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箱庭少女育成計画  作者: 眠る人
ふたり

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6 おんせん ③

「わかりました。絶対もう言いません。反省しました。」

 何故か正座させられ、仁王立ちの2人からお説教される僕。迂闊な事は言うべきではない。

「よろしい。」『よろしい。』


 漸く解放されるようだ。

 内心ホッと胸を撫で下ろすも、ため息でもつこうものなら、恐らく恐怖の第二回戦が開始されるだろう。なので、まだ気を抜いてはいけない。


『折角温泉に来たんですから、この辺で終わりにして入りましょうか。』

「そうですね姉上。」


「そうしようか。じゃあ僕は一旦近くで休んでくるから、先に2人でどうぞ。」

 そう、この場所には温泉は一つしかない。

 男女で分けて入れるわけではないのだ。要するに混浴である。

 正座させられ、若干足が痺れている僕はゆっくりと立ち上がり、休憩場所を出ようとする。


『待ってください。ご主人様が先に入ってください。何時もお風呂も先に譲って頂く事が多いですし、たまにはお先にどうぞ。」

「兄上、姉上の言う通りですよ。」

 2人にそう言われて、僕は立ち止まって少し考える。


「でも、僕が一番長風呂だから、後に入ってるんだけど。」

『はい、それもわかってますよ。私達を長く待たせないように考えてる事も。』

「うーん。でもなぁ・・・。」

「たまにはいいじゃないですか兄上。」

「そっか。2人がそう言うのなら先に貰おうかな。」


 確かに僕が後だと、2人が終わってから長く待たせてしまうだろうし、たまにはいいかな?そう思い返事をしたのだが、何故か2人はニヤりと笑った。うん?


『じゃあ私達は少し離れていますね。』

「兄上ごゆっくりー!」

「ありがとう、2人とも。」


 2人の気遣いにお礼を言うと、イオリとサオリはクスクス笑いながら休憩場所から出て行った。

 なんだ?とは思ったのだが、僕も温泉に早く入りたかったので有り難く先に頂く事にする。


 温泉自体は数人で入ってもゆったりと浸かれる程には広く、崖の上に少し迫り出す形で設置されていて、手すりや多少空間があるため飛び出したりしない限りは落ちる事はない。


 崖と反対の山側に間仕切りがあり、脱衣の場所が用意されていて、先程の休憩場所はさらに間仕切りの向こうだ。

 床は岩を切って平らにしている場所と、木材のように見える場所がある。足裏の感触から木材に見せかけた金属のように感じる。


 僕は脱衣所で衣服を脱ぐと、タオルを持ち、温泉に向かう。

 石鹸で身体を洗い、温泉のお湯で流してから、温泉に浸かる。

「ちょっと熱めだけど、僕には丁度いいな。」

 少しぬるぬるするが、泉質のせいだろう。


 眼前に広がる山々の緑や、雲、心地よい風を感じながらゆったりとした時間を過ごす。

 素晴らしい贅沢だと思いながら、目を閉じて、この時間を楽しんだ。


「姉上!はやくはやく!」

『サオリちゃん!しーっ!』

 突然、僕の後ろから声が響く。


「まさか・・・。」

 嫌な予感に僕は立ち上がり後ろを振り向くと、胸元からをエプロンのように長めのタオルで隠しながら、脱衣所から出てきた2人と目が合う。

「わっ!」

 僕は前を隠していなかったので、慌てて2人に背を向け湯船に浸かり直す。


「兄上!来ちゃった!」

『来ちゃいました♪』

 2人は悪戯成功と言わんばかりに嬉しそうに僕に告げると、温泉のお湯を身体にかけ、身体を洗い始めた。


「来ちゃったじゃないよ全く・・・。」

 僕の呟きは聞こえては居ないのだろう。2人は手早く身体を洗い終えると、逃げられないように僕の両側に腰掛け、腕に抱きついてきた。

 タオルを離れた場所に置いていたため、隠すものがなかった僕は逃げるタイミングを失ってしまう。


「だから、なんでくっつくの!」

「えへへー。」

『ダメですか?』

 イオリは悪戯っぽく微笑みながら、サオリは少し赤い顔しながら、僕の腕を抱きしめる。


「当たってるんだよ!」

「何がですか?」『ふふふ。』

 わ、わざとか。当ててんのよ、言わせんな。って事なのか?

 サオリはわかって無さそうだけど。

「これが目的だったのね・・・。」

『はい。サオリちゃんと2人でご主人様を驚かせたくて。』

「兄上、何が当たってるんですか?」


 胸だよ!胸!

 サオリはまだ10歳くらいの身長なのに、女の子らしい膨らみが出てきていて、抱きつかれると当たるのだ。

 イオリは、細身とはいえ胸はそこそこあるので、2人共タオルで隠しているとはいえ、両腕に幸せな感触がはっきりと感じられる。


『私達の胸ですよ。サオリちゃん。』

「兄上?顔真っ赤ですよ?」

 これ、サオリもわざとだよな?さっきより赤い顔になってるし、イオリに吹き込まれたんだな。


「わかった、逃げないからせめて腕は離してくれないかな?」

 じゃないと、ちょっとまずい事になってるの隠せないから。


『仕方ないですねー。』「わかりました兄上。」

 漸く2人が腕を離してくれて、少し離れた場所にあったタオルを取る事が出来た。これで前が隠せる。


「まったく、何でこんな事するんだか。」

「姉上、これで成功ですか?」

『うん、私達の勝ち!』

 何の勝負なんだ・・・。


「はいはい、2人の勝ちでいいから・・・。」

 入ってきたものは仕方ないので、折角の温泉だから3人で風景や会話を楽しむ事にした。

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