7 かぞく ⑥
『ご主人様?一体どういう事でしょうか?』
「兄上。一体コレはどういう事ですか?」
イオリとサオリは冷気でも感じそうなくらい冷たい目で僕を睨み、怒りが若干篭った声色で聞かれる。
二人の目線が怖い。
「僕も知らないよ!そんな話聞いていないし!」
マホとシホを見るが、よくわからないと言う顔をしている。まさか、これがノアの教育なのか?
僕は慌ててしまうが、マホとシホは続けて話始めた。
「おねえさまたちといっしょにおよめさんなの!ねー?しーちゃん」
「はい。ねぇさま方もおよめさんだといわれました。」
『そうなの?』
「あたし達も?」
途端に二人の顔が赤くなる。いやいや、子供の言う事に惑わされすぎだよ。
「少し待ってね。ねぇノア?何故シホとマホが僕のお嫁さんになるとか言ってるの?答えて欲しいんだけど!」
返事がない。どういう事だ?聞き方が悪かったのだろうか。
「ノア!お願いだから、シホとマホに何を教育したのかを教えてよ!」
〈教育の内容は開示出来ません。〉
それだけなのか?こうなったら、シホとマホに聞くしかない。
「ねぇ、シホ。ここで何を教わっていたの?」
「ごめんなさい。言っちゃダメだとおそわりました。」
口止め済みなのか。だがマホなら、言ってくれそうな気がする。
「ねぇマホ?何を教えてもらってたの?」
「えっと、あかちゃんのつくりかたとかいっぱい!」
「ブフォ!」
「まーちゃん、言ったらだめだよ?」
「ごめんね、しーちゃん。」
思わず吹き出したが、そんな事教えられてるのか?イオリとサオリを見るも、様子がおかしい。
恥じらうのではなく、気まずそうに僕を見ている。
『えぇと、ご主人様?申し訳ないんですが。』
「兄上、その辺りの知識って、あたし達も刷り込まれてるんですよ。」
「そうなの?」
キミら、わかってて僕に抱きついたりしてたの?
『男性の生理現象やらは後から学んだ部分もありますが、知識としては培養槽に居る時には教えられてますね。理解したのはここ1年ぐらいなんですけれど。』
「あたしもわかってきたのは最近なんですけど、姉上と同じですね。」
なんだか、やけに積極的な事をすると思ったら、そういう事だったのか。
「後、兄上には言いづらいんですけど。ノアって兄上がおもむっ!」
『サオリ!それはダメ!』
イオリが凄く怖い顔をしている?
凄く真剣な顔でサオリの口を押さえて、サオリもはっとした表情をしていた。
知らされていない事があるのか?ノアがどうしたって?ちょっとまて、イオリ達の口から、ノアって名称を初めて聞いたかもしれない、不自然なくらい聞いた事がない。
僕が呼びかけているのも見ていたし、ノアの声を聞いたりもしているはずなのに、何故?端末を付けていないからだと思っていたけれど、普通に考えたらおかしい。
そういえば、海の家でノアの人形が動いた時、イオリだけ驚き方が違ってなかったか?
他にも、おかしな点はあった。違和感というか。呼びかけて居ないのに、話しかけられた事もあった。
それに、さっきもイオリがおかしな事言っていた。後から学んだ?誰から?成人指定のものは一切見せてないはずだ。
僕は何か見落としているのだろうか。そこまで考えると、言いようのない不安が襲いかかってくる。
「どういう事なの。ノア?」
イオリがしまったと言った表情をしている。サオリも顔を背けていた。
〈―――仕方ありませんね。〉
「はっ?」
理解が出来なかった。ノアに仕方ないとか言われた事なんて無かったから。
伏線作りって難しいですね・・・。




