『まともな奴は俺しかいない』
なんとかトイレで着替えもした柾は本日の育成カリキュラムの全てを終わらせた。だが、
「それでは定例会議を始めます」
(なんで今日なんだよ……)
柾を待ち受けていたのは生徒会室での定例会議だった。顔面強者で有名な錚々たる面々が集まっている。会長である遊佐柾、副会長の錦門環奈、書紀の笛吹晴人、庶務の虎賀竜美。
そして──、
「では会計の悠美さん、報告をお願いします」
「はぁ〜い」
手際よく進行を促す錦門に、伸び伸びとした明朗な声で答えたのは虎賀悠美だ。柾たちと同学年であり、錦門のクラスメイトである。元々二人の家が名家同士なのもあって錦門とはプライベートでも仲がいい。苗字が指し示す通り、虎賀竜美の姉でもある。髪は青く、その瞳はお日様色だ。おっとりしているようで計算が早い会計士だ。
「ではぁ〜、先日生徒会で行った募金活動の結果がですね〜」
(今そういうのいいから! 早く帰りたいんだよこっちは!)
ちゃきちゃきとした関西弁で話す竜美とは対照的にのほほんとしたマイペースで話す悠美。柾の怒りのボルテージがあがった!
「──円になります〜。昨年度の〜、予算と合わせてー、ですね〜」
(早く終わんねーかな……)
柾は諦めた。話半分に聞きながら、必要な相槌だけ打って済ませた。
「──では、本日の会議は終了とします」
(お、やっと終わりか)
お疲れさまでした、と労いの言葉が飛び交う中、柾の心は既に帰路へ向けてのスキップを始めていた。




