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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
ふたり

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35/100

幕間 ユウシャ ②

 エンジンの音が聞こえる。

 ガタガタという音と共に、俺の身体が揺れている事にも気付く。


『起きた?』

 向かい側に座ったナツキに声をかけられ、俺は目を開ける。

「起きたみたいですね。よかった。」

 ミサキの声が横から聞こえ、そちらを向く。

「ここは?」


シートに座らされていて、立ったりは出来ないが数人で中に居ても狭いとは感じない程度には広い空間にいた。

『わかんない。アタシ達も少し前に起きたばかりだしー。』

「私達、気付いたら車に乗せられてて・・・。」


 車?

『外の景色も、少しだけ見えるんだけどさ?砂漠みたいなとこを走ってる以外わかんないワケよ。』

 そう言われて、20センチほどの小さなはめ殺しの窓がある事に気付き、俺も外の景色を確認する。


「確かに砂漠だな、これは。」

 見える範囲全て、一面の砂で覆われ、砂の山も見えその中を砂煙を上げ走っている事以外わからない。

『でしょ?なんなの一体。』

「これはどういう事でしょう?」

「俺に言われてもな・・・。」


 いや、本当に訳がわからん。

 俺たちは国境付近に飛ばされて、いずれかの勢力に捕まったって事か?

 比較的安全なんじゃなかったのか?

 少し考え込むが、状況が変わるわけじゃないのでとりあえず3人で話す事にした。


「とりあえずなんだが、今は何も出来ない。」

『何当たり前の事言ってんの?』

「まぁ、ナツキ聴いてくれ。走ってるって事は目的地があるって事だ。」


『だから、何当たり前の事言ってんの!』

「だから、聴けって!俺たちが無事って事はだ。少なくとも、俺たちに危害を加える目的はないって事だ。」

 今はな。


「あぁ、なるほど。だから今は待つしかないって事ですか?」

「うん、下手に騒いで逃げ出した方が危ないかもしれない。」

 恐らく鍵をかけられていて、ここから出られないだろうけど。


『今は待つしかないのね。』

「あぁ。俺はそう思う。」

『わかったわ。しっかし、アンタに冷静に言われるとなんか腹立つわね。』

「悪かったな。」


「まぁまぁナツキちゃん。ユウ君はこういう時頼りにはなりますから。」

 ん?って事は普段は役に立たないって事か?


 そんな会話を続けていると、車が減速をし始める。目的地に到着したのだろうか?

 ドアの開閉する音が聞こえ、俺たちがいる空間の扉が開く音が聞こえた。


「声が聞こえたので、起きたのかと思って様子を見に来たのだが。どうやら全員起きているようだな。」

 西洋人風の顔立ちの男が、戦闘服と思しき衣装を着て立っている。武器らしきものは見えるが、構えてはいない。だが、日本語で喋ってる?


「あなたは?」

「私か?自己紹介は後に回させてくれ。今は余り時間がないので、手短に。キミ達を眠らせ、確保させて貰った。キミたちに用があるお方がいて、そちらに向かっている最中なんだ。まだ暫く時間がかかるが、それまでは大人しくしていてほしい。」


「大人しくはしているつもりです。ですが、何故こんな方法を?」


「手荒な真似をしてすまないとは思うが、時間が無く、抵抗されて傷つけないためでもあるんだ。そこは理解してほしい。」

「わかりました。」

 敵ではないようだ。まだ安心は出来ないが。


「後もう一ついいですか?」

「なんだい?」

「何故日本語を?」

「それは我が国の公用語だからだが。もういいかい?先程から言ってるように余り時間が無いんだ。追われているから。」


「隊長、はやく!」

「わかった。今いく。すまないがキミたち、もう暫くそのまま大人しくしていてくれ。」

「はい。」


 再び扉が閉められるが、カギはかけられた様子はなかった。すぐ開いていたから、元々かけてもなかったのだろう。理由はわからないが。

 扉が閉められ、座席側の開閉の音が聞こえるや否や車は再び走りだした。


『アンタ凄いわね・・・。』「私、まだドキドキしてます。」

「えっ?何が?」

『キモが座りすぎでしょ。アタシら、ドアが開いた瞬間から固まってたわよ。』

「あぁなるほど。開いた時は怖かったけど、武器構えていなかったから、話せると思ったんだ。」


『それにしたってさー・・・。』

「ねっ?ユウ君頼りになるでしょ?」

『確かにね。』

 2人は余程怖かったのだろう。まだ、少し表情が強張っている。


「それより2人共、少しわかった事があるんだ。」

「何ですか?」『何よ?』


「多分、俺達は日本側に捕まったって事。」

『えっ?』

「さっきの人、国の公用語が日本語だって言ってた。普通に考えれば、日本語が公用語の国って日本でしょ?この世界の言語が日本語しかないならともかく、日本からしか転移してきていない、日本人しかいないような状況じゃなきゃ、そんな事はあり得ないと思うんだけど。日本語って言って通じていたしね。」


「そんな・・・。」

 ナツキは顔を引きつらせて黙り、ミサキも口元に手を当て目を見開いて驚きと恐怖を隠しきれないでいる。


「まだ、確定って訳じゃないから、あくまでって話ではあるけどね。」

 日本側に確保されたとして、女神様の話が本当なら俺達の身は危ないはず。だが、先程の隊長と呼ばれていた人の様子と矛盾している気がするのだ。


「とにかく、今は成り行きに身を任せるしかない。」

「はい。」『わかったわ。』

二人は硬い表情のまま頷いた。

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