『死ーフード』
元々柾も生徒会長になるまで人望を集めた男だ。もしも食堂などに顔を出そうものなら某エンドロールに現れる何の木か気になる大木そのものだ。あまりに目立ちすぎる。
後ろ指を差すような視線(柾が思ってるだけ)を避けるには人のいない生徒会室がベスト。それが、遊佐柾の導き出した勝利の方程式だったのだ!
──ガララ。
「──え、会長」「お前は……笛吹」
笛吹晴人。映えある錦門学院が誇る生徒会役員である。その役割は書紀。学年は一年生。真面目な黒髪と黒い瞳とは対照的なアホ面。
そして先客がいたことにも驚いたが柾が一番驚いたこと。それは──、
「なんでカップ麺に刺身を入れてるんだ?」
「そんなのカップ麺だけだと栄養バランスが悪いからに決まってますよ!」
ドヤ顔でパックの刺身をカップ麺に突っ込んでいる笛吹の奇行だ。
そもそも栄養バランスを気にするやつがカップ麺を食べるだろうか。それよりもカップ麺で刺身の生臭さは消せるのだろうか。食べ合わせってどうなの?
浮かんだ疑問の全てを払拭するは諸行無常の顔。菩薩の如く遍く全てを愛する慈悲の心を宿したその書紀は、浸した刺身もろとも麺を持ち上げた。
柾は思った。意外と合うのかも知れないと。シーフードヌードルとかあるもんねと。謎の説得力を持った笛吹の顔が「素人は黙っとれ」とさえ言ってるようにすら感じた。
その様相はまさに神々の朝餉。
柾は弁当箱を突きながら、俺も今度やってみようかなと思った。
──ずるる。ゴフッ、
「まっず」「だろうなァ⁉︎」
後輩がぼっち飯をしている事を知った柾の昼休みに、一度目のチャイムが鳴った。




