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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
ふたり

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幕間 ユウシャ ③

 そこから2時間位移動しただろうか。少しお尻が痛くなってきたからいい加減出して欲しいんだが。空調は効いているようで多少の熱気は感じるが、そちらは我慢出来ない程ではない。


 ナツキとミサキも口には出してないが、モジモジしたり、座り直したりしているから俺と一緒なんだろう。


「しっかし、いつまで移動すんのかね?」

 つい独り言を呟いてしまう。景色も一向に変わらず、ただただ揺られているのはかなり疲れる。

『ホント、いい加減にしてほしいわー。』

「まぁまぁナツキちゃん。」


 そんな俺達のやり取りを知ってか知らずか、再び車が減速を始めた。着いたのか?


 ドアが開閉する音が響き、後部の扉が開く。すると先程の軍服を着た男性と、もう一人別の同じく軍服を着た男性が立っている。


「すまないキミ達、まだ着いては居ないのだが、我々の制空権内に入ったからもう安全だ。少し休憩しよう。」

 制空権って事は航空機もあるって事か。


「降りても構いませんか?」


「無論だ。長時間の移動で疲れただろう。あぁ済まない、先程言い忘れていた。この箱にキミ達用の飲み物や食べ物を用意していたんだった。」


 クーラーボックスのような箱を開くと、たしかに飲み物や食べ物があった。ペットボトルのお茶?おにぎり、だよなこれ?

「手違いで私達の分もここにあるから、一緒に食べないか?」

「はい。ご一緒します。」

『ちょっとユウ。アンタ何勝手言ってんの?毒入ってたらどうすんのよ!』


「それはない。そんなん入れるくらいなら、最初から連れてきたりはしないよ。」

「ははは!少年の言う通りだ!キミは中々肝が座っているな!」


 ナツキは納得はしていなさそうな表情をしているが、とりあえず一度出よう。尻が痛い。

 俺達は扉から出て辺りを見回すが、窓から見えた景色と一緒で、一面は砂の世界だった。暑いな、肌が焼けそうだ。


 乗ってきた車は、ピックアップトラックを改造したような形状で、後部に空調があるため人員輸送のためのものだろう。


「済まないな。もう2時間は目的地まではかかるのだ。もう暫くはここに居てもらう事になるが、構わないか?」

「はい、逃げた方が死ぬでしょうし。」

 砂漠のど真ん中じゃなぁ。


「それで、えぇとあなたは・・・。」

「これは失礼をした。私はデーヴィッド。デイブとでも呼んでくれ。階級は少尉だ。」

 少尉?尉官ってそこそこエリートじゃね?見た目も若いから、エリートな感じがする。


「それで少尉さん。俺らはどこに連れて行かれるんですか?」

「デイブで構わない。キミ達は軍人ではないからな。我々は日本帝国軍の前哨基地に向かっている。」

 帝国?大日本帝国?マジで大戦中なのか?


「大日本帝国?」

「いや、日本帝国だ。帝国と言っても帝政ではない。民主主義国家だ。昔の転移者が名付けたらしいが、何故そう名付けたかまでは知らない。」

 なんだそりゃ?帝政じゃないなら、普通に日本国とかにしろよ紛らわしい。


「案外ノリで付けたのかも知れんな。転移者にはそう言う悪ノリじみた事をするものも多いようだし。」

 うわー・・・好き放題しすぎだろ。ナツキとミサキもドン引きしてるよ。


「と、とりあえず、目的地はわかりました。ですが、デイブさんが俺らを連れて行く理由を知りたい。」


「うーむ。それについては、私から説明するべきでは無いのだ。キミ達と同じ転移者であるドクが会いたがっているとしか言えない。」

「隊長!名前を出すのはマズいのでは?彼の事は軍事機密にも抵触しますので。」


「どの道私もその席に同席する事になっているから構わないよ。早いか遅いかでしかない。」

「しかし・・・。」

「大丈夫だ。私が責任をもつ。」

 部下と思われる人は渋々といった感じで従い、全員に食料を配ると運転席に戻っていった。連絡要員も兼ねているらしい。


 とりあえず自分達の自己紹介をしていなかった事に気付き、自己紹介を済ませて、休憩をした。


 わかった事は他にもあって、そこそこの数の小隊が陽動で投入されていて割と大掛かりな作戦らしいって事と、転移者はそれ程の価値があるらしいって事。実感はないけど、細かい所に今までより気付けるのは、知識強化の影響なのかな。違う気もするが。


「では、そろそろ出発しよう。ユウ、ナツキ、ミサキ。済まないが、もう暫く辛抱してくれ。」

「わかりました、デイブさん」

『仕方ないわね。』「はい。」

 2人もこの人は信頼できると思ったのだろう。最初の警戒心は薄れたようだった。


 そうして、俺達は基地に案内される事になった。

 基地に辿り着き、作戦室と思われる部屋に通される。

 何故ならそこに、大きな地図等があったからだ。その地図にある地形は地球とは大分かけ離れている事に気付き、異世界なのだと実感する。


 俺達が部屋に案内されて数分後、俺達をここに招待したらしい人物が現れる。


「こんにちは。私の名前はブスジマシュウヘイと言います。皆にはドクって呼んで貰ってます。好きな映画の人物のあだ名からと、名前の毒島から取りました。」

 50歳程と思われる日本人の男性だった。

 眼鏡をかけている普通のオッサンって感じで、ちょっと拍子抜けだ。

 とりあえず自分達の自己紹介をして、質問をする。


「で、ドクさんは何で俺達をここに呼んだんですか?」

「ドクでいいよ。ユウ君だったね。ユウ君達はこの世界に来る時なんて言われて来たんだい?」

『えっとー、何か悪いヤツが日本にいるなら止めてくれ的な?』


「あぁ、なるほど。その悪いヤツって多分私の事だよ。」

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