表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
はじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/100

9 あおはる ⑧

『はい。私達も貴方と一緒に居たいです。』

 イオリは笑顔で答えた。


「でも、イオリ。それは選択肢になってないよ。」

『私はズルいんです。貴方を手に入れるためなら、何だってしますよ。本当は私だけ見て欲しいし、私だけのご主人様だったのに。どうしてこんな事になったんでしょう?』

 表情は笑っているのに、目が怖い。


「直ぐには受け入れられない事は理解してほしいな。」


『大丈夫です。私達も待ちますから。ゆっくりで良いですから、ちゃんと皆受け入れて下さいね。』

「努力するよ。」

『全員かわいいので、案外すぐ受け入れるかも知れませんね。』


 全員って、イオリ自身も含んでないかな。

 確かにイオリやサオリは魅力的だけど、見た目では無いんだ。

 君達の内面を知れば知るほど、好きになっていく自分がいる。


「でも、何故イオリは、その、何というか、自分で言うのは恥ずかしいのだけど、僕を独り占めしようとしなくなったの?」

 今思えばいつからか、サオリを僕に意識させるように動いてたように感じた。


『今でも、私の中では私だけのご主人様ですよ。うーん・・・最初のきっかけは、サオリちゃんが海で寝ている貴方に、キスをしているのを見た時です。あの時、私はサオリちゃんに怒りました。私だけのご主人様だって怒っちゃったんですよ。』


 温泉での話から、そんな事があったんじゃないかとは思ってはいた。


『あの子、酷く傷付いた表情をしてたんです。自分が存在してる意味を奪われたと感じたのかもしれません。その事は少し考えたら判るのに、自分が選ばれたんだってあの子に言ってしまったんです。』

 イオリはまだ、言った事を後悔しているのだろう。表情が暗い。


『ノアの提案で、サオリが成長するまでどちらかで独占しない。貴方が悲しむから、それまではちゃんと仲良くする事等を約束しました。それから私は沢山考えているうちに、どうにかしてサオリの事も見てあげて欲しいって思うようになったんです。』

「サオリが独りになるから?」


『それだけではないです。あの子が段々自分の感情を出せるようになったのが、嬉しかったのもあります。いつからか判りませんけど、サオリ達も大事にしている貴方を、愛おしく思うようになりました。』

 そこまで言うとイオリは穏やかに微笑みながら、僕を見つめる。


『だから、貴方がサオリの事も好きになってくれた事が素直に嬉しいんですよ。でも、泣かせた事は許せません。』

「本当にごめん。」


『謝る相手を間違えてますよ。ちゃんと貴方の口から、サオリちゃんに伝えてあげて下さい。』

「わかった。必ずサオリに伝えるよ。」


 返事を聞いたイオリはクスクスと笑いながら、僕の頭を抱きしめた。


『でも、最初に赤ちゃんを産むのは私ですからね?それだけは譲れませんよ。貴方の初めてだけは譲れません。』

「え、いや、うん。」

 彼女の言葉に僕は慌ててしまう。イオリさん、ごめんね。キスは初めてじゃなかったんだ。


『え?どう言う事ですか?』

 彼女の僕を抱きしめる腕に力が籠る。かなり痛い。

 怒っていらっしゃる。

 まさか、僕はまた口を滑らせたのか?


『ご主人様?どう言う事ですか?』

 段々と声色に怒気がこもり、頭を抱きしめると言うより締め付けられる。

 頭を押さえられているため、僕は抜け出す事すら出来ない。


「痛い、痛いよ!イオリ!」

『私達以外とキスしたんですか?まさか、ノアですか?』

 人形とキスをする趣味はないよ。


「違うよ!痛いから、離して!」

『答えるまで離しませんよ。』

「話す、話すから!本当に痛いんだよ!」

 イオリは漸く解放してくれたが、般若のお面のような表情で僕を睨んでいた。


 それから、僕は死んでしまった恋人の事を話した。

 初めて想いを交わした相手だと言う事と、イオリと同じ顔だった事も話した。もし、黙っていてその事が知られたら、代わりだと思われても嫌だったから。


「僕がこの方舟に来た時は、彼女が死んだ後で抜け殻みたいになっていた時だったんだ。似ているのは偶然ってノアは言ってたけれどね。」


『そうだったんですね。でも、私は私ですから、貴方が私をその方の代わりでないと言うのなら、信じますよ。』

 本当に偶然なのだろうか。


「怒らないの?」

『私が生まれる前の事ですし。それに、今の貴方が私達を大事にしてくれている事は伝わりますから、怒る事ではないです。ご主人様が、子作りはしてないと言ったからもありますが。』


 イオリにはそこが重要だったようだ。培養槽でノアを問い詰めた時の会話は、聞こえていなかったらしい。


「重ねてなんて居ないよ。それは間違いないから。」

『はい。信じてますよ。それじゃあ、魚釣りの続きしましょうか。少しでも釣らないと、サオリちゃん達にも悪いですから。』

「うん。そうだね。」


 僕とイオリは、魚釣りを再開した。

 少し日差しが強くなったからか、昨日より時間があったからか、その後は二人で10匹程釣る事が出来た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ