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間話 各地での囁き

【ある村の村長】


昔から気味の悪い娘だった。一日中宙を眺めて人形のように何も言わない。それにあの目だ。不吉な紅い目、あれに見つめられると怖気が走る。

最近は動き回るようになって痛めつけ甲斐が出てきたと思っていたが。


ここのところ雨が長く続いている。ほとんどの作物も根腐れを起こしてしまった。

…ふむ、村に伝わる土地神に生贄を捧げるべきか


顕現なさるかはわからんが、まあ、あれがいなくなるだけ良かっただろう。そろそろ村のものどもの不満も高まっていたしな。


娘を引っ張り山へ入る。


口上を述べると、重い重圧と共に土地神が現れた。


ほ、本当に現れるとは。じゃが…土地神とはあんな姿だったか?言い伝えでは猿の姿だと…。


いや、しかし娘と話す様子では話は通じるようだ。こうしちゃおれん!ぜひ雨を止ませてもらわねば!



「おお、我らが救い手が降臨なされた!!」


「どうか、どうかこの雨を止ませてくだされ!」


「…….あなたがわたしを呼んだのかしら」


娘に向けられていた顔がこちらに向けられた瞬間、体を蟲が這いずるような感覚に陥った。汗が額から吹き出たのがわかる。身体が震え始める。土地神からの質問にいくつか言葉を交わした後、土地神はあの娘をつれ間も無く消えた。


その後すぐ、空から日がさしてきた。 


「おお、晴れてきましたな…!」

「あの忌み子を生かしておくとはどういうことかと思いましたが、いやはや、お見事です!」


先程まで震えていた村のものも勢い付き、口々に褒めてくる。そうだ、何もかも上手くいった。なのになんだ?この強烈な不安感は…。


「わ、わかった、わかった。みな、今日は無礼講じゃ。存分に飲もうではないか!」

「「おお!!!!」」


この気分の悪さを吹き飛ばそうと、その晩は一晩中酒を飲み明かした。




3日後

「おかしい…」

このところずっと真夏のような暑さが続いている。それはまだ良い。だが妙なことに水がどんどん抜けていて、土がまるで砂のようにサラサラになってしまった。


「こりゃあどうすればいいんだ…」

「あんた、あっちの井戸も枯れちまったって」

「本当かい!?それじゃあもうどこから水をくみゃあいいんだよ!」

「川だ。川から汲んでくるしかないだろう」


1週間後

川が枯れた。水は1日3杯までとした。


2週間後

森が枯れた。わずかな水分を取ることも難しくなった。


一月後

「…みず…、みずをくれ…」

ヒューヒュー喉から空気が漏れる。瞼が目に張り付いて目を閉じれない。

…渇く、乾く、かわく、か…わ…く…


ああ、…わしが頼ったあれは、土地神などではない!あれは、もっと恐ろしい………

目の前が暗くなる前、見えたのは地面を這う黒い影だった。













【ある国の城内】


立派な扉を荒く開け、騎士が一人駆け込んでくる。

「失礼します!国王陛下!」

「なんだ?今は重要な会議中…」

「ほ、報告です!原初の森からレッドドラゴンが消失!及び謎の建物が出現しました!」


「なんだと!?」


会議に参加していた貴族の面々もざわつき始める


「それは確かか?」


「はっ!監視している騎士が複数名で目撃したとのことです」


「なんと…」「あのレッドドラゴンが倒された、ということか?」「謎の建物とはどういう事だ…!」


「…静まれ。取り敢えず精鋭の記事を数名派遣せよ。レッドドラゴンの討伐者がこちらに危害を加える存在か確かめるのだ。」


レッドドラゴンはこの国でも討伐できる者がいないとされてきた魔物だ。それを成し遂げた強者がこちらに友好的か敵対的か見分ける必要がある。…願わくば前者であることを祈るが。


「それと、この事には箝口令を敷かせてもらう。一切の他言を許さん」


「「はっ!」」


中断された会議。執務室の中一人ごちる。



「…さて、鬼が出るか蛇が出るか」


カランとグラスの中で氷が鳴った。

ストック無くなりそうなのでで更新頻度落ちます!

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