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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
ふたり

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6 おんせん ⑤

 その後、イオリに睨まれつつサオリに頭を撫でられたりしながら回復するまで過ごした。


「大分気分が良くなったよ。ありがとうね二人共。」

『本当に大丈夫ですか?ご主人様、長風呂もいいですが限度ってものがありますよ!』

「ごめんね、心配かけて。サオリ、重かったよね?今退くから。」

 そう言って身体を起こそうとすると、サオリに頭を押さえられ再び膝枕の体勢になる。


「もうちょっとこのままで・・・。兄上もう少し休みましょう。」

「え?いや、でも。」

「もう少しこのままがいいです。」

『・・・ご主人様、サオリちゃんもそう言ってますし、もう少しそのままでいてください。』


「二人がそう言うなら。もう少しだけ。」

 イオリは複雑そうな表情でサオリを見つめ、サオリは大事なものを慈しむかのような表情をしながら再び僕の頭を撫でる。

 優しく頭撫でられれのって少しくすぐったいけど、なんか落ち着く。安心するな。

 抱きしめて暖かさを感じるのとは、また少し違った感覚。

 心地よさに目を閉じて、もう少しこうしている事にする。


 僕はいつの間にか、またうとうととしていた。身体にタオルか何かがかかっている感触があり、とうやらイオリが掛けてくれたのだろう。


 二人の会話が朧げに聞こえてくる。

『ご主人様寝ちゃいましたか?』

「はい、そうみたいです。」

『少し、寝かせておいてあげましょうか。』

「はい。」


『サオリちゃんはその体勢で大丈夫ですか?』

「あたしは大丈夫です。ちょっと足痺れますが。」

『そうですか。なら、ご主人様が起きるまでは、今はサオリちゃんに譲ります。本当はイヤですけども。』

「姉上、ごめんなさい。」

『謝らないで。サオリちゃんの気持ちもわかるから。』

「姉上・・・。」


『私が先にご主人様と出会っていたから、サオリちゃんが後に生まれたから、だからって私だけが独占してしまったら、サオリちゃんの居場所が無くなっちゃうもの。』

「姉上、あたしは・・・」

『サオリちゃんの気持ち、痛いぐらいわかるの。私も同じだから。』

「それは・・・。」

『うん。ご主人様凄く優しいから、私達を大切にしてくれているから、ずっとずっと一緒にいて、自分だけ見てほしいって思うよね。』

「はい・・・。」


『だから、いつかもう少しサオリちゃんが成長するまでは、私も我慢します。』

「姉上・・・。」

『きっと、この人は優しいから、凄く凄く悩ませてしまうだろうけれど。どちらが選ばれても、二人共後悔はしない。そう約束しましたよね?』

「はい。姉上と私、どっちが選ばれても私達は姉妹ですから仲良くする事でしたね。」


『そうです。でないと私達のご主人様も傷つけてしまう事になりますから。血は繋がってませんが、私達は姉妹です。それは絶対なんです。」

「はい、姉上。あたし姉上の妹でよかった。」

『私がご主人様にして貰った分、サオリちゃんにも分けてあげないと公平じゃないですから。』

「姉上?」

『だから、今ご主人様寝てますから、キスしちゃっていいですよ?』

 「あ、姉上?!」

『しーっ!ご主人様が起きちゃいます!』


「姉上、やっぱりあの時見て居たんですね。」

『全部見てましたよ。あの時は思わず怒鳴ったりしちゃいましたけど、サオリちゃんに見られていたのに、気付かないでキスしてしまった私も悪かったんですから。』

「ごめんなさい。」

『謝る必要はないですよ。まさか、サオリちゃんがまだ小さいのにご主人様にキスするなんて驚いたのもありますし。』

「あたしは刷り込みで兄上の行動や言動を見せられていました。一緒に過ごすようになって、もっと兄上の事を知って、いつかあたしは離れなくちゃいけないってわかってしまって。それが凄くイヤだった。」


『サオリちゃん?』

「あの日、兄上にキスをしている姉上を見て、あたしの兄上なのに!って思った時に、わかっちゃったんです。」

「あたしは、兄上から絶対に離れたくない。姉上にも渡さない!あたしだけの兄上なのっ!」

『サオリ・・・。』

「姉上を見る兄上の目が優しいのがイヤ!もっとあたしを見て!姉上じゃなくて、あたしを見てよ!」


 悲痛な叫びが響いて、イオリは黙ってしまい、サオリは震えながら涙を零す。

 僕は聞いてしまった事を後悔していた。

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