0 恋人 ②
閲覧注意です。
次の日、朝起きると待ち合わせ時間まで1時間も無く、私は急いで支度をして出かけた。
夜更かししすぎたかな。一度アニメを見始めると中々止められなくて。
駅までは余り時間がかからないため、何とか時間には間に合う。
「ギリギリ遅刻じゃないけど、自分で時間指定しておいて、それはどうなのよ?」
「まぁまぁマコトさん。サキちゃんは何時もこうですから。」
「流石に、彼氏の誕生日プレゼント選びに行くのに寝坊はしないと思ってたんだけど、ホントブレないわね。」
その納得の仕方はちょっと不服だけど、その通りだから何も言い返せないや。
『揃ったから行こっか。電車きちゃうし!』
気まずさを誤魔化すために私が先に向かうと、仕方ないと言わんばかりの表情で、二人も続く。
私達の街は学校や住宅地、小規模の商店や娯楽施設はあるけれど、大規模な複合型商業施設は無く、高速鉄道を利用して向かう事になる。
都市間は基本鉄道を利用して移動するように整備されているので、距離の割にお金は余りかからない。
国の中枢機能を担う街の周りに衛生都市が点在していて、私の住む街は、特に政府関係者の家が多い。
私の両親もそうだし、ミキの親も同様だ。マコトの両親は元々地方で勤務をしていたが、最近こちらに異動になったらしい。
商業施設までは高速鉄道で大凡1時間かかるので、開店直後ぐらいに到着するよう待ち合わせをした。かなり広いため、1日かけて見て回ったり、遊んだりするつもりだからだ。
私達は到着までの間、お昼に何を食べるかや、どんなお店があったか等、会話を楽しみながら過ごした。
1時間程で到着して、三人で入り口にある施設案内を確認する。
「じゃあ、最初は何から見て回ろうか?サキ、何か目当てはあるの?」
『うーん、悩んだんだけど、身に付ける物がいいかなって思ったんだよね。』
「アクセサリーですか?彼が身に着ける所を想像出来ませんけど。」
確かに、普通の装飾品だと私もそう思うよ。多分彼も余り興味ないだろうし。
『ううん。アクセサリーだけじゃなくて、お財布とか、そういうのも含めて見てみようかなって。それにキャラモチーフのアクセサリーもあるよ。コラボとかの。』
普通のお店じゃ置いてないけど、関連商品を取り扱うお店なら取り扱いがある所もあるから、そこも見て回る予定。
「アクセサリーとか、あたしじゃわかんない世界だからあんまり助言出来ないけど、一緒に見て回るくらいは出来るからさ。」
「私も余り詳しくは無いですが、一緒に行きますよ。」
『ありがとう二人とも。勿論、お礼はするからね。』
三人で案内板を見ながらアニメ関連のお店までの道順を決め、途中にあるお店も見て回りながら施設内を進む。
だが、色々なお店を見て回るけれど、中々これといったものは見つけられなかった。
探し始めて2時間程経過したので、二人にお礼を兼ねてお昼をご馳走しようかと考えて、一階から二階に上がろうした時、とある装飾品店が目に止まる。
店内は安価な指輪や、時計等を取り扱っているお店なんだけれど、私は中央のショーケースが気になった。
「サキちゃん?どうしたんですか?」
「サキ、何見てるの?これは、ペアリング?」
『この値段だと、婚約指輪に使うもの、かな?』
他の商品とは明らかに表示の値段が違うので、多分ちゃんとした物なんだと思う。宝石が散りばめられているわけでもないから、材質が違うのかな。
つい、彼と二人で着けている所を想像してしまって、顔が火照るのを感じた。
「サキちゃん顔、赤いですよ?」
「多分、アイツに渡されるとこでも想像したんじゃない?」
どんな風に渡してくれるのかな?
きっと、彼も奥手だから、凄く恥ずかしそうに頬を染めながら、真っ直ぐな言葉で渡すんだろうな。
「あー、これはホントに妄想してるね。にやけてるし。」
「多分、私達の声も聞こえてませんね。」
子供は二人がいいかな?女の子がいいな。
そんな幸せな想像を暫くしていたら、足元までフワフワしてるような感覚に陥る。
「サキ!こっち!」「サキちゃん!」
不意に、マコトに腕を掴まれ、店の外に引っ張り出される。
『えっ?な・・・。』
何?と言おうとした瞬間、轟音と共に地面が縦に揺れ、立って居られずに転んでしまう。私が起き上がろうとした時、マコトとミキの悲鳴が聞こえて、私の意識は途絶えた。




