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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
ふたり

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幕間 ユウシャ ①

ちゃんと繋がっている話なので、宜しくお願いします。

【お願いします。この世界を貴方達の手で救ってください。】


「わかりました。女神様!俺たちに任せてください!」


 よっしゃ、キタコレ!


 内心そう喜びながら、俺は冷静な風を装うが表情までは取り繕えていなかった。

 俺の名前はイサム。あだ名だとユウとか呼ばれたりもするが、今はどうだっていい。

『うわー・・・ベタな展開。しかも即答で勝手に決めてるしー。』


 若干呆れ顔で俺と女神様を見るコイツは、同級生のナツキ。

「本当に・・・。でも、こういう展開ってワクワクしますよねナツキちゃん。」

 ニコニコと嬉しそうな顔で、ナツキに話かけるこの子はミサキ。俺の幼馴染みだ。


『ミサキ、アンタねー・・・。まぁ、確かに?世界を救ってくれなんて言われて、悪い気はしないけどさ。』

「そうですよね!いつもユウくんのお話を聞いていましたから、こういうの私も少し憧れてました!」


『アンタはあの厨二病に毒され過ぎてんのよ全く。』

 そういうお前も顔にやけてんぞ。


 というか、お前らうるさい!見ろよ、女神様の顔若干引きつってるぞ。

【コホン、では私共の世界への転移にあたり、貴方達に世界を救う力を授けましょう。】

 おっ、きたきた。コレコレ、これを待ってたんだ!


「どういった力なのでしょうか?」

 魔法かな?むしろ魔法がいいな!うん、魔法だな!

 選択式で色んな能力選べるのも捨てがたいな!

【肉体強化と、知識強化です。】

 ま、魔法はないのか・・・。


『見なさいよ、ユウのやつ、あからさまにがっかりしてるわ。きっと魔法でも使えると思ったのね。』

「しーっ!そんな事言っちゃダメですよ、ナツキちゃん。」


【申し訳ありませんが、そういった超常現象を引き起こす力を与える事は出来ないのです。】

 そんなぁ〜!何のための異世界転移なんだよー!


【説明を続けてもよろしいですか?】

 あからさまにがっかりする俺と、それを茶化すナツキのせいで、一向に話が進まない事に痺れを切らしたのか、女神様は少しイラついているように感じた。


「は、はい!」

 それを感じたのか、ナツキやミサキも押し黙る。

【私共の世界は、貴方がたの世界より少し発展が遅れてはいますが、ほぼ同程度の文明があります。】

 なんてこった、西洋ファンタジーじゃないのか。内心そうがっかりするもまた話が止まりそうなので、なんとか表情には出さないように堪える。


【ですが、以前貴方がたのようにお招きし知識を与えた転移者があろう事か、その知識を使い私利私欲を満たすために破壊や略奪を行うようになってしまいました。】

「そいつを止めるのが目的と?」


【はい、ですがそう簡単に行くとは思いません。何故なら、その者は科学技術の知識を強化しており、大国の中枢にて力を奮っております。】

 なるほど、相手は悪の科学者と。


【ですので、貴方がたも他の国を頼り、力をつけて対抗する必要があるかと思います。そのために知識強化と、いざという時のための身体強化を授けます。】

「そいつは身体強化はしているんですか?」

【いえ、知識強化のみです。ですので、対峙さえすれば、取り押さえる事は容易でしょう。】


 なんか想像してたのと違うけど、これはこれで楽しそうだ。

【殺す必要はありません。その者の企みを阻止さえして頂ければ、貴方がたを元の世界へお返し致します。】

 おー、帰り道も用意はされてるって事か。こういうのって、帰れないとかが鉄板だと思ってたけど、思っていたより優しいな。


【ご理解頂けましたでしょうか?】

「俺らに危険はないんですか?」

【勿論かなりの危険は伴いますが、転移者の知識は貴重なため、大体どの国でも転移者と明かせば手厚い保護を受けられると思います。かの者がいる国は別ですが。】


 なるほど、戦略シミュレーションの要素もありそうだ。

『転移者と明かせばって事は、そいつと私達以外にも居たって事?』

 ナツキの質問に俺も気付く。転移者が認知されて居なければ、そんな事にはなり得ない。


【過去に、発展を促すために転移して頂いた者達がおりましたので、認知はされております。】

 なら話は早くて助かるね。

【今一度のお願いになりますが、どうか私共の世界を救っては頂けませんでしょうか。】

 そう言うと女神様は頭を下げる。


 さて、どうするか、と2人を見る。

『いんじゃない?特に危ない橋を渡るような事は無さそうだしー。』

「私は、ナツキちゃんとユウくんと一緒なら大丈夫だよ!」

 俺の答えは最初から決まってる!


「はい、俺らの力でその世界を救ってみせます!」


【ありがとうございます。では早速、転移を開始いたします。】

 俺達の返事を聞き、満足そうな表情で女神様は事を進めようとする。

「ま、待ってください!俺らはまず何処へ向かえばいいんですか?」

 あぶねー。いきなり放り出されるなんて、昔のRPGみたいな事されてたまるかよ。


【これは失礼を致しました。送る事のできる場所は一箇所しかありませんが、その場所は日本、アメリカ、イギリスと呼ばれる三国の国境になります。】


「に、日本?あめりか?いぎりす?」

 唐突に聞き慣れた単語が飛び出し、俺たちは面食らう。

【貴方がたの国と名称は同じですが、全くの別物です。転移した者達が付けた名前ですので。】


 えーー・・・聞き慣れた名前のせいで、一気に気が抜けちゃったよ。


【ですが、現在その三国は戦争状態にありますのでご注意下さい。日本とアメリカイギリス連合軍との戦争の最中です。】

 第二次世界大戦…か?僕達の間に緊張が走った。


【日本は豊富な資源と広大な大陸のほとんどを支配しており、戦争とは言っても連合がかなりの劣勢となっております。かの者がいる影響でもあるのですが・・・。】


 なるほど、俺らが連合に行き立て直すのが当面の目標になるのかな?

【ですので、まずは連合に行き力を蓄えてください。】

「国境のど真ん中だと、かなり危険ではないですか?」


【それは大丈夫です。転送場所は連合寄りの場所となっておりますし、近くに連合の全線基地がありますので、そちらに行けば保護されるでしょう。】

 ちょっと不安になってきたが、乗り掛かった船だ。

 覚悟を決めて行くしかない。


【それでは転送致します。御武運を。】

「はい。必ず目的を達成してみせます。」

 俺はナツキとミサキの方を見てうなずく。

 2人も俺を見て同じ事をすると、転送が始まったのか視界が真っ白にそまり、意識が徐々に遠のいていった。


 ――――――――――――――――――――――


「ちっ、まだ子供じゃねぇか。」

 そんな声が聞こえ、俺はゆっくり目を開ける。

「まずい、1人が目を覚ましやがった。」


「慌てるな。ガスを使え。」

 俺が状況の確認をするために起き上がろうと腕に力を込める。その時、シューっと音が聞こえ何かを吹きかけられた。

 そうするとすぐに、俺の身体の力は抜け再び地面に倒れる。


「念のため、他の子供にもガスを吸わせておけ。」

「はっ!」

 なんだ?何が起こってる?視界がボヤけて何が起こっているのか理解が出来ない。


 ナツキは?ミサキは?

 思考が纏まらない。一緒に居るであろう2人の事を考えていたら俺は再び意識を失いかける。


「悪いがもう暫く寝ていてくれ。これ以上この世界を好き勝手されたくないんだ。」

 意識を失う瞬間、そんな言葉だけが聞こえた。

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