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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
はじまり

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10 けっこん 11

 環境再現の区画がある階層を降りて、今までは通り過ぎていた階層の隔壁の前に立つ。


「ここは?何があるの?」

『この隔壁の向こう側自体は、貨物用ですね。ここも圧縮空間でかなり広大なんですが、今回貨物用の区画には行きません。』


「貨物区画に行かないのなら、何故ここに?」


「実は、この隔壁は仕掛けがしてありまして、開け方を間違うと貨物用の区画にしかいけないんです。この階層に降りる時、妙に階段が長いと思いませんか?」


 言われないと気づかなかったけれど、確かにこの場所の天井までの高さの少なくとも数倍は、階段が続いていた。

 隠し階層、でもあるのか?3層構造だと思っていたのだけど。

「確かに、不自然だ。」


『機関部への道とか、圧縮空間の発生と維持をするための装置とか、ノアの本体がある場所とか色々あるからなんでしょうね。特に圧縮空間の生成装置はこの階層と、私達の家のある階層の間にある方が都合がいいでしょうから。』


 この船の動力ってなんなんだろう。余り科学知識に詳しくない僕ですら、天文学的なエネルギーが必要だと判る。サオリが隔壁を操作している間に聞いてみようか。


「この船ってどうやって動いてるの?」


『推進機は太陽帆と、電力の確保に核融合炉が複数ですね。他にも機関部には、大型の電気推進機関も利用してます。発電は外殻自体でも行っていて、有害な放射線等を変換しているそうです。地中にある時は熱と圧力を変換して維持していたらしいですが。』


 ソーラーセイルだって?父さんが研究してたって聞いた事があるけど、そんなものまであるのか。

 正しく、船なわけだ。


「本当にとんでもない船だね。どうして作られたんだろう?」


『何故作られたのかは、私達には解らないですね。ノアが知っているのかも知れません。案外、巨大建造物が作りたかっただけかもしれないですよ。男のロマンってヤツです。気持ちは理解できますね。』

 キミは女の子だろう。


 〈建造には私が関わってます。ちなみに、作製者は巨大宇宙船はロマンだろって言ってましたね。私には理解出来ませんが。〉


 唐突にノアが話に混ざってきた。作った人の話だったから、我慢出来なかったのかな?しかしこの船、浪漫の塊みたいなものだったのか。

 でもまてよ?ノアが建造に関わっている?方舟の管理用人工知能ってわけじゃ無かったのか?

サオリが操作していた隔壁が開くと、階段が現れる。その階段を登りながら、僕はノアに尋ねた。


「ノアって、何者なんだ?方舟自体がノアだと思って居たんだけれど。」


 〈私ですか?元々は違いますよ。小さな機械の集合体ですね。今は私の身体と言えるでしょうから、船が私であると言うのは間違いじゃないですよ。〉


 今のノアの口調だと、イオリと話しているような気分にさせられる。姉だって言ってたのは、こういう事だったのか。

 しかし、ナノマシンの集合体ってどんな姿なのだろう?


「ノアってどんな姿をしているの?」

 その質問にはノアの返事はなく、代わりにサオリが答えた。


「あたし達も、直接は見た事は無いですね。知識として、知っては居ますが。まぁ、楽しみにしててください。もう少しで着きますから。」

 サオリは含み笑いを浮かべながら、階段を登った先にある隔壁も開けた。


 〈サオリ、貴方もイオリみたいに悪趣味じゃないですか。私の嫌がる事を、楽しみにしろだなんて。〉


「姉上が割といい性格してるのは事実だけど、あたしまで一緒にしないでくれない!?」

『貴方達、言いたい放題言ってくれますね?後で覚えてなさいよ。』


「イオリねぇさまが怖いです。」

「マホも。」

 うん、僕も。


 何時も思うけど、イオリのその笑顔は怖いよ。


 〈本当に、やめませんか?何で私まで・・・。〉


『往生際が悪いですね?大体、本当に嫌なら何で自分の分の指輪も用意してるんですか!』


 〈それはイオリが、用意しないと彼と結婚しないとか言って脅すから・・・。〉

 それは酷い。いや、ホントに酷い。思わずジト目でイオリを見る。イオリは僕をチラリと見るも、表情は変えず続けた。


『確かに言いましたね、笑いながらですけど。それを本気にしたって事は、満更で無かったって事ですよね。』


「確かにあたしも、半ば冗談だと思ってましたけど、届いた箱が6つあった時点で悪い気はしてなかったんだと思いましたよ。」


 〈貴方達が羨ましかったのは認めますが、私はヒトじゃありませんよ?〉


「姉上、此処ですね。」

 イオリはノアの返事を無視して、扉の前で歩みを止めた。

 どうやら、ノアの本体のある場所に着いたようだ。イオリは仁王立ちをしながら扉の前に立つ。


『さあ、開けなさい!此処まで来ても、隠れ続ける気ですか?』

 音もなく扉が開き、部屋の明かりが灯る。


 中には誰もおらず、巨大な機械が部屋の中央にあり、壁側には薄く輝く筒のような物が沢山見える。

 あの中央の機械が、ノアの本体なのだろうか?


 イオリを先頭に、部屋に入ると扉が閉まった。


『ノア、出てきてくれませんか?』


 イオリがそう言うと、小さな光の粒子のような物が壁際から溢れだして、僕達の前で集まり、段々人の形になっていく。そのうち徐々に光が収まりだすと、マホやシホよりも少し小さな、淡く光を放つ女の子が立っていた。

創造者→作製者 へ変更しました 7/2

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