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第26話 アイシャ襲来

(え……? なんだなんだ……?)


「うぉおおおお、イクリプス様だ……!」

「生アイシャ様……やべえ……お美しい……」

「おい、お前……ファーストネームで呼ぶなんて不敬だぞ……!」

「なんでこんなところに……? 珍しい……」

「秘書のゲッツェコードくんに御用かしら……」


(あ……アイシャ様?)


 透き通るような白銀の髪、意志の強そうな青い瞳のきわめて均整の取れた顔立ちをした女子生徒がそこにはいた。


「い、イクリプス様……お目にかかれて光栄です。本日はどうされましたか? ゲッツェコードに御用でしょうか?」


 前の方にいた男子生徒が話しかけるチャンスを逃すまいとするように、アイシャに声をかける。


「どけ……!」


 と、その男子生徒を退けるようにスパ・ゲッツェコードが前に出る。


「アイシャ様……御用でしょうか?」


「あ、そういえば、スパもこのクラスだったな」


「っ……」


 あっけらかんとしているアイシャに、スパは少々、苦々しい顔をする。


「ということはゲッツェコードに用があるわけではない?」

「ん……? ゲッツェコードに用がないとすると逆になんだ?」

「うちのクラス……なんかやらかしたか?」

「それはそれとして、なんて凛々しい声をしているんだ……」

「あぁ……こんなに至近距離で見れただけでも今日はついてる」


 1年1組の生徒たちは未だ、ざわざわとしている。


 と……、


「あっ! いたいた! いたじゃないか!」


「「「っっっ!!」」」


 アイシャは誰かに気付いたような反応を示す。


(…………!)


 アイシャがこっちを向いているような気がしたので、ユキは後ろを向く。

 きっと自分の後ろにアイシャが呼んでいる人がいるのだろう……ひょっとしたらオーエスが戻ってきていて……そう思ったからだ。


 が、後ろにも何人かいるにはいたが、オーエスはいない。

 そして、皆、「なにこっち見てんだ」というような怪訝そうな顔をユキに向ける。


「おーい、ユキ、なぜそっちを向いてしまうのだ?」


(…………!!)


「え? ユキ……?」

「今、イクリプス様……ユキって言ったか?」

「ユキってあの編入生の名前だよね?」


 と、アイシャはユキの方に歩いてくる。


 アイシャが進む先はまるで緊急車両であるかのように、生徒たちが道を開けている。

 なんとあの伯爵令嬢であるというルビィ・ピアソンですら軽く頭を下げて道を譲っている。


 そして、ユキのところへやってきて……、


「ユキ、どうだ? 学園での初日は?」


「「「っっっ……!!」」」


「やっぱりあいつだ」

「イクリプス様があいつに話しかけている」

「しかもなんか心なしかかなり親しげじゃないか?」


(……な、なんなんだこれ。めちゃくちゃ気まずい……。え? アイシャ様ってこんななの? ここってほぼほぼどこかの貴族が集められてる学園だったはずだが……。その中で、この扱い……何がどうなってるんだ?)

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