『ひどい奴もいたもんだ』
「──ではこれからゴミ拾いを始めます」
「え?」
気がつけば柾は火箸とゴミ袋を持たされていた。
「……え?」
「さあ会長。いえ、マサキ。わたしとゴミ拾い、二人の共同作業がたった今始まるのよ」
「いやいや。え、こっわ。いつ持ってきたの?」
恐ろしい手際の良さに柾は喫驚するより他なかった。
それはそうだろう。本日の生徒会スケジュールにゴミ拾いはない。他の役員たちも帰っている。何故か柾と錦門だけがゴミ拾いをしているのだ。流されるまま装備を持たされた事実に柾も驚きを隠せなかった。
「もう、照れてるのね。マサキかわいい」
「ヤバい奴じゃん……」
困惑する柾を余所に、自分から言い出しただけあってゴミはしっかり集める錦門。副会長だけ働かせていたら後で何を言われるかと思った柾も渋々ゴミを拾いだした。
「しかし先週掃除したのに茂みとかにすげぇ隠すよな、みんな」
「見つからなければいい、なんて安易な考えの人は結構多いのよ」
「確かにな……」
世知辛いぜ、と続けて拾い集めながら柾は思った。錦門は自分と二人きりになると言葉が砕ける。それだけ信頼してくれているという裏返しなのだろうか。普段から向けられている好意も、もしかすると冗談ではなかったり……?
そんな甘い疑惑が脳内を過ぎったが──、
「自分さえ良ければいい、なんて自分本意な人ってほんと最低よね」
グサリ。柾の胸に言葉の槍が突き刺さった。
(すまん、キヨ。お前を忘れた事は、一秒たりともあらぬ……!)
柾は痴態を晒した親友に心の中で謝った。そういえば色々あって結局飲み物も奢ってないなと思った。




