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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
はじまり

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80/100

10 けっこん ⑧

「ボク達はもう旦那様のお嫁さんですよ?」

「うん、しーちゃんの言う通りだよ?」


 ある程度は、イオリに聞いたのだろう。入って来て早々に立ったまま二人は自分達も花嫁だと言い切る。

 この二人は最初から、僕の花嫁になるために生まれた。イオリやサオリもそうではあるけれど、どうしても歪められているんじゃないかって、考えてしまっている。


「二人はそう教えられたから、だよね?最初からお嫁さんだって言ってたし。」


 僕の返事を聞いて、マホとシホは顔を見合わせる。


「まーちゃん、旦那様って鈍いのかな?」

「しーちゃん、旦那様はにぶちんなんだよ。」

 ヒソヒソ言ってるつもりなんだろうけど、目の前だから丸聞こえだよ。


「鈍感って、酷いな二人とも。」

 あんまり否定は出来ないけれど。


「ボク達、旦那様だからお嫁さんになりたいんですよ?」

「マホもしーちゃんも、旦那様じゃなきゃイヤだよ?」


「どうして?」

 疑問だったんだ。初めて出会った時、二人の前で感情を暴発させたのに、ずっと花嫁だと言い続けている事が。


「旦那様は、生き物が怖かったボクのために、お馬さんを触らせてくれました。他にも、ボク達が学校に行きたいって言ったら、一生懸命準備や、何をするかを考えてくれました。」

「マホ達のご飯を作るために、毎日お仕事頑張ってくれたり、毎日一番最初に起きてご飯を作ってくれたりもしてくれてるの。」


「ボク達を大事にしてくれているから、ボク達にとっても、旦那様が大事なんです。」

「マホとしーちゃんは、ちゃんと旦那様の事好きなの。最初はノアちゃんに教えられたけれど、最初だけだよ。マホ達も旦那様のお嫁さんになりたい。」


「ボク達、ちゅーまでしたのに解らないなんて、旦那様は鈍いですね。」


 どう受け取ればいいのだろうか。二人が大事なのは当然だから、出来る限り願いを叶えてあげたかった。イオリ達にもそうして来たから。

 確かにキスはされたけど、イオリの入れ知恵だったり、仲間外れがイヤだったからだと思っていた。でも、二人には違ってたのか?


「僕も二人の事は好きだよ?」


「今言った旦那様の好きと、マホ達の好きは違うよ。マホだってお姉様達と同じで、ほんとは旦那様を独り占めしたいの。」


「ボク達は旦那様をお兄さんや、お父さんだとは思ってないです。ねぇさま達と同じように、女の子として見て欲しくて、どうしたらいいのか判らないんです。」


 二人の表情は苦しそうで、泣き出しそうだった。シホ達の想いを聞いて、彼女達を少し知れた。

 僕が、イオリやサオリと同様に扱わない事が、二人はずっと苦しかったんだ。サオリと同じ思いをさせてしまっていたんだ。


「だから、ずっとお嫁さんだって言っていたの?」


「はい。言い続けたら、ボク達もイオリねぇさまのように見てくれるんじゃないかって。」


「お姉様達が羨ましいかったの。マホ達小さいから、旦那様がマホ達を見てくれないんだって。マホ達が赤ちゃん産めないと、旦那様はお嫁さんにしてくれないって。」


 だから、キャンプの話をする前も、赤ちゃんに拘っていたのか。ノアはそれを見ていられなくて、少しでも二人の身体が成長出来るように考え、二人に運動をさせるよう提案したのだろう。漸く推論ばかりの話だった事に合点がいった。


 どうしてそこまで、なんて思っちゃいけなかったんだ。

 この子達もちゃんと、女性だった。向き合う向き合うって僕は言ったけど、この子達には向き合ったつもりになっていただけだ。


 僕は立ち上がって、マホとシホの前に行き、目線を合わせる。

 それから、二人を抱きしめた。

 謝るのは簡単だけれど、この子達が欲しいのはそんなものじゃない。自分達を見て欲しくて、精一杯の自己表現をしていた二人に、ただ謝るのは失礼だと思うから。


「イオリ達と同じように扱うのは少し、時間はかかるかもしれないけれど、マホもシホも僕のお嫁さんになってくれないかな。僕は、マホやシホも欲しいんだ。本当にそう思ってるよ。」


「いいんですか?ボク達も。」

「マホ達も、お嫁さんになれるの?」


「うん。二人とも、かわいいから。僕のものだよ。」

 今はまだ、妹のような気持ちはあるけれど、この子達が悲しむのは、僕も辛い。

 だからもう少し、この二人を知る時間が欲しい。


「もっとボク達を、好きになってください。」

「マホ達、旦那様と居られるのが、幸せなの。」


「マホとシホにも、僕のお嫁さんだってしるしを渡すよ。」


 僕は二人を離してから、指輪を取り出して、指に嵌める。

 シホは、サファイアを、マホはファイアオパールの施された指輪だ。

 宝石にはそれぞれ、意味があると聞いた事がある。きっとイオリが選んだのだろうけど、いつか聞いてみたいと思う。


「ぶかぶか!でも、綺麗ー!」

「無くしちゃうとイヤですね。」


「今はまだちゃんと付けられないだろうから、首飾りに出来るように用意してもらってるよ。でも、最初は付けてあげたかったんだ。」


 二人は嬉しそうに、大事そうに指輪を見つめていた。

 僕は、もう迷わないよ。ちゃんと全員、僕の命が尽きるまで愛すると誓う。


 僕の指輪は、誕生石のガーネットらしい。良く考えれば、男性から贈るはずの婚約指輪に、何故僕の分の宝石があるのかは後でイオリに確認しよう。あともう一つはオパールって書いてあるのだけれど、これは誰の分なんだろうか。

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