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『それは故意にやってるだろ』
(──よし、セカンドステージクリア! ここまで来れば余裕だな)
国語の授業中、ノートにペンを走らせながら柾は思った。
兎にも角にも立つというフォームはどうしても前の守備が疎かになる。それが座れば屈むという動作で鉄壁の守備が出来上がるのだ。柾は勝利を確信していた。
「──という、これはコイを歌った歌詞ですねー」
(コ、イ……?)
柾の肩が跳ねた。脈拍は一気に加速し、冷や汗が噴き出た。
「和歌には恋愛を歌ったものがとても多いです。先生もこんな恋がしてみたいわぁー」
おどけてそう言う教師に柾は内心胸を撫で下ろした。
(なんだ、恋か。焦らせるぜ……)
まだ拍動が余韻を引きずっている。柾は──、
「これは現代文に訳すると春よ来いになります。この出だしはとても力強いですねー。その後に続くのが濃い空が淡く染まる頃に君に会えるから、という素晴らしい恋心を歌っているんですよー!」
(いや、こいこいこいこいうるせぇよ!)
偉人の歌に悪態を吐いた!
「ちなみにこれは先生が作りました」
(いやお前かーい!)




