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ゲスガキと修正の歯車  作者: 大犬座
チャプター1 始動
5/40

追跡、そして冒険者ギルド

ガコンッ


「はっ!今何が!?」


「ちょっとアンミェル、なに寝てんの?」


「こんな所で眠ってしまうなんて…‥まだまだ子供なんですね」


「あまり突っ込むことではないでしょう?そこらでやめてくださいませ、さて……」


「アンミェルのせいで話の腰が折れたが……ズバリ言う、レイル、お前をこのパーティから追放する」


「な、なんだよバウンデン……僕は今まで君たちの役に立ってたじゃないか!?」


「だが、同時に足を引っ張る場面も多かった、これからは消えた魔王の捜索がメインとなる、そうなれば動きを制限されるお前のスキルはデメリットになりかねない」


「そーそー、それに力分けるせいで私が偶像劇で増えても効果薄くなるし、はっきり言ってメリット薄いのよ」


「命に関わることですので、ここから先は慎重にいかなくてはなりませんの。心苦しいですがレイル様とはここでお別れしませんといけません」


各々レイルのスキルについて意見を言い、彼はそれを悲しげな顔で聞いている。そんな中で、アンミェルはレイルのことを黙って睨んでいた。


「随分と大人しいなアンミェル、お前が一番迷惑かけられただろう?」


「ああ、コイツの追放にはボクも大賛成だ」


「というわけだ、もう国にも許可を得ている。どこへでも行け」


「そ、そんな……くっ、分かったよ」


「あ、ちなみに荷物はパーティの共有財産だから。お金もそうだし、全部置いてってね」


踵を返すレイルに、シエノンが当たり前のようにそう伝える。その言葉に唖然とするレイルだったが、バウンデンやエステルの無言の圧力に負けたのか、すぐにバッグと通貨袋を置いて出て行ってしまった。


「……よし、ボクはちょっと出るよ」


「ん?何しに行くの?」


「なんでもいいだろ、お前もちょくちょく出てるじゃねえかよ」


「ま、そうねー、私も今日はちょっと出かけるし」


「そうですか、わたくしも道具とお肌のケアをしないといけませんので、ここらで失礼しますわ」


「私も、王太子様から婚姻の約束をされている身、大事にしないといけないのでそろそろ戻らせてもらいます」


「アンミェル、お前にはちょっと話がある。なるべく早く帰って来てくれ」


「おう、なるべく早く帰ってくるよ」(テメェの変態趣味に付き合う暇なんてねえんだよ!くたばりやがれクソ野郎!)


アンミェルは酒場に入り口に向かいつつ、バウンデンの言葉に素っ気ない返事をしながら、心の中で存分に罵倒していた。


………………


「お、あんな所にいやがったな」


夜の王都、街灯が照らす街並みは人の往来が激しく、人探しも難しいほどだった。


そんな中、アンミェルは盗賊時代に培った追跡能力と人探しのコツを使って、噴水広場で項垂れているレイルを見つけていた。


「あいつがなにやったのかしらねえけど、カラクリを見破ってぜってぇぶち殺してやる」


そうしてレイルの動向を窺っていると、何か独り言を呟く彼に一人の人物が近づいていく。


それは、自分の身長ほどある杖を持ち、豊満な胸を強調した服に下着が見えそうなほど短いスカートを履いたどう見ても痴女にしか見えない少女だった。


「なんだ……?杖を持ってるってことは冒険者みてえだけど」


その服装はともかく、杖を持っていることから魔術師だと思われる彼女がレイルに話しかけているようで、

そんな彼女と何かを話し終えたレイルは、すぐにどこかへと去っていく。


「はぐれ者とパーティでも組んだのか……?あの女も大したことなさそうだし、そうみたいだな」


先の読めない展開に、レイルと歩く女に対する侮蔑をしながら、アンミェルは追跡を続ける。


到着した先は冒険者ギルド、戦闘向けスキルを身につけた者は一攫千金を夢見て、他種族が蔓延る外の世界へと冒険に出る。


冒険者ギルドはそんな者達をサポートしつつも、外の世界に用事がある一般市民の依頼などの仲介をしている国営の組織である。


そんな冒険者ギルドに入った二人は、すぐに受付嬢と何か会話をすると、なにやら一悶着あった後に、外界へと繋がる入り口へと向かっていった。


「なんだ?こんな夜中に外へ行ったのか?金がねえとはいえ、中々に無茶をしやがる」


もう日が落ちた状態で、なんの依頼を受けたのか分からないとはいえ、夜に外界へと出発するなど普通の冒険者にとっては自殺行為に等しかった。


(なに考えてやがる……いや、なにも考えてないのか……?)


二人がどこに向かうのか、それが純粋に気になったアンミェルは静かに、しかし一定の距離は確実に保ちつつ追跡を行う。


すると、追跡のために草丈の高い道を選んでいた為か、彼女の背後から小鬼の魔物……ゴブリンが襲いかかる。


しかしそんな魔物の攻撃に対し、無言でナイフを抜くと、一切無駄の無い動きで急所を的確に穿ち、上に切り上げてグリッと捻った。


するとゴブリンは声も上げずに死亡し、それを見た周囲のゴブリンは恐ろしさを感じたのかそれ以上手出しせずに逃げ出した。


(ザコが……時間の無駄なんだよ)


心の中で悪態をつきながら、アンミェルは追跡を続ける。

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