楽しい面接試験だよ
「次の方どうぞ」
「我が名は斉藤! この世の摂理を正す者なり!」
「フハハハハ! よく来たなぁ斉藤! この面接官直々に相手してくれるわぁ!」
「いやあの、ちゃんと面接やってください」
「テメェこら斉藤オイ」
「なんすか、採用っすか」
「よくもそんな口聞けたな帰れや」
「俺たちの面接はこれからだ!」
「そのフリだと終わるよね面接。ていうか不合格だからかえれや」
「フフフ……所詮、俺は四天王の中でも中間ぐらいのパゥアァだ……後に控える田中とバハムートを超えられるかな……?」
「この面接資料嘘じゃなかったのかよバハムートってだれだよこれただの面接だわ!」
「シャ・ラップ! 貴様はここで死ぬ定めなのだぁ!」
「わかったから斉藤は帰れ! 二度と来るな!」
「ば、馬鹿な……この俺がアアアァァッァアアアアアア!! ……失礼しました」
「本当に失礼だったよ君は」
「失礼します。番号238のバハムートです。よろしくお願いします」
「キャラ間違ってるだろ斉藤と性格入れ替えろ」
「あの、ちゃんと面接してください」
「あ、はい。……趣味は何ですか?」
「文明崩壊させる事です」
「よし、帰れ」
「つ、次はちゃんと応えますので!」
「……では、学生時代に打ち込んだ事は何ですか?」
「はい、学生時代では、王都に豪火球を打ち込みました」
「本当に帰れやそもそもバハムートが面接受ける時点でオカッシイんだよクソが! やってられるか!」
「早まるな! 面接官!」
「貴様は……斉藤! 何故戻ってきた!」
「バハムートめ、ぶっ殺すしてやりましょうか!」
「日本語が不自由だぞ斉藤!」
「悪いバハムートじゃないです」
「そうか。じゃあいいや」
「諦めるな斉藤!」
「うっ……文明を崩壊させたい衝動が……! これがバハムートの血筋……! みんな俺に近寄るな! 傷つけてしまう……!」
「おっまじか。近付こ」
「やめろ斉藤!」
「グオアアアアアアアアアアア!」
面接は終わった。終わったのだ。邪悪なる龍との激戦の末、平和が訪れた。
かの者の名は斉藤。偉大なる、勇者の生まれ変わりとして生を全うした、正真正銘の英雄であった。
彼を称えよ! さすれば、邪悪なる龍は二度と復活せぬ!
「グオアアアアアアアアアアア! 幾千年の時を経て完全復活したぞおおおお!」
「我が名は斉藤! 共に世界を征服しようではないか!」
「いやです」
これっくらっいのっ
おべんとばっこにっ
おっにぎっりおっにぎっりちょっとつっめてっ
我が手中に収まれ、永遠なる常闇よ。ノアの方舟を沈没させ、エデンの箱庭を焼き尽くせ。
天変地異の災いを、因果応報の報いを。今宵の贄となりて、供物となりて、天地創造の絶対神の戯言を真実とせよ。
白銀に輝く穀物を煮立たせ、意気阻喪なる怪魚を燃やせ。沸騰した熱水には細切れにさせた魚類を浸透させよ。
大地に根付く緑色の生命を詰め込み、森羅万象と入り乱れよ。
火加減を誤ってはならぬ。一つの愚行が火傷となるであろう。
煙を立たせる穀物を隙間なく詰めたならば、栄養バランスを考えた有象無象を無雑作に並べよ。
最終。それを我が腹へと流し込めた暁には、絶えぬ飢えが治まるであろう。