16/19
16cs 「エレベーター」
扉が開く。
すでに、誰かがいる。
そこに、もう一人が入る。
「……何階ですか」
返事の前に、ボタンが押される。
無言。
音だけが残る。
扉が閉まる。
腕を組む。
すぐに、ほどく。
理由はない。
ないはずだ。
視線が、回数表示に貼りつく。
三。
四。
腕時計を見る。
同じ角度で、同じ秒数を確認する。
意味は、ないはずだ。
スマホを取り出す。
二つの画面が点く。
通知はない。
一拍おいて、しまわれる。
五。
六。
息を吸う。
吐く。
ほとんど、揃う。
視線が交わる。
体重が移る。
片足から、もう片足へ。
床が、二度鳴る。
二度目が、少しだけ強い。
七。
チン。
扉が開く。
「あ……」
一人が動く。
それを待って、もう一人が動く。
軽く、頭が下がる。
ほんの少し遅れて、もう一つ。
体がわずかに前後に揺れる。
扉が閉まる。
次の数字が光る。
八。
チン。
扉が開く。
誰かが、乗ってくる。
回数表示を見る視線がある。




