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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
はじまり

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10 けっこん ③

「日本人って理由はよくわからないんだけど、サキとイオリが瓜二つな理由は判ったよ。サキの最後の願いを叶えてくれてありがとう。」


 〈怒らないのですか?〉


「どうして?確かに、サキの事は僕も悔やんだし、悲しくて、自分の全てを失ったような感覚になって居たけれど、ノアが殺したわけじゃない。」


 結果が変わる訳ではないから、ノアを責める意味なんて無い。方舟の浮上に巻き込まれたのかと思っていたけれど、違うようだし。わざわざ犠牲者の恋人を選ぶとか、悪意しかないような行動にも思えないから。ノアを信じよう。


 〈ありがとうございます。計画の為に貴方を悩ませている事は承知しています。人類の存続のためにという計画は私の存在意義にも関わるので変える事は出来ません。〉

 〈ですが私は、貴方達が幸せに暮らしていく姿を見ていたいのです。だから、イオリ達を受け入れてあげてはくれないでしょうか。これ以上、貴方の伴侶を増やす事はありません。それはお約束します。貴方が望むなら、話は変わりますが。〉


 計画が鎖のような物で、ノア自身を縛り付けているから、イオリだけじゃなく、サオリやマホ、シホまで生み出す事に繋がったのか。

 でも、彼女らに子供が出来た場合、その子達はどうするんだろうか?


「受け入れるのは時間がかかるだろうけど、少し聞きたい事があるんだ。」


 〈なんでしょうか?〉


「彼女達はどうやって生み出されたのかと、もし子供が出来たらその子達はどうするのかを聞きたいんだ。」

 何故今まで気にしていなかったんだろう。普通に考えたら、疑問に思う所だと思う。


 〈サオリは複製体です。マホやシホは地震の犠牲者の卵子や精子を使わせて頂きました。サオリは貴方とサキさんと三人で撮った写真を、元の人物が所持していたので、恐らく仲が良かったのでは無いかと考え、同様に複製体として生み出しました。その写真についてお聴きしたいのですが、貴方は女装趣味があるのですか?〉


 え?まさか文化祭での写真って事?何故そんなものを持ち歩いていたのだろうか。

 マコトもミキも一緒に撮ってたけど、顔つきがどちらとも大分違うのは、調整の影響って事なのか。イオリが似たのは、本当に偶然もあったのかもしれない。


「女装趣味はないよ!?もう一つの疑問は?」


 〈イオリ達の子供ができた場合、別の遺伝子を使った調整体を用意して、番いになってもらいます。便宜上、貴方がたの子供を第一世代として、その子の第二世代まで、同様の対応をします。その後は、近親婚でもしない限りは多様性を維持出来ると思います。男女比の調整が自然には難しい場合、都度干渉する事になります。〉


 うん。難しい話になってた。そんな気はしてたけど。


「そっか。うん。大体判ったよ。」

 最後のはよくわからなかったけど。子供にはハーレムを作らせるような話ではないのは判った。


〈私の判断は貴方に不信感を与えてばかりですね。本当に申し訳ありません。また疑問がありましたら、遠慮無く言ってください。〉


「ありがとう。」

考えるために、僕は桜の木の下に腰を下ろす。


もし、全ての原因がノアだったとしたら、計画にこれ以上付き合いたくなかった。僕の中の疑問と、ノアへの違和感の理由も判ったから、これでよかったんだと思う。

後は、僕次第なんだろう。


でも、僕がどうしたいかは、もう決まっている。


彼女達は、僕が失ったものの代わりなんかじゃない。

沢山傷付けたのに、それでも真っ直ぐ僕を慕ってくれているイオリ達に、応えてあげたい。僕が自分と向き合うまで、待ってくれていたのだから、その分幸せになって欲しい。


生きられなかった人達の分も、精一杯生きていこう。

『ご主人様・・・。』

「兄上。」


呼びかけられ、声の方向を向くとイオリとサオリが僕を心配そうに見つめながら立っていた。


「二人とも、とうして此処に?」


『申し訳ないと思いましたが、後をつけてきました。朝の表情を見て、どうしても放っておけなかったので。』

「兄上、ごめんなさい。ノアとの会話も聴いてしまいました。」


そうなるかも知れないとは思っていたけれど、二人とも僕が心配だったんだな。


「二人とも、マホとシホは?」

『お留守番していますよ。どうしてもご主人様が放っておけないって話をして、家にいてもらいました。怒られるなら、私達二人だけでいいと思いましたので。』


一人にしてほしいって言ったからだろう。怒る気はない、僕の様子がおかしかったせいだから。不安にさせてしまったんだな。


「あたし達、元々兄上の側に居たんですね。」

「そう、みたいだね。」


『気持ち悪いですか?貴方の恋人だった人や、友達だった人と同じ顔をしている私達が。』


「そんな事は無いよ。サオリに至っては、顔が違うからノアに言われて初めて知ったくらいだよ。」

寧ろ、同じ顔をしていたから、無意識に心の穴埋めに利用していたんだろう。


僕の方が、本当は君達に相応しくない。



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