1 もえ ③
事案です。
予想より長くなってきました
『ねーごしゅじんさま?』
「何かな?」
『それで、もえってなーに?さっきは、よくわかんなかったの。』
どうやら完全に落ち着いたようだ。今度は熱くなり過ぎないよう、きちんと答えてあげなくてはいけない。
「そうだね、今僕がイオリに感じている気持ちかな?」
『きもち?よくわかんない!』
「イオリが大好きだって事だよ!」
そう言ってから、僕はまたイオリを優しく抱きしめる。他に表現のしようのない気持ちが僕の中に湧いてきていて、思わず泣きそうになってしまい、誤魔化してしまう事にした。
この気持ちがなんなのか僕が教えてほしい。
抱きしめていると、イオリも顔を赤くしながら、抱きしめ返してくれて、ますます僕は泣きそうになる。
多分僕のこの気持ちは、キャラの萌とは違うと思う。だけどきっと大事な感情なんだろう。
『そっかー。ご主人さまもイオリのことだいすきなんだー。』
凄く顔を赤くしながら、イオリはモジモジしていた。
『じゃあ、イオリもまほうしょうじょになれる?』
「えっ?」
『ごしゅじんさまはイオリにもえるんだよね?』
「うん。イオリはかわいいからね。」
『なら、イオリまほうしょうじょだよね!』
なるほど、そうきたか。
やだ、何この子?いつの間にこんなに口が達者になったの?
「そうだね、魔法少女まじかるイオリんだね。」
イオリの成長に驚きながらそう返すと、満面の笑みでこちらに抱きついてきた。
『ごしゅじんさまだいすきー!』
「僕もだよ。でもさっき、イオリにばかーとかきらいーって言われたなぁ。ショックだなぁ。」
なんか凄く恥ずかしくなってしまい、誤魔化すためにワザと落ち込んだフリをしてみると、イオリは凄く焦った様子になる。
その様子を見ていると、思わず笑ってしまった。
『いってないもんー!』
また怒ってしまいそうな雰囲気を感じて、僕が折れてこの話を区切る事にした。
「そうだね、言って無かったね。じゃあ、そろそろ僕はお仕事に戻るからね。また一人でお留守番出来るかな?お昼は用意してあるから。」
『んーと。いっしょにいっちゃだめ?』
「いいけど、座って待ってる事しか出来ないよ?」
『だいじょぶ!まてるよ!』
「なら、一緒に行こうか。ついでにお昼を持って行って、畑で一緒に食べよう。飽きたらお家に戻っていていいからね?そうだ、今度種を植える時は手伝って貰おうかな?」
『わーい!おてつだいするー!なにつくるの?』
「そうだなぁ・・・ノアに相談してみようか?」
保存の効く野菜や穀類などの種類や、育て方をこの姿の見えない声に相談しながら、僕の大事だった人の面影を持つイオリを見て僕は思う。
今度こそちゃんと守らなきゃって。
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