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第31話 ゴリ押し

 初日こそ無才をディスられたり、一転、アイシャ様襲来で驚かれたりで、精神を揺さぶられたユキであったが、その後の学園生活はぬるりと進んでいき、ユキは一安心していた。


 午前中から昼頃まで授業。

 その後は、研究開発室での活動だ。


 研究開発室での活動について、

 ユキは相変わらず、新たな魔法論理(マジック・ロジック)がないかの解析を進めていた。


 そして、一週間ほど経ったころ……、


「お……!」


 自分ひとりしかいない深夜の研究開発室にてユキは思わず声をあげる。

 執念深く、まるで瞑想のように魔法論理(マジック・ロジック)の読み取りを試み続けた結果……、

 ついに、これまでの魔法論理(マジック・ロジック)の周辺部分を感じとることができたのである。


 ユキがこれまで改変していた箇所が、【弾の初期化処理】の〝一部分〟であることが読み取れてきたのである。

 それは、やはり想定した通り、クラス定義の中の一部であったのだ。

 具体的には、【値を設定する処理】のようだ。


 しかし、クラスの中の一部であることがわかったのはよかったのだが、【値を設定する処理】だけでは不十分であった。

 これだけでは、設定した後に、この値をどのように扱うのかが解明できなかった。


 そして、読み取ることができたモノの中で、これまで気付かなかったモノがあった。

 それは要素の中にあった〝bullets〟という要素である。


(bulletsって弾って意味だよな……一つ一つの弾を表した要素だろうか……)


「……よし」


 ユキはbulletsを足掛かりにもう少し解析範囲を広げることができないか試してみた。


 すると……、

 足掛かりがあったからか、今度は短時間で解析が進み、新たに二つの処理が見えてきた。


 新たに見えてきた処理は

 ①【弾の生成処理】

 ②【弾の設定処理】

 の二つだ。


 どうやら

 ①【弾の生成処理】は

 条件が揃えば、②【弾の設定処理】を呼び出すという処理のようだ。


 ////////////////////////////////////////////


 ■イメージ


 ①【弾の生成処理】

 ┗射出時間と射出間隔の確認を行う

 ┣OK

 ┃┗②【弾の設定処理】を呼び出す

 ┗NG

 ┗何もしない


 ////////////////////////////////////////////


 ②【弾の設定処理】はひたすら弾の初期値を設定している処理のようだ。

 この②【弾の設定処理】をすると、ユキは、まだ解析はできていない範囲であるが、更に上位の処理により、弾の発射処理などが行われると推測できた。


(……ということは、ちょっと無理やりだけど、この①【弾の生成処理】の中身をいじれば、目的としていた〝弾の同時発射〟も可能かもしれない……!)


 そうして、ユキは①【弾の生成処理】の改修に取り掛かる。


 ////////////////////////////////////////////

 ■イメージ


 ①【弾の生成処理】

 ┗射出時間と射出間隔の確認を行う

 ┣OK

 ┃┣②【弾の設定処理】を呼び出す

 ┃┣②角度を90°変更して【弾の設定処理】を呼び出す←追加

 ┃┣②角度を90°変更して【弾の設定処理】を呼び出す←追加

 ┃┗②角度を90°変更して【弾の設定処理】を呼び出す←追加

 ┗NG

 ┗何もしない

 ////////////////////////////////////////////


 〝THEごり押し〟である。

 しかし、ユキはこのように魔法論理(マジック・ロジック)を変更した。


 元々の処理が弾の呼び出し処理が一つしかないから、たくさん呼び出せばいいじゃないかという単純な発想である。

 今回は3つ弾の追加処理を追加し、合計4つの弾が同時に出るように変更した。

 直前に90°ずつ角度を加算してやれば、ちょうど直角分ずつ弾の角度がずれるようになる。


(かなりごり押したけど、果たしてうまくいくか……)


 微調整として、弾の数を4倍にしたため、大きさ(size)は0.5⇒0.125へ変更した。


 ユキは恐る恐る試してみる。


「おぉーー!」


 ユキは思わず、一人歓声をあげる。


 魔法補助具……改め、魔法具は、ほぼほぼ期待通りの動きをしてくれた。


 4つの弾が十字のように、四方向に発射され、

 それが0.5秒刻みで、少しずつ角度を変えながら回転することで散水機(スプリンクラー)のような動きが再現できたのである。


(お? しかも、なんかひんやり感が増している気がする……!? ちゃんとした検証が必要だけど……)


 大きさ(size)を1/4にして、出力調整したにも関わらず、体感でも、冷感が増している感じがした。

 〝見栄え〟がよくなったことによる成果であった。


 と……、


 ユキは急に睡魔に襲われる。


(……流石にちょっと頑張りすぎたかな……でもまぁ、明日、休日でよかっ…………た…………)


 寝落ちした。



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