しいです。




