茹でった黒髪ロングが聖母な金髪ギャルの身体で昇天しそうな話
「ごめんくださーい」
「はーい。あら、どうしたの?なんだか二人とも茹で蛸みたいになって」
「茹でられすぎてそのまま蒸発気化のち結露しそうなんでタオル下さい」
「こんな暑さの中外にいたの?」
「日光浴してた」
「自殺志願者ね」
はい、と言ってタオルを渡してくれたのはたまたま居てくれた保健の先生だ。白衣っていいよなぁ。私は好きだ。
私達の命を救った美人教師は「先生職員室行ってくるから適当に宜しくー」と足早に去ってしまった。なる程、つまり二人きりということだ。いや割といつも通りなんだけど。
「ひゃー思ったより濡れてるー……」
おいおいいいのか?この熱暴走気味の私と、全日本男子が思わず前屈みになるであろうエロエロゆるふわ金髪かわいこちゃんと二人きりにして?
オヤジか私は。
「タオル貸してぇー」
「……」
今私は葛藤している。
このシャツを脱いで下着だけになった超エロい愛美。頬も若干赤らんでエロさと可愛さが同居している。凄いな4LDKじゃん。
先程脱いだ瞬間、むわっとシャツの中に立ち込めた匂いが解き放たれ、私は思わず鼻腔を広げた。気分だ。大した効果はない。でも止められなかった。私は無力だ。
そんなことはいい。重要なのは今私がタオルを2枚持っていて、愛美がそのうちの一枚を欲しているということだ。
「杏ー?固まってどうしたのぉ?」
「……いや、うん。私が拭いて進ぜよう」
もう今更だろう。これまで散々好き勝手やってきたし、それを愛美にもさらけ出してきた。
そうだもう怖いものなんてあろうものか。何よりあの聖母愛美だぞ。きっとはにかみながらも了承してくれ
「えぇー……うーん……どうしよぉ」
オイ待ってくれ。目を伏せて腕組みして胸を強調しないでくれ。
やばい今まで積んできた信頼が崩れ去っていく音がするぞ。何の信頼だ?待ってくれそんな顔しないでくれ。愛美に捨てられたら私はもうあれだぞ。アレ。
「あー……ごめん、嫌だよね」
「ぁあーそんな顔しないでぇ!恥ずかしかっただけだからぁ!はい、どうぞ!」
「いい、の?」
「あたしも何で今更こんな恥ずかしいのかわかんないけど、寒いから早くしてぇ」
「あ、ああごめんね!すぐやるから!」
見たかオラァひゃっほぅ!一瞬滅茶苦茶焦ったけどなんてことはない!私が勝者だ!ふきふき。
「……」
「うぅ……大丈夫?あたし臭くないぃ?」
「待って今集中してる」
只でさえ瑞々しい愛美の肌が、発汗したせいか余計に扇情的に見える。
しかも必然的に近づくのでフェロモンがもうやばい。何だこれ同じ歳か?この香りに包まれて微睡みたい。すごいよ愛美……君は最高だ……
私はぷるぷる震える愛美の身体を、ゆっくり優しく拭いていく。いや、この場合は拭くというより叩くだな。この完璧な躰に万に一つも擦り傷などあってはならない。純金を扱うように優しく、やさしく……
「わ、脇もやるのぉ……?」
「やる。ほら、ばんざーい」
「うう、ばんざーい……」
はあぁ!!ヤバい!私はもう(既に)手遅れかもしれない!!
「あ、あんまり見ないでぇ……」
「大丈夫めっちゃ綺麗だし超いい匂い」
「何言ってるのぉ!」
「愛美に汚いところなんて一つもないよ国宝級だよ。ありがとう舐めていい?」
「うぁー杏が壊れちゃったぁ」
何を言う私は正常だぞ。見よこの曇一つない爛々とした眼を!このまま勢いで第三の目が開眼してもおかしくないぞ!
冷えた愛美の腰から脇に沿って、優しく赤子を扱うように丁寧に拭いていく。しかし、こうしていると普段あれだけくっついているのに確かに少し恥ずかしくなってくる。ひょっとして私はどんでもないことをしているのではないか?
「うぅ……」
「大丈夫。綺麗だよ愛美」
「今言われても複雑だよぅ……」
「風邪を引いても困るしね。手早く済ませてしまおう」
「手早くないよぅ、めっちゃ丁寧だよー……」
「当たり前だよ。丁寧にやらなくちゃ。一人の体じゃないんだから」
「支離滅裂ー……」
脇、OK。腕、OK。足、OK。背中、OK。お腹、OK。
となればあとは……あとは……
「そ、そこも?」
「うん……いい?私がやりたいんだ。それにおっぱいの下って凄い汗かくって聞くし」
「ブラは外さなくてもいい……よね?」
「任せ……いや、駄目。つけといて。私が私を抑えられそうにない」
「……ふふ、はぁい。じゃあ、どうぞぉ?」
そう言って、愛美は胸を張って私にその溢れんばかりのおっぱいを差し出す。色は下と同じ赤色で、レースの意匠がこれまたえっちだ。汗ばんだ谷間。何時もより濃い彼女の匂い。そもそもほぼ裸。頭がくらくらする。
「い、いくぞ私……」
「……ふふ、拭くだけなのにかーわいいんだぁ」
「?何か言った!?」
「何にも言ってないよぉー」
恐る恐る、そのたわわなお胸を持ち上げる。うわ柔らかいブラしてるのに柔らかい!いや嫌落ち着けよ須藤杏。これは胸の下が汗疹にならない様に拭くためだから。やましい事ないから!
「ふっ、ん……」
だからそういう声出すのやめてもらえません!?
「あれ、ここはしてくれないのぉ?」
「え、ここって」
「こぉこー」
蠱惑げな視線で谷間指すのやめてくれません!?
「やる」
「んへへ」
なんで嬉しそうなんだ私が爆発してしまう。
今にも口から飛び出そうな心臓を抑えながら、手を魅惑の谷間に持っていく。
「ふふふ、そりゃ」
「んえっ」
オイ挟んできたぞこいつ!私の手を!胸で!
やばい素肌めっちゃすべすべやんでもちょっとしっとりしててエッチやんどっから変な関西弁来たん!?
「どぉー?このおっぱいは自信あるんだぁー」
「うわぁすっごいやわらかいよう」
「でしょー。評判なんだから!ほれほれぇ」
むにむに。むにむに。むにむに。
…………っは!
「拭かなきゃ」
「んふ、お願いしまーす」
そういえば忘れかけてたわ。愛美って歴戦の猛者だったわ。すっかり癒やし系ママだったと勘違いしてたわ。
「はーすっきり!ありがとねぇ」
「う、うん。股辺りは流石に自分で……」
「えー?」
「死んじゃうから!私消えてなくなっちゃうから!何かが憑依してたんださっきまでの私は……」
ただ身体を拭くだけなのに、とんでもなく消耗してしまった。
いやよくよく考えたら、裸同然のクッソエロい友人を私が密着して拭くなんて全然『だけ』じゃないんだけどね。しかも挟んでくるし。なんで得意気なんだ。犯s……いやそんな度胸ないわ私。
「ね、杏はどうする?」
「私?」
「ほらぁ、杏も汗びっしょりじゃない?」
言われてみれば、私も同じ様に汗ばんでいたんだと思い出した。自覚した途端、寒気と不快感が私を襲う。どうしよ、寒い。
先ほどまでの情緒で蒸発していた脳細胞が、活性化してくる。冷静になった。寒い。
「思い出した。寒い」
「……ね、今度は私の番だよねぇ?」
「え?」
「杏の身体、拭かせて?」
……こんなん、断れる訳ないじゃん。