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21cs 「飛行機」
座席に腰を下ろす。
ベルトを締める音。ひじ掛けに触れる指先が小さく震える。
「ほんとうに大丈夫かな…」
小さくつぶやく。胸の奥がざわつく。未知の景色に出会える高揚感。
窓の外、滑走路が延びる。
エンジンの低いうなりが心を弾ませる。
「うわ、もう行くんや…」
胸がふわりと浮く。
隣の肘がわずかに触れる。
笑いをこらえる。
加速する滑走路。
胸が跳ね、耳が詰まり、心臓が早くなる。
手を軽く握る。足先が少し浮く。
離陸。
景色が流れ、地面が消える。
風が背中を押し、雲が近づき、ふわりと抱え上げられる。
「すごい…!」
思わず声が漏れる。隣の笑い声も聞こえる。
ガクン。
数百メートル落ちる衝撃。
心臓が跳ね、息を飲む。声も出ない。
隣も前の席も、平然としている。
頭の中で小さく叫ぶ。
揺れが落ち着いても、鼓動は止まらない。
手に力が入り、指が白くなる。
ワクワクも、恐怖も、まだ止まらない。




