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田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.key-_-bou
2cp

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22/28

22cs 「入学」

「うるさい……」

 校門をくぐった瞬間、胸の奥でドクン、と跳ねた。

 耳のそばで鳴る鼓動に、思わずつぶやく。


 手のひらは汗ばんで、指先が震える。

 ネクタイをつまむけど、力が入りすぎて布が逃げる。

 肩がこわばり、足元もふわふわして落ち着かない。

 校舎、知らない人々、全部大きすぎて胸がざわざわする。


 桜の花びらがひらりと肩に落ち、光が揺れる。

 ざわめきの中で目を合わせられず、視線は自然に足元の花びらへ。

 でも、同じ制服の背中を見て、「ここに自分もいる」と胸がぎゅっとなる。


 震える指先でネクタイを直す。

 少し落ち着くと、胸のドクドクがワクワクに混ざる。


 前の背中に合わせて一歩。

 足音と心拍がぶつかり合いながらも、なんとか地面を踏む。


 会場の光に包まれ、遠くで笑い声がする。

 怖さもワクワクもぐちゃぐちゃのまま、もう一歩踏み出すと、桜の花びらが口元をそっと撫でた。



歩く、止まる。

立ち止まる、動く。


日常の些細な瞬間を、ただ切り取りました。

誰も気づかないけれど、確かにすぐそばにあります。


2章目(2cp)はここまでとなります。

最後までお読みいただき、本当に、ありがとうございます。


次も、そんな瞬間を拾っていきます。

引き続き、遊びに来てくれると嬉しいです。


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