0 恋人 ①
「アンタの彼氏の誕生日プレゼントなんて、テキトーに人形でもあげとけば喜ぶんじゃないの?」
「何を渡しても喜びそうですよね。」
『二人共、私真面目に考えてるんだけど。』
私はサキ。学校帰りに友達二人と歩きながら、来月に迫った彼の誕生日プレゼントの相談していたのに、二人共真剣に考えてはくれない。
「だってさぁ、何が悲しくて自分を振った奴の誕生日プレゼントの相談を、選ばれた奴からされなくちゃいけないの?」
この子はマコト。数ヶ月前に転校してきて、私と仲良くなり、そして彼とも仲良くなった。
「マコトさんは彼に告白もしていないのでは。ですので、振られたワケではないと思います。サキちゃんと彼は昔から付き合ってるような関係でしたし。」
この子はミキ。私と彼のもう1人の幼馴染み。
『えっ?そう見えてたの?』
そうだったんだ。普通だと思ってたんだけど。先月、やっと想いを告げる事が出来て、晴れて恋人になったんだけど、特に何かが変わった感じはしてなかった。元々そんな風に見られていたのね。
「見てるこっちが恥ずかしくなるぐらい、明らかに相思相愛なのに、付き合ってないって知ったら、チャンスあるかなって思ったんだけどね。アイツ、いいとこのお坊ちゃんだし、身長はあたしより高いし、何より・・・優しかった。」
マコトが転校してきた時期が、1年生の二学期に入ってすぐで、クラスの雰囲気に戸惑っていた時、私が声をかけて一緒にご飯を食べたりしている内に、彼とも仲良くなった。
うちの学校基本的に、政府の関係者とかの良いところの子息が通うような学校だから、クラスに馴染めないのも仕方ないよね。
「彼が優しいのは、昔からなんですよ。誰かが困っていたら、一緒になって真剣に悩んでくれたりしましたから。マコトさんがクラスに馴染めたのも、彼がマコトさんを思って行動したからですよね?」
「うん、そうだね。文化祭であたしが実行委員になるように手を回して、皆と仲良くなる機会をくれた。ちょっとシャクだったから、男女逆転のメイド&執事喫茶を提案してやったんだけどね。」
彼には悪いけど、あの姿は面白かったな。
『ねぇ、マコト、ミキ。ちょっとお店に入らない?私喉渇いちゃった。』
二人も同意してくれて喫茶店で話の続きをする事にした。でも、二人共、彼の話で盛り上がってて、中々私の相談に乗ってくれない。
「いい体格をしていますからね彼は。パッと見、運動をなさっているように見えますし。」
「だから、余計に面白かったんだけどね。サキ?どうしたのずっと黙ってるけど。」
二人共、私が相談してた事忘れてるでしょ。彼の話ばっかりしてさ。
「あらあら、サキちゃん、頬を膨らませてやきもちですか?大丈夫ですよ。取ったりなんてしませんから。」
「サキにベタ惚れだから大丈夫だよ。」
『そうじゃなくて!誕生日プレゼントの相談してたでしょ!』
二人は漸く思い出したらしい。二人とも私に謝ると漸く相談に乗ってくれるようだった。
「でも、アイツの好きなアニメの人形とかじゃダメなの?」
『それは去年までに何回かあげてるよ。やっと、彼と恋人になれたのに、同じはヤなの。』
「なら、サキちゃんにリボンを付けて彼の部屋で待つとか?」
ミキも、大概彼に毒されてると思うわ。あ、私の影響もあるのか。
「プレゼントは私ってやつ?そんなの本当にやる奴いるのかね?」
『アンタ達、真面目に考えてないでしょ。』
「えぇ、それはそうですよ。だってサキちゃんが何を贈りたいかが一番大事ですから。」
即答されちゃった。確かにミキの言う通りなんだけど、どうしたらいいんだろう。
「なら、明日休みだからモールに行ってみない?何かいい物見つかるかもよ?あたしも付き合うからさ。」
「それがいいかもしれませんね。私も行きますよ。」
実際に下見しながらの方が確かに決めやすいかも。二人も付き合ってくれるって言ってるし、そうしようかな。
『なら、お願いしていいかな。ちょっと遠いから、明日朝9時ぐらいに駅に集合でいい?』
「あたしは大丈夫だよ。ミキは?」
「私も大丈夫ですよ。」
明日の約束をして、暫く喫茶店で話をしながら過ごし、二人と分かれて家に帰る。
明日は何か、いい物が見つかるといいなぁ。




