第11話
第11話
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異世界生活148日目夜。2300。
夜襲におびえていた帝国軍が、今日はもうないだろうと安心して寝静まったころ。俺は罠の敷設に腐心していた。ジェットパックと呼ばれる、クローン・ジェットパック・トルーパーが使ってそうな空中機動装備で、ブービートラップの海と化してた森を抜け、東へ向かう街道に降着した。
街道脇に、5㎏のTNT爆薬に大量のベアリングやビス、ボルト、ナットをダクトテープ(アメリカでよく使われる強力ガムテープのようなもの)で張り付けたモノを合計で20個設置して、それぞれに10個ずつ2つのグループ分けをしてそれぞれに2系統2重の導爆線で接続する。そして、四本の導爆線をレザーマンMUT EDUで末端を切断して信管に接続する。
その信管は、導爆線で接続して、起爆装置に接続する。のM60発火具は500メートル離れた監視拠点で操作するから、余裕を見て800メートルの導爆線で接続する。その間、野営する帝国軍の動向はリモートカメラといういわば軍用のWebカメラのようなもので監視しているから大丈夫だ。よし、それでは帰るとしよう。
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帝国軍はつかの間の平穏を謳歌していた。だが、とある兵士が異変に気が付いた。自分の天幕の外側に何か泥のようなものが付着したのだ。その正体が気になったその兵士は天幕の外に出て確認した。
「ひ、ひぃぃぃぃ!!」
それ確認した瞬間、悲鳴を上げた。その泥は歩哨をしていた兵士の脳みそだったのだ。その悲鳴を聞いた兵士たちが一斉に天幕から出てきて、その悲鳴は周囲にも広がった。
そして、その野次馬の外縁部でまたもや肉が断たれる音と、悲鳴が聞こえた。今度は左ひじが吹き飛んだようだ。すぐさま近くの兵士が助けようとした。その瞬間、その助けようとした兵士の右膝が吹き飛んだ。
あとはそれを繰り返すだけ。10回ほど繰り返し、誰も助けなくなったところで何もしていなかった兵士が狙撃された。それによって恐怖はさらに広がる。狙撃を避けるために、篝火は直ちに消火しようとした。そしてこの時に消火しようと近づいた兵士が狙撃されたことから、敵は明るくないと攻撃できないのだと考えた。
そして、実際にしばらく攻撃が止まった。帝国軍はその事実により本当のことだと理解した。いや、させられたのだ。これで、敵の攻撃におびえることなく安眠が……と言うことは無く、手足を吹き飛ばされた兵士たちの悲鳴が野営地一体に響きわたり、帝国軍の兵士たちは精神をすり減らした。そして日付が変わり、午前1時半。その理解が間違っていたことに気が付く。突如としてひときわ大きな悲鳴が響く。また新たに攻撃されたのだ。
その悲鳴が5分ほど続き、出血によりぐったりしてしまったところで、ひときわ大きな悲鳴が上がった。今度はより痛そうだ。今度は手足ではなく、腎臓を撃ち抜かれたのだ。腎臓はどんなにガッツのある人間であっても、悲鳴を抑える事が出来ない。文字通り、地獄の様な苦しみを味わうのだ。
ああ、何と慈悲深い事か、何故なら地獄の体験就職をさせてもらえるのだから。普段その地獄を作る側の帝国軍兵士は以前であれば、される方ではなかったためそう思えた。だが、実際のされる側に回ると『いっそ殺してくれ』と思うようになる。帝国軍兵士の士気は急速に下がり、逃亡兵が激増した。
ちょっと短いですけど、もう一は本日中に投稿できるので大目に見てください。