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ワルイコイイコ

作者: ある

私を罰する人は居ない。

一人っ子だから親は味方。

大きな問題を起こしたり、人と喧嘩をしていないから先生も私の味方。

大体のことはやってるし、約束もちゃんと守ってる私は善人。

だから私は罰せられない。

だから私は怒られない。

みんな私に味方する。

少々自分勝手でも、いつも良い子なら許される。

私は良い子。私は善人。

だから、人の物を盗んでも、冤罪を着せても、みんな私を信じる。

私を被害者と決めつける。

悪いことをしても、教育者の責任で私は何も悪くない。

私はただの可哀想な子。

全部周りのせいになる。

全部自分のせいなのに。

物を盗むのは悪い事。私は知っていながら盗んだ。悪いことをしていると思いながらも盗んだ。

誰にもばれなかった。

落とし物は誰のものでも無くなっていた。

だから盗んだ。欲しかったから。それ以外にはっきりとした理由があるのか分からない。

私は怒られたかったのかもしれない。

今となっては分からない。

でも、怒られなかった。

何も誰も気付いていなかった。

私はいつのまにか、良い子の皮を作って被っていた。

それに惑わされて、みんな私を怒らない。

悪いことをしても慰めるだけ。

不平等だ。

私の友達にはあんなに怒鳴っているのに、怒って叱っているのに。

意味不明だと思うのだろう。

怒られないのは良いことだと言うのだろうね。

でも、怒られた方が後味が楽だ。

怒られなかったら一生その時の後悔を背負うことになる。

自分の過ちを自分に責め続けられるのはなかなかに耐え難いものだ。

楽しいことをしても、嬉しいことがあっても、人の役にたっても、昔の罪を思い出すと自分がここにいることがとても申し訳なくなる。

発展途上の国では、意味もなく飢えて死んでしまう子供もいるそうだ。親に虐待を受けている友達もいる。

そう言う人たちは今を一生懸命生きている。

その人たちこそ私の立場にいるべきではないのか。

なんの努力もせず、ただ適当に日々を過ごしている、不器用で高飛車で死にたいと云う贅沢な悩みを抱えるようなものがここにいて良いはずがない。

貧しい人たちは鬱憤を晴らす場所さえ無い。

楽しいこともない。

だけど頑張っている。

そんな人たちに失礼だからこの場所を譲って私は死にたい。死んだら何も感じない。

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